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第1章[裏]・何となく組んでみる



光夜がかなり久々となる同級生との会話をしてから少し経ったころ

よくある予鈴の音が鳴り、さっきまでそれぞれ動きを見せていた生徒達も1様にして席について静かに教員を待っている

Fクラスといえどほかの学校と比べて誰も一言も発せずにただ普通に座っていることが出来ているあたりこの学校の優れた点であろう

そして予鈴から少し後に教室の扉が開かれそこからクラス分けテストの日に見た事のある初老の厳つい男性が入室してくると教壇の前に立ちいきなり話はじめた


「おはよう、諸君。私の名前は知っているかと思うが斉木悠介で、このクラスの担任でもあり学年主任でもある。何故学年主任がこのクラスへの配属となっているかは簡単なことで要するに諸君が来年無事進級できるように鍛えることが目的だ。他にも色々と言っておかないといけないこともあるが、それよりもさっそく今日これから行うことについての説明を先にはじめさせてもらう」

そう言いさらに続ける悠介


「まずは詳しいことは何も教えん。諸君には好き勝手に5人1組を作ってもらう、もちろん制限など何も無いから自由にやってもらって結構。そして残念なことに既にこのクラスは3人もの人材を失ってしまっているので5人に満たない組みも少しは出るだろう。時間は今から15分間与える。それでは各自己の直感と経験を頼りにチームを作りたまえ」

そう言うと1度教室を出ていく悠介

一方でチームを作れといきなり言われた生徒達は制限時間があるにも関わらず少しのあいだ誰も動きを見せない

ここら辺は少しAクラスとは様子が違う

だがやはりこの学校に入学できている生徒達だけあって開始より少し遅れるものの、1人また1人と席を立ち2~3人のグループを作り始めるとあっという間にある程度の少数のグループが教室のなかに出来上がる

その中にはもう既に他の固まっているグループと合体して5人組を作り上げているところもある


そしてそんな他の生徒達が戸惑いつつもグループを作っていっているなか光夜はというと


(グループ作りね〜、まぁ余りのとこにどっかはいればいいか。どうせなんか大事なイベント事のためのもんだろうけど、どうでもいいし)

なんてことを考えてずっと席について座りっぱなしである

まぁ実際に光夜の予想していることはだいだい当たっており、その詳細を知ったとしても光夜がやる気をだすことなんて恐らくないだろう

むしろ光夜が本気になってしまったらもう試合結果が酷いことになってしまう未来まで見える


(パッと見てみても少し強そうな人は数人いてもそこまで多くない。それにそんな人は大抵魔精力の量が少ないな。ということはクラス分けで見られていた要素は魔精力のランクと精霊契約が成功するかどうかってところかな。魔精力のランクは精霊契約の出来に関わるって確か言ってたもんな、だからこの人も普通に今の戦闘力ならAクラスだろうにFクラスに配属されているわけか)

そう前にいる女子生徒を見ながら考える光夜

光夜の推察通りこの女子生徒は魔精力ランクがEであり、精霊契約の儀式において精霊との契約を果たせていない

なのでこのクラスにいるわけだ

そして理不尽なことに魔精力の総量に関してはもはや完全に生まれ持った才能に左右される

一応訓練によって総量を増やしランクを上げることが出来る人もいるにはいるが、結局のところその可能性を含めても才能次第だ

なのでこの女子生徒も雛のような魔精力の才能があれば間違いなくこの学年を代表、いや日本を代表するような強者になっていたことは間違いないだろう

だが現実はFクラスへの配属である


すなわち努力では絶対に覆らない現実がある

……とは光夜は思っていない

人の可能性は無限大

本当に死ぬ気になればなんとかなる

といった感じに思っている光夜

自身の経験からしてもまだまだ諦めるには早すぎるんだよなぁと思いながら他の生徒を見回していると、またもや前の席に座っている女子生徒と目が合う


「……ん、どうかした?」

一瞬言葉に詰まりつつもそう訪ねる光夜

するとそんな光夜の問いに女子生徒は少し考える素振りをしたあと口を開いた


「ねぇ、あなたはグループを作らなくてもいいのかしら?」

そう光夜に問う女子生徒だがこの言葉はブーメランである


「そっくりそのままその言葉をお返しするよ」

そう言われてそれもそうねと呟く女子生徒


「私は上を目指すためにチームを組む相手を見極めているの。だからまだ動いていないのよ」

そういう女子生徒は何か苦いものを噛んだような表情をしながら言葉を続ける


「だけどダメね。このクラスには上を目指そうと今の時点から意気込んでいる人は見当たらないわ。これじゃ誰と組んでもあまり自分のためにはなりそうもないわね」

ため息をつきながらそういう女子生徒だが、彼女の言うことは確かに的を得ている

なんせ今のFクラスの面々は総じて気力が見られない

やはり落ちこぼれといわれているFクラスへの配属となったことがかなり心にきているのだろう

まぁまだ齢15ぐらいの子供だと無理もないと思う

だがその中でもこの女子生徒だけはやる気に満ち溢れている…と光夜は感じている

というより目を見たら分かるのだ

私は上を目指せる、まだまだ強くなれるという感情が


そんな女子生徒に光夜がちょこっとだけ感心しているとここで予想だにしない言葉が女子生徒の口から発せられる


「私は今のクラスではチームを組んだとしてお互いを高めあえそうな人はいないと思う。逆に下手にチームを組んでも士気を下げることにしかならないと思うわ。……それにこのチーム作りはかなり大事なことだしね(ボソッ)」


「だからあなた、私と2人だけのチームを組みなさい」


「は?」

流石の光夜もこれには驚く

てっきり誰とも組めそうもないからどうしようもない的なことを言うのかと思いきや、まさかの光夜とチームを組むなんていう発言がでてきた

お世辞をいったとしても今の光夜の様子からやる気はまったく見られないレベルである

それなのに上を目指すとやる気に満ち溢れている者がこんな奴とチームを組もうとするだろうか?

いやしないだろう

そんな突然の言葉にいったい何故?と理由を光夜は考えようとするがその前に女子生徒はその理由を説明してくれた


「別に深く考えなくていいわよ。ただ絶対に誰かとはチームを組まないといけない様子だし人数的にもちょうど2人だけの組みが1つだけでできても問題ないわ」

とそう言われ考えてみればなるほどと納得する光夜


(上を目指せる人達とチームを組みたいけど、このクラスの人のなかにはこの人のお眼鏡にかなう人はいない。だから一人ぼっちが許されないこの状況でのんびり席に座ってだらけている俺と2人で組んだら楽っていうことね。…うーん、どうしようか)

光夜はそう女子生徒の考えを汲み取りチームを組むかどうか少し考える


(他の人達は…もうほとんど5人組が出来上がっている。というかもう余っている人はいないなぁ、いても2人組か3人組かって感じか。……ならこれから他のとこで話をするのもめんどくさいしどうでもいいか)

とかなり適当な感じで考えをまとめた光夜はこちらを見つめて返事を待っている女子生徒へと話しかける


「いいよ。どうせあまりで適当に組むつもりだったから」


「そう、ならよろしくね。ちなみにあなたの名前はなんていうの?」


「ん?…あー、俺の名前は御神楽光夜だ。苗字でも名前でもすきによんでもらっていい」


「なら光夜って呼ばしてもらうわ。それと私の名前は葛城刹那かつらぎせつなよ。私のこともどう呼んでもらっても構わないわ」

そう刹那はいうと体勢を前にむくものへとなおしつつ


「短い間だとは思うけれどこれから宜しく、光夜。あと私から特に強制することは何も無いから適当でいいから」

と言うと完全に前を向き光夜との会話を終えた

そんな刹那の背中を見ながら光夜は考える


(なんか思いもしなかった展開になったなぁ、まっどうでもいいか。それにこの人多分このチーム作りの目的とか色々と知ってそうだな。…気が向いたらなんか質問してみよ)

数年ぶりの同級生との会話(?)

それに何故かクラスで一番上を目指していくやる気があるであろう人とチームを組むことになってしまった光夜


そんな光夜だがこのあとすぐに家に帰りたいという思いに気持ちを支配されながら悠介が教室へ戻ってくるのをただひたすらボーッとして待つことになるのであった





……To be continued



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