第1章[表]・未知の授業 in 精霊学
「おはようございます、そして皆さんはじめまして。私の名前はミラフェル・クロッカスと申します。それと皆さんもうお気づきの方がいるかも知れませんが私はもともとここ日本、というよりアースの住人ではなくレアスに存在しているソティシアの人間です。私が教える精霊学に関しましてはソティシアの人間でないと実践や説明、加えて使用出来ない道具なんかが多少ありますのでソティシア側の人間である私がこの学年の精霊学を受け持つことになりました。ちなみに精霊学は私ともう1人の合計2人でこの学年を担当することになっていますのでこれから3年間よろしくお願いしますね」
そう言って生徒達な向けて軽く微笑みかけるのは勇斗達に精霊学を教える担当教員であるミラフェルであり、本人が言っての通りソティシアの人間である
その特徴として少し青みがかかった黒色の髪色をしている
日本人とソティシア人の見分け方としては簡単に髪の毛の色と瞳の色、あとは肌の色なんかである
ソティシア人はたいていの人がカラフルな髪色や瞳の色をしていて、1番地味な色といってもミラフェルのように黒基調に何かしらの色が混ざっている感じになっているので日本人とは似ても似つかない
そんなわけで日本人とソティシア人の見分けは案外簡単であり、ソティシア人の特徴は他のレアス側の人間にもほぼ共通しているので日本においてはアース側の人間と地球レアス側の人間との区別がつきやすい
といっても欧米や一部の外国では多少難しいが
そんなわけで授業開始から2日目
今日の1時間目の授業は精霊学
この授業は勇斗も含めてAクラスのメンバー全員がちゃんと揃ったうえで授業に臨んでいる
ちなみに案の定勇斗は昨日の魔法戦闘学の授業を受けることが出来なかったことについて悔しがり、今日はまた一段とやる気がみなぎっている様子
ちなみに昨夜勇斗はアグニスにかなりしっかりと説教されているので今日は無茶なことはしないだろう
あくまでほんの少しの間だろうけども
そうしてはじまる精霊学の授業
ちなみに座学であるこの精霊学だが教科書などは一切存在していないために生徒達は頑張ってノート等にメモをとっていくしかない
あるいはただのんびりと聞いて覚えるかの2択といったところだろうか
なんせほぼ全てのことが初めて聞くことだろうから
「それではさっそく授業をはじめていきましょうか」
ミラフェルはそう言い黒板に精霊のに文字を書く
「この授業で扱っていく精霊という存在が実在している事そのものは皆さん知っていますね?まぁ精霊契約を成功させている皆さんなのでそこは心配してません。ですが精霊について知っていることはほぼ全くないと思います。それでは精霊とは何か、そしてどのような存在なのかという所からはじめていきますね。一応今から話すのはソティシアでは常識であることですのでこれからのことを考えると覚えていた方がいいと思いますのでメモするなりをおすすめします」
「まず精霊というのはアースでは存在していなかった概念、いえ存在していなかった人間とは完全に異なっている生命体です。精霊はレアスにおいて人間とは異なる存在でありつつ、人間のように文化や知性をもち永きにわたって人間と共存してきた存在です。またそういった関係を持ちつつもレアスにおいては人間界と精霊界というものが存在しており、人間は人間界で、精霊は精霊界でのみ生活しています。そこで唯一人間と精霊が密接に関わるのは皆さんもご存知のように精霊契約です。人間は精霊と契約することで魔法に属性をもたすことが出来る上に精霊との親和性を高めることで精霊から魔精力と似て異なる力を借りることができるます。更に精霊との関係が深くなれば精霊のもつ能力や精霊の存在そのものを使用・使役することが出来ますね。逆に精霊は人間と契約することによって人間から魔精力を少しではありますが頂くことによって精霊界を豊かに保っています。そのようにレアスにおいては人間と精霊が上手く共存しているわけです」
「それでは次に精霊の性質について詳しく話しますね。精霊には国という概念はなくそれぞれの精霊の属性ごとに別れて暮らしていますので実質それが国の代わりといっても過言ではないです。精霊の持つ属性の種類は全部で8種類で、炎・水・土・風・雷・氷。そしてその6属性とは少し異なる光・闇の属性があります。基本的にどの属性にも一体の精霊王が存在しており、その下に何体かの最上位精霊が仕えていることが多いです。その下は上位、中位、下位とそれぞれ精霊達にも位ごとに存在が別れていますが名前を持っているのは最上位と王位、あとは上位の中でも最上位に近い実力をもつ精霊だけとなります」
「それでこの中でも王位の精霊と精霊契約をすることが出来る条件となるのは魔精力のランクがSSであることに加えて各国の王族の血筋であることが条件となるといわれています。実際それにそぐわない例は今まで報告されていませんしね。それにこのことから分かるかもしれませんがレアスでは昔は精霊の属性の数だけ大きな国が存在していました。もっとも現在はそこまで多くありませんがね。なぜなら王位の精霊と契約出来なかった国は他の王位との精霊契約を交わすことが出来た国に比べて戦力が少なく、新しく出来てもすぐに大きな国に吸収されてきたからです。過去にはたまたま王位と契約出来た小さな国が大きな国を逆に征服した例もあったりしますが、今となってはもうどの国も王家の血筋を大抵管理しており他の国が新たに出来るようなことはここ数百年起きていません」
「その中で世界融合後の現在でも存在している大国はソティシアも含めて全部で5つでソティシア・ディエルゴ・シールズ・ルーゼリント・リンダスですね。この中でも現在王位との精霊契約が確認できているのはソティシアが炎、ディエルゴが氷、シールズが土、リンダスが風となっておりルーゼリントでは現在確認がされていませんが恐らくルーゼリントかその同盟国のどちらかに存在して多分属性は水のはずです。そして雷の精霊王と契約していた国は世界融合により消滅してしまったためにどこかで新たに雷の精霊王と精霊契約を交わしている人物がいるかもしれませんね。残る2つの属性である光と闇に関してはレアスにおける約千年前の世界大戦より光と闇の王位精霊との精霊契約をしていた国が消滅して以来1度も確認されておらず、現在も光と闇の精霊王との契約をするための神精武具も行方が分からなくなってます。なのでもしかするとアース側のどこがで新たな契約者が今後現れることがあるかもしれませんね。まぁそのためには魔精力SSランクである才能の持ち主が生まれないといけませんが」
「では続いて王位以外の精霊との精霊契約についての説明になりますがこちらも魔精力のランクによって契約できる精霊の位も変わってくるとされています。だいたいFランクは精霊契約は不可、Eランクから精霊契約が可能になりますがランクが低ければ低いほど下位の精霊と精霊契約を、逆に高ければ高いほど契約できる精霊の位が高くなります。その中でもごく稀に最上位の精霊と契約出来る人が現れます。もしかしたらこの中にも最上位の精霊と精霊契約を交わしている人もいるかもしれませね、ふふっ」
そう言いながらちらりと勇斗を見るミラフェル
どうやら勇斗が最上位の精霊と精霊契約をしてしまっていることはこの学校の教員達には全員に知られてしまっていることのようだ
もっともそれがこの学校の中だけにとどまっていればいいのだけれども
なんせ最上位の精霊の力を引き出すことが出来ればそれはとてつもなく戦力になるからだ
どの国でも最上位、ひいては上位の精霊との契約出来ている者は不足しているために重宝されている
なのでもし勇斗が最上位との契約が出来るている人間と日本とソティシア以外の国にバレてしまえば、ほぼ確実に勇斗は狙われるようになるだろう
そんなこともさも知らぬ勇斗はイグニスと時々会話をしながら熱心にミラフェルの授業を受けている
(イグニスってほんとに凄い存在なんだねぇ)
『あたりまえだ!なんせ俺はあと少しで王位になれた存在なんだからな』
(それって精霊達の王を決める時になんかやることがあるってこと?)
『他の属性の精霊達は知らんが俺達炎の精霊は基本的にバトルロワイヤル、すなわち希望する精霊による乱闘戦で決める。その中で俺は2位になったってことだ』
(それってかなり凄いよね!?でもなんでそんな強いアグニスが魔精力ランクAなのに僕と契約出来たの?普通Sランクの人しか無理なんじゃない?)
『それに関しては小僧の豪運と才能だな、それ以外には特に理由はない。魔精力のランクはあくまでも目安、どんな精霊と契約出来るかの全てを担っているわけではないからな』
てな感じでミラフェルの説明で疑問に思ったことをアグニスに質問しつつ授業を受ける
そうして勇斗がそんなことをしている間も授業は進む
結局そのあともミラフェルによる基本的な精霊についての説明は続いていき、最初の精霊学は90分間のんびりとした感じで授業を終えるのであった
……To be continued