20 お昼ご飯
どうも!お気に入り20件ありがとうございます!こんな、小説なのに…とても嬉しいです。°(°`∀´°)°。
「はぁ…はぁ…」
相変わらず広い校舎を駆け巡り荒くなった呼吸を整える。
目的の昆布パンは買えたのだが、ふらふらする。足もがくがくだ。昆布パンの代償はとてつもなく大きかった。これでは優雅に心配されるな。
まず、元気を装うには気分からだ。私は何となく邪魔なドアに手をかけて、力一杯開ける。
【ガラッ…スッポーン】
ヤバい。何かえげつない音がしたような…うん、多分気のせいだ。どうやら、現場を誰も見てなかった様でそそくさと元の位置に戻して次の人が壊す仕組みにしておいた。
うわっ、と声がしたがそのままスルーして真っ直ぐ、妹ちゃんの方へ向かう。
鞄から手作り弁当を取り出した。
「妹ちゃん、お昼食べよう」
「遥姉、もちろん! この黒井君と紫君もいいかな?」
私の返答に即答した後、言い辛そうに妹ちゃんが手を顔の前でくっつけてお願いのポーズをする。翡翠色の瞳がうるんで頼りなさと可愛さが一段と増す。
うんうん。でもね対象が…いつの間に生徒会と仲良くなったんだろう。あまり生徒会とは関わりたくない。
でも妹ちゃんのお願いだし、私はご飯の間、空気になろう。
はぁ…と私は反抗の意味を込めた溜め息をはき、席についた。
今日だけだからね。
妹ちゃん、黒井、紫君が机を囲んでいる。因みに優雅とはご飯は共にしていない。相棒だけどハピスクメンバーに近寄りたくないらしい。傍観したいですよね、流石優雅分かります。
「うん、いいよ。妹ちゃんのお願いだし」
「ありがとう。遥姉、だーいすき!」
妹ちゃんは思いっきり私の首に手を回して抱きついてくる。私は思わずにやけてそうになったけど堪えた。
残念ながら、もう少し妹ちゃんの香りを堪能したかったのだが空気にならないといけない。私は妹ちゃんの柔らかいほっぺを優しくつねって引き剥がした。
いたっ、と聞こえたが黙々とお弁当箱を開けていただきますをした。と同時に妹ちゃんの箸は一直線に卵焼きへと向かった。そして、箸で持ってる卵焼きを一口で頬張る。もきゅもきゅと食べる姿は小動物の様だ。
私に向けてにっぱりと笑った。
「おいしい。やっぱり遥姉、天才だよ」
お弁当は基本私が作っているのだ。前に妹ちゃんに作らせたら、ぐちゃぐちゃのほぼ生卵が出てきた。見た目だけでなく味も期待を裏切らなかった。飯マズ妹属性はかなり惜しいのでそのままに放置して今に至る。
それに得意な事で、自分を褒められると嬉しい。
「料理も自信あったんだ。ありがと」
「料理上手いんだ。流石狼ちゃん」
流石と言うわりには、声が震えて驚きの動揺を隠せないでいる黒井。
私はそれを見て顔が青くなる。
しまった、料理上手は最高のスペックではないか。好感度とか上がってないよね。よし下げよう。
「あっそ」
「つれないねー」
黒井は眉を下げて苦笑する。
ふむ。とりあえず沈黙になったのでよしとしよう。
「仔猫ちゃんは何が好き?」
「私は遥姉が好きです。それ以外は何も要りません」
「お姉さん思いだねー。仔猫ちゃん可愛い」
黒井と妹ちゃん、二人は楽しそうに会話を始めた。はは、もう勝手にやってろ。
私はふと窓を見る。咲き乱れた桜達が美しく舞っている光景が目に写った。
「きれい…」
声を漏らし、その儚い桜に目を奪われた。
「そうですね…」
隣からくすりと笑い混じりの声が聞こえた。その声の方に振り向くと少し口角を上げた綺麗な少年がいた。
引っ込み事案な紫君が堂々とすると、桜がとても似合っていた。声も出ないくらい紫君は美しかった。
いつもなら鳴らないで欲しいチャイムが私を現実へと引き戻してくれた。




