15 秘密
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編集のために読み返してみるとサブタイトルがだいぶ…酷い…。何かいい案ないですかね…?
「最悪。何故に」
私はぼそりと呟いた。
ついさっき、行ってはいけないって言ったばっかりなのだが、まさか旧校舎に逃げていたとは。机の影に潜り込んで溜め息を吐いた。
焦り過ぎてここが何処という認識をしていなかった。反省しなくてはいけない。
窓を見ると鮮やかな夕焼けが目に映った。しかも今は運悪く放課後だ。つまり、私は机の影でがっつり『秘密』を見ている事になる。
外に出たいのだが、ストーカーが外を徘徊してるからそれは無理な思いとなる。そもそも、この旧校舎の扉を開けっぱなしにしないで欲しい。大切な秘密なら、扉閉めて鍵掛けないと駄目なのではないか。いくらなんでも適当過ぎる。
ま、気付かなかった私が一番悪いのですがね。
私ははぁ、と頭を抱えた。
今度、誰か経由で言って貰おうか。
くるりと周りを見てぐっと手を握りしめた。カーテンがふわりとたなびき、彼らを覆った。
これじゃ巻き込まれる…。生徒会と関わりをもって、こんな序盤から憎悪の目で見られると思うと、鳥肌がたつ。私は、幸せな学生生活を望んでいるのに。
気付いたら握りしめた拳に爪痕が残っていて痛々しいことになっていた。
仕方ないな、ポジティブに息を潜めよう。気配を消してバレなければ大丈夫なはずだ。
考え事止めると声が良く聞こえてきた。
「ということで、最近あっちの世界の扉からこっちに出入りする入口が増えているそうだ」
これは生徒会長さんの声だろう。聞き覚えがあるような…?
あ、声優さんの声だからか! テノールの大好きな声優さんの声が生で聞けるなんて…!? 耳福ですな。
私は自然と頬が緩むのを感じた。
さて、生徒会は、妖怪の世界から人限界に繋がっている入口を駆除するのがお仕事だそうで。というか、任務なのかな? 全員なんかこっちの世界でいわく憑きと契約してて、本来ここにいてはいけない“存在”だけど神様がこの世界で暮らせるようにして下さり、でもその代償として任務を果たすように命じられたそうだ。
そもそも、神様ってオルジィか? そう思うと優しい。
おっと脱線脱線…
「仕事が増えるのですか…」
「ダッルー」
前者が副会長、後者が書記の声だ。他にも気の抜けた声があちこちから聞こえる。生徒会大丈夫か?
私はただひたすら心配になる。
「同感だよ。僕たち暇なくなんじゃん。…おもに仔猫ちゃんと遊ぶ…」
「まぁーそーだねぇー」
「…任務なんですから。仕方ないです」
苦笑いを浮かべて促したのは黒井君だ。それに対して親指を立てたのは私である。
「ん、めんどいから、解散」
会長の麗し耳福の声でぞろぞろと皆が席を立っていく。
そんな中で私は一人惚れ惚れしていた。…自分に。
にしても…ばれてない完璧。というか、私に気付かない生徒会セキュリティ大丈夫か? 主にファンの子とか入ってきたら、やばいんじゃないか。やっぱり早い内に伝えて貰おう。
ドアがピシャリとしまって、ぷつりと緊張の糸が切れた。
よっしゃ! 自由だ。全員帰ったかを確認するためにちらりと机の隙間から教室を覗き込む。
「え?」
思わず、声が漏れた。予想外の事が起きたのだ。視界に映るのは眩しいくらいの黄色の髪。幼さが残るアッシュグレーの瞳がただひたすらこちらを見つめていた。
あれ? 一人で書記の方が残ってる…っ!?
そして私を見つけたかの様に、コツコツと足音が近くなってくる。
それに伴いどんどん早まっていく私の鼓動。止まれ…額から嫌な汗が吹き出てくる。…こっち来たし。頼むからどっか行って!!
その望みも虚しく
「おい!お前なにコソコソしてんだ?」
ドスのきいた低い声で話しかけてくる。部屋の中にピリピリした空気が流れる。む聞いてるこっちも緊張するよ。しかし相手は、私をまるで警戒しているようで。私敵じゃないよ! 安全ですよ、なんて言っても敵対されるんだろうな。
やり過ごせない…これは絶対に見つかった。でも相手は彼一人だし、口封じすれば、私が生徒会と関わる事もない。
仕方ない、最終手段だ。私は口元に笑みを浮かべた。
ヤケクソでこいつの秘密暴露してストーカーさんに見習い…ストーカー発言でもしますか。
ドカッと音を鳴らして勢いよく机の隙間から顔を出す。
「どうも…」
「聞いてたか?」
薄暗い教室から覗く瞳はものすごく綺麗だ。
彼は、相変わらず低い声で威圧かけてくる。
私は゛怯えてる感゛を出しつつ頷いた。゛怯えてる感゛ここ大切。なるべく、か弱い女の子っぽく…出来れば記憶消そうとか、そういう流れになってほしいな、なんて。
「会長に言わないとな。マズイぞ…」
一気に顔色を悪くした彼から、返ってきた言葉は即答でだった。
折角控えめにしたのに…君平和主義だから穏便に済ませてくれると思ってのだが、会長大好きだもんね。やっぱり会長が登場するのか。ここで記憶消してほしかったな。あはは。もういいや。
私は無言で頷いた。これは威圧に対抗するか。
「…言わないで。君の秘密暴露するよ。」
「は?」
私がくすりと微笑むと、凄くまぬけな声が目の前から聞こえた。
そんなことも気にせず私は話し続けた。
「その一。こんなにスポーツバカで頑張ってツンツンしているけど、家ではお母さんを…「ちょっと待て………」
前にいる奴は汗を噴き出し顔をひきつらす。
その顔色を見てニヤリと笑った。あ、今絶対私、悪い顔してたな。やばい、やばい。
彼は顔を歪ませてはぁっと盛大に溜め息をついた。
「言わないから、言うなよ! 絶対に。いや、もーお願いします。すんませんしたー。意地はって…俺、黄蘭 匠!すいません」
「うん。仲間同士仲良くしよう?私は、篠崎遥!」
「……仲間…はい!!よろしくお願いします!」
仲間という言葉を聞いて、彼は凄く嬉しそうに顔を綻ばせた。
そんな彼を見て私は、攻略本の一ページを思い出した。
『二重でくりっとしたアッシュグレーの瞳が特徴的な彼は黄蘭 匠。
生徒会の書記でスポーツバカ。鼻と目がきくので、散策向き。黄色の髪の毛が眩しい』
だったはずだ。
「姉さん!さようなら!」
楽しそうに手を振って教室から出ていく黄蘭。私は無邪気な様子に笑みが溢れる。
「さようなら」
私も精一杯手を振り返した。
静かになる教室。辺りは日は落ちて薄暗くなった。
お化けおかが出そうな雰囲気だ。でも取り合えずストーカーが消えるまで、しばらく留まろう! うん。これ一番!
私はぼーっと机の影に息を潜めた。
スキル確認
百合 鈍感




