9 鈍感 赤薔薇 涼Side
甘いの無理な方は注意です。
涼side
ーあいつは、いつの間にか俺の心に入り込んでいったー
燃えるように赤い髪、少し吊り目な茶色の瞳。そんな俺は赤薔薇涼という。
年齢よりも大人っぽく、愛想がないせいで友達もいなかった。愛想なんていっても、楽しくもないのに笑えない。
それにも自覚はあったが、更に悪態をついてしまうそれが悩みだった。
「涼くんひどいっ…!」
「お前らの方が遥かに酷いと思うけど。あと、俺に話しかけんな。虫酸がはしる」
「…う。ひどぉいよー!!」
へばりついてくる女子は、俺の顔と才能に惹かれたのであろう。だから、自分でも驚く程冷たい声が出た。
私利私欲のために近付いてくるやつには毒を吐いて、気付くと周りには誰もいない。だが、別に好かれたい訳じゃなかったが、嫌われたいわけでもなかった。一度ついた癖は中々直せない。
寂しくて、居場所がない。
今日もまた鬼ごっこをしている同級生を見つめなから、一人でブランコで遊ぶ。すると、挙動不審なおじさんが近付いてきた。俺はうんざりしておじさんに話しかけた。
「俺に何化ようですか? 忙しいんですけど」
「ねぇ、君モデルにならないか?」
その時モデルというものに出会い、見る世界が虹色に変わった。嫌いだった自分の顔も、商売として好きになれたような気がした。媚びも癪にならなくなった。
そして、あいつとの出会いは、そんなモデルの撮影の仕事だった。あいつは、薄水色の髪がとても滑らかで柔らかそうだった。それなりに可愛かった。
あの時も新人いびりのように挑発したら、今までの子供は憤怒するか、頬を染めるか、世界が終わるような絶望的な表情ばかりだった。でもあいつは、違ってぼーっと考える仕草をして笑ってみせた。
笑ったときの翡翠の瞳にはとんでもない決意が秘められている、そんな気がして体がぞくりと震えた。
「ふーん…」
まぁ、面白いな程度だった。何かが変わるような気がして、少し期待もしてたけど。
いつから惹かれていたのか分からない。
ある時は、俺はベッドの上でもがき苦しんでいた。
マッチョ変態が…。
「くぅ…うわぁ…」
「涼くん、大丈夫だよ。大丈夫」
あいつは、俺に聞こえてないと勘違いしてる様だった。
まるで子供をあやすように言っていたが、俺にとっては凄く安心した。あいつは、そっと俺の額を撫でた。その手はまるっこくて女の手だなと確信すると、余計に恥ずかしくなった。
やべ、余計寝たふりしなきゃいけねぇ。でも、俺はそれを不快に感じることはなかった。
居心地が良かったんだ。薄目で見た、あいつの笑顔が未だに脳裏に焼き付いている。
そして五年の月日がながれ、やっとアレに慣れた。襲われかけた前科があるから、警戒はしてるが。
楽しみにしていたハリウッド見学の日が来た。
今日もまたあの子供っぽい向日葵の服を着ていた。普通この歳であの服は痛いだろって思っていたがあいつが着るとかなり似合っていた。多分華奢な体が幸いしてこの服を着るといつも以上に幼く見えたからだろう。最近毎日この服な気がする。余程向日葵が好きなんだろう。
そう考えるとあいつの笑顔も向日葵みたいでお似合いだ、と笑みが溢れた。
少し風にあたって気分を落ち着かせる。
「そして、今日は、待ちに待ったハリウッド見学とモデル撮影だ! たのしみじゃ、うしぃ!」
「あぁ…楽しみだな」
色素の薄い水色の髪、翡翠の瞳、雪のように白い肌。美しさは同年代を遥かに上回るお前は、性格がこれだからな。
にしても、最近おっさん具合に磨きがかかったな。顔を赤くしたり、悲しそうになったり、笑いだしたりと忙しいあいつを見ると自然と口元が緩む。
うん、こんな感情だけで表情が変わるなんてまだまだだな。
「………………え! わっわらっ笑った?」
かつてないほどの動揺を瞳に宿して、口調も定まっていない。失礼だなこいつは…。俺は冷たい声で言った。
「俺だって笑うし」
「ごめんごめん。見惚れたんだ」
「み…ほれる?」
へへ、とはにかむあいつ。あからさまに言い訳臭いが嬉しいもんは嬉しい。
自分でも分かる。顔が熱をもってきた。
男の俺が振り回されっぱなしだ。
「うん…だって仕事に一生懸命な、涼くんって格好いいと思う…ぞ」
最後は聞こえにくかったが、確かに聞こえた。
格好いい?すげー嬉しい。俺が認められた気がして、仕事も俺も。
「そうか………お前も凄いとおも…う…」
つい口に出していた。
「お前はあの不気味なガイドにうなされてても…その…大丈夫。っていつも笑顔で…凄く励まされた…」
だから、ありがとう。言いたかったが掠れて声が出なかった。
「そうか。ありがとう」
それは俺の台詞だ、なんて。
「…フン、お前なんかまだまだだかんな! せいぜい俺についてこい…遥」
名前を呼んだ初めて女。言って恥ずかしくなった。ヤバイ、引かれた…よな?
俺はちらりと遥を見た。遥はうむ、と考え込み
「うん。まあ、着いていこうか?」
と答えた。そして最後は何故か疑問形であった。
顔の赤い俺を見て、遥はにっぱりと笑った。俺はその眩しい笑顔に弱いんだよ。俺の顔は髪と同じくらい赤い。
ずるい、卑怯だ…でも…こいつといて楽しい、心から思える。
あぁ…なるほど…俺はお前が好きなんだ。でも、いまいちこの気持ちは、友達としてか、恋なのかわかんねぇ。はっきり分かるまでは秘密にしよう。ただ、一つだけ分かる事はお前の笑顔を守りたい。
「なぁ、もし…俺がお前を守れたらそのときは俺の居場所になってくれないか?」
そんな思いは夏の風に運ばれていった。
「鈍感心の中 涼Side 終」
いや、甘いのですか? 甘い…?
一つ言えることは、むず痒いです。書いてて怖くなりました。こんなものしか書けなくてごめんなさい。
きっと笑顔が眩しいのは遥が顔にLED か何かつけてるからでしょう。
うん絶対そうだ(確信




