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Mirror Room  作者: maki
3/3

後編,というかおしまい?

これでまとめきれなかったらアウトwww




「何なんだろう,この罪悪感のような・・・・・・」

「大丈夫よ,本心を伝えれば」






結果から言おう,美香さんは旦那と別れることになった。






「ちょっと,えぇ!?」

「旦那に嘘ついて生きていくのにも疲れてたしね,良い機会だったもの」






それ以上は,語らなかった。





離婚ってきっと大変だろう,高校生の俺でもそう思える。

こどものことも心配だろうし,親にも細かく説明しなければならないだろう。家のこともだ,片方は出て行かなくてはいけない,ひょっとしたら両方出て行くっていう可能性もあるだろう,住む場所がなくては人は生きていけない。





一介の高校生が背負えるはずのない責任を背負ってこれからは生きていかなければならないのだ。






「別に気負わなくても良いよ」






美香さんがこう言ってくれなかったらストレスでぶっ倒れていたかもしれない。



「今回の一件は私の判断だもん。仲の良くなかった旦那から離れたかった,見合い結婚の典型的な失敗例だってみんなに言うから心配しないで」











「今回は大人の私が全ての責任を負います」









「・・・・・・頼もしすぎますよ」

そう言うと美香さんは何も言わずに笑ってくれた。













そして,今日は卒業式の翌日,美香さんの二人のこどもと会う日である。美香さんがなんとか親権を勝ち取ったらしい。旦那は本当に無機質な人だそうでこどもを任せるのは心配だったとか。






「いい?ドア開けるわよ?」

「・・・・・・将来的にはお父さんと呼ばれる可能性があるんですよね」

「うん,っていうか呼ばせるわ。私に刺激的な毎日をプレゼントすると同時に安泰を奪っていった男ですもの」



・・・・・・笑顔が黒い。



「離したりなんかするもんですか・・・・・・」

ぎゅうぅぅ,という腕の感覚がちょっと苦しい。それが愛っていうものなら今の俺には重すぎるかもしれない。








まぁ,俺も最愛の人を離すほどもうろくしたりはしていないから負けじと身をくっつける。





「・・・・・・暑苦しい」

「いいじゃないですか,大学出たら夫婦なんですから」

ドアは開かれた。がんばれお父さん。



























前日,まさしく卒業式の日。校門の前で蟻の大群と格闘しているバカがいた。遊美である。



「・・・・・・お前まさか」

「すっぽかした」

「なにをしに高校へ進学したんだよ!?」

いや,卒業式に出ることが高校の全てではないと思うが。

「卒業式には出たよ,すっぽかしたのはお友達とやるお決まりの泣き会の方」

「ああ・・・・・・俺は相当ディープに泣き会参加者だったから,どれくらい待ってた?」

「2時前にはここにいた」

現在の時刻は5時を回っている。

「・・・・・・大人びてはきたのにな・・・・・・」




遊美はここ最近であのバカ丸出しなオーバーリアクションをほとんど取らなくなった。

大人になったなって言ったら





「人は傷ついて成長するものなのよ・・・・・・」





・・・・・・傷ついたのか。細かいことは聞けなかった。でも細かいところは変わっていないらしい,ここまで待ちぼうけ喰らうのがいい証拠だ。





「遊美は東京だっけ?」

「なんとかね,持つべきは親と窮地を助けてくれる友達とお金出してくれる彼氏ね」

「彼氏っていうかオジサマだろ・・・・・いいかげん援交まがいなことはやめろよ」

「いいじゃない,マーサには関係ないんだから」



よく考えたらマーサって6年以上呼ばれ続けている。これで最後になるかもしれないと思うと少しだけ寂しい感じもした。



「マーサは例の奥様のために花婿修行でもするの?」

ちなみにあの日の翌日に遊美は学校に来て根掘り葉掘り聞かれた。そういえば急に大人び始めたのもその時からだ。


「とりあえず大学出てから仕事見つけたら結婚して貰うことにした。本当は学生結婚でも良かったらしいんだけどね・・・・・・そこら辺はしっかり働けるようにならないと,まぁ,・・・・・・パパになれないし」

「・・・・・・気持ち悪い」

「自覚があるだけマシだと思ってくれ」

「自覚があったらそれは最悪よ」

「それもそうか」





それから小一時間いろいろなことを話し合った。将来の話や夢,人生設計とか叶うかどうか分からない希望を口にしまくった。



















「ねぇ,マーサ。私にはすっごくあなたに聞かなきゃいけない質問があるの」

「なんだよ?改まって」

「今でも私があなたのことを好きだって言ったら,マーサはどうする?」








そこにあるのは鏡だった。

あの日の俺がそこにいた。

姿や形は違っていても今目の前にあるのは鏡だった。








卑怯にも,相手を困らせるような質問を投げかける誘導尋問。

文句すら言えないくらいに。














「何ともねぇよ,俺は一途なんだ」

「そっか,そうだね」





鈍感な主人公を演じるのは終わりにしておこう。社会人になってパパにならなきゃならないんだから。



「遊美よ」

「なに?」

「好きだったぜ」

「・・・・・・私もだよ」

















「美香さん」

「・・・・・・すごく疲れたからってそこは顔を突っ込んでもいい場所ではないと思うんだけど」

「だって美香さんの胸の包容力はウチの両親の数倍はあるんですもの・・・・・・」



こども達には少しの間出て貰っている。美香さんに「大人の時間」と言われた途端に二人とも出て行った。気の利きすぎる二人だった。


「っていうか二人とも中学生じゃないですか・・・・・・」

「早く生まれた子だったしね二人とも」

「ウソつき」

「大人は嘘をつく生き物なの」

「なんですかそれ」

「座右の銘ってやつ」

「もうちょっとカッコイイやつじゃないんですか?」

「かっこいいじゃない,ニヒルっていうか」

「最高にかっこわるいですよ,その姿勢が」

「何ソレ?言っときますけど私の方が年上よ?」

「見た目は変わらないじゃないですか」

「変わるわよ-,日々成長するんだから」

「・・・・・・20過ぎたらそれは老いというのでは」

「とぅっ!」






押し倒された。両手両足の自由は本当にきかない。







「きかん坊の新旦那さんにお灸を据える必要があるかな?」

「勘弁してくださいよ・・・・・・」







「・・・・・・私がおばさん担っても好きでいれる?」

「そんな当たり前のこと聞いてどうするんですか?」




素早く体制を入れ替える。ここから後は想像に任せよう。

無理矢理と感じたら厳しくお願いします。

できれば遊美サイドでも書きたい。

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