夏休み自由研究 第5/10話:評価される異常、保存される異常――Pt/UUとBM/UUの違い
いつも私の作品を読んでくださっている皆さまに、心から御礼を申し上げます。
前回は、PV/UU の話をしました。PVは総閲覧回数であり、UUは届いた人数です。だから、PVをUUで割ることで、一人の読者が平均して何回その作品を見たのか、つまり読まれ方の深さを見ることができる。そこを前回は確認しました。
では、その次に見るべきものは何か。ここで出てくるのが、Pt/UU と BM/UU です。
月間ポイントをUUで割る。ブックマーク数をUUで割る。たったこれだけです。けれど、この二つを分けて見るだけで、同じ「強い作品」の中に、かなり違う種類の強さがあることが見えてきます。
まず、言葉の意味を整理しておきます。
Pt/UU は、届いた読者がどれくらい評価したかを見る指標です。読みに来た人数に対して、どのくらい強く点が入ったのか。言い換えれば、その場の熱量です。
一方、BM/UU は、届いた読者がどれくらい保存したかを見る指標です。読みに来た人数に対して、どのくらいの割合で「これは残しておこう」「追っておこう」と判断したのか。言い換えれば、将来へ持ち帰る意思です。
ここで大事なのは、この二つは似ているようで、かなり違うということです。
評価ポイントが入るとき、読者はその場で反応しています。面白かった。刺さった。気持ちよかった。怒りでも感動でも、何かが強く返ってきた。Pt/UUが高い作品は、まずこの即時反応が強い作品です。
しかし、ブックマークは少し性質が違います。読者は「今よかった」だけでなく、「この先も追う価値がある」「後でまた読みたい」と判断して保存します。つまりBM/UUが高い作品は、継続的な関係を結ばれやすい作品です。
同じ読者反応でも、ここには時間差があります。Pt/UUは、その場の火花。BM/UUは、手元に残す判断。この違いを混ぜてしまうと、作品の強さをかなり雑に読んでしまいます。
今回、100作品のアクセス解析を見ていると、この差はかなりはっきり出ています。
たとえば、ある2026年7月のハイファンタジー作品では、UUが約8.2万人に対して、月間ポイントは約3.9万でした。このとき Pt/UUは約0.475 です。
かなり高い。届いた読者のかなり大きな割合が、その場で強く評価へ動いていることになります。
一方で、この作品のブックマーク数は約1,366件で、BM/UUは約0.017 でした。
保存率はそこまで高くない。つまりこの作品は、評価される異常にかなり寄っています。
読者は来る。そして強く反応する。けれど、その全員が「残して追う」とは限らない。こういう作品は、瞬間的な熱量が強いタイプです。読んだその場で「よかった」「面白い」「これは点を入れたい」と思わせる力が大きい。
逆に、ある2026年3月の異世界ファンタジー作品では、UUが約8,373に対して、ブックマーク数が約3,584ありました。このとき BM/UUは約0.428 です。
非常に高い。来た読者のかなりの割合が、保存の判断をしている。しかし月間ポイントは約790で、Pt/UUは約0.094 にとどまります。
こちらは、Pt/UUだけで見ればそこまで派手ではありません。つまりこの作品は、保存される異常の色が濃い。
この差は面白いです。先ほどの作品は、その場で評価された。こちらの作品は、その場で大量得点になったというより、これは追う価値があると判断された。同じ強い作品でも、読者の動き方が全然違う。
さらに、ある2026年4月の異世界ファンタジー大規模作品では、UUが約19.8万人、ブックマーク数が約1.65万で、BM/UUは約0.083 でした。
絶対数としてのブックマークは巨大です。しかし比率として見ると、先ほどの約0.428作品ほどの濃さはありません。同時に、この作品の月間ポイントは約1.48万で、Pt/UUは約0.075 です。
これも極端に高いとは言いにくい。つまりこの作品は、評価効率や保存効率が異常というより、まず何よりも届いた人数が巨大だったタイプです。
ここで分かるのは、強い作品には少なくとも三種類あるということです。
人数が異常な作品。
評価効率が異常な作品。
保存効率が異常な作品。
もちろん、この三つを同時に持つ作品もあります。けれど、アクセス解析を見ていると、実際にはどれか一つが特に尖る作品がかなりあります。だから、ただ「高PVだった」「高ポイントだった」でまとめてしまうと、その作品の顔つきが消えてしまうのです。
ここで、もう少し踏み込みます。
なぜPt/UUが高い作品と、BM/UUが高い作品は分かれるのでしょうか。
私は、ここには読者の反応の時間軸の違いがあると思っています。
Pt/UUが高い作品は、初読の瞬間に強いです。読んですぐ、何かが返ってくる。オチが強い。導入が強い。感情の振れ幅が大きい。読者が「今ここで反応したい」と思う。短編や、導入の鋭い作品、あるいは一話一話の切れ味が強い作品では、こちらが出やすい。
一方、BM/UUが高い作品は、読者が少し違う判断をしています。今すぐ採点するというより、この先も付き合う価値があると見ている。設定が広い。先が気になる。続きものとして追いたい。人物関係や伏線が残る。つまり、こちらは瞬間の感情だけでなく、継続投資の判断が入っています。連載では特に、この差が大きくなります。
実際、今回のアクセス解析でも、BM/UUが高い作品の中には、PV/UUもある程度高いものが目立ちます。
これは自然です。保存される作品は、あとで読まれ、追われ、戻られやすい。つまり、BM/UUの高さは、その後のPV/UUにもつながりやすい。
反対に、Pt/UUが高くてもBM/UUが低い作品は、その場の火力は大きいが、継続的な保持までは行かないことがあります。ここにも、評価される異常と保存される異常の違いが出ます。
たとえば、ある2026年4月のハイファンタジー作品では、UUが約1.4万人、ブックマーク数が約1,986で、BM/UUは約0.140 でした。
これはかなり高い。一方で月間ポイントは約234で、Pt/UUは約0.017 です。
評価効率は低いのに、保存効率はかなり高い。これは典型的に、すぐ点を入れる作品ではないが、追う価値ありと見なされた作品です。言い換えれば、熱狂というより信頼に近い。
また、2026年4月の現実世界恋愛作品では、UUが約2.16万人、ブックマーク数が約1,342、BM/UUは約0.062でした。一方でPt/UUは約0.028です。
こちらも、即時評価より保存寄りです。その場で爆発的に採点されるわけではない。けれど、読者は継続的な読みの対象として見ている。
逆に、2026年5月のあるヒューマンドラマ作品では、UUが約12.3万人に対して月間ポイントが約3.94万あり、Pt/UUは約0.320 とかなり高い。
しかしブックマーク数は約1,316で、BM/UUは約0.011 にとどまります。これはかなりはっきりしています。来た読者は強く反応した。けれど、全体として保存の比率は高くない。つまりこの作品は、後で追うというより、その場で強く刺さった作品です。
ここまで見てくると、Pt/UUとBM/UUは、単に「評価」と「保存」の違いではありません。もっと深く言えば、読者が作品とどう関係したかの違いです。
Pt/UUが高い作品では、読者は作品に対して即時に感情を返す。BM/UUが高い作品では、読者は作品に対して時間を預ける。
この二つは似ているようで、かなり違う。前者は燃焼。後者は保有です。
私は、ここに異常成長作品の面白さの一つがあると思っています。数字の大きい作品が全部同じではない。高ポイント作品が全部同じでもない。ブックマークが多い作品も、絶対数だけでは性格が見えない。UUで割って初めて、読者反応の濃さの種類が分かる。それは、かなり重要です。
そして、投稿者目線で見るなら、この違いはなおさら大切です。もしPt/UUが高いなら、作品にはその場で人を動かす力があります。導入、見せ場、感情の切れ味、オチ、タイトルの約束回収。何かがその瞬間に機能している。これは大きな武器です。
一方でBM/UUが高いなら、作品には続きを預けられる力があります。設定の引き、物語の伸びしろ、人物への投資価値。読者が「残しておきたい」と思う理由がある。これも別種の大きな武器です。
問題は、この二つを一緒くたにしてしまうことです。評価が強いのに、保存が伸びない。保存が強いのに、即時評価は鈍い。この差を見ないまま「伸びた」「伸びない」と言ってしまうと、作品のどこが強く、どこが課題なのかがぼやけます。
ここで、今回の話を短くまとめます。
Pt/UUは、その場の熱量を見る指標です。
BM/UUは、残す判断を見る指標です。
前者が高ければ、評価される異常。
後者が高ければ、保存される異常。
そしてこの二つは、どちらも強いが、強さの向きが違う。その場で燃える作品。あとに残る作品。両方を持つ作品。それぞれは別の顔をしています。
異常成長作品を読むとき、私はこの違いをかなり大事にしたいと思っています。なぜなら、数字の地形は、ただ高低があるだけではないからです。どこで熱を発し、どこで蓄積し、どこで読者を止めているのか。そこまで見て初めて、「強い作品」の中身が見えてきます。
次回は、この流れを受けて、短編の異常と連載の異常は同じではない、という話に入ります。
同じPt/UUやBM/UUでも、短編で高いのか、連載で高いのかで意味が変わる。ここを分けて見ないと、また強さの性質を取り違えます。異常成長の正体は、一つではありません。形式が違えば、異常の出方も変わります。
私の作品の読者様に、心からの感謝を込めて。
条文小説 拝
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