七話
書き終えましたが短いです。
彼女らが歩いている地は舗装されていない。
その為、デコボコとしていて歩きづらい。
基本的に貴族は舗装された道を使うがこの貴族っぽい人はそんなのお構いなしというように歩いていく。
レオは少々歩きづらそうにしてその後ろ姿を見てついていく。
しばらく歩くと森の出口が見えてきた。
「ここを抜ければ街に着きますわ」
森を出ると辺り一面に緑が広がっており数百メートル先に城壁が建っている。
その城壁は分厚い石材が積み重なりその壁が何重にもある。
高さはおおよそ10メートル。
これは魔物や盗賊などに攻められにくくするためにあるものだ。
そのため、当然のこと高い。
門は空いているが門番が10人ほどいるから安全面は問題ないだろう。
彼女らが近づくとその一人から声が掛かる。
「おい、お前ら、止まれ」
その言葉を聞いて歩みを止める。
「なんですの」
「ここを通りたきゃ身分を証明できるものを提示しろ。
得体の知れない奴らは通せないからな」
「これでよろしくて」
取り出したのは紋章が描かれたペンダントトップ。
それを見た瞬間、兵士の表情が変わる。
威勢は消え顔が一気に青ざめた。
「先ほどはすいませんでした。
まさか、エルドワール家のお方だったとは知らず」
「分かればいいのです。
さ、通らせてもらいましょう」
「はい!」
彼らは彼女らを通した。
街の中に入るとレオ達の目の中には見たことのないような街並みが映った。
レンガ造りの建物が並んでいる。
その一つ一つが高くとても大きい。
また、飲食店や服屋などの店がありそれらが田舎では絶対に見ないと断言できるほど人で溢れかえっている。
レオ達は圧倒されて立ち尽くすばかりだ。
その景色に見とれて足を止めていると
「なにをしてますの?」
と、声をかけられる。
「えっと、こういうの見たことがなくてすごいなぁって」
レオはその問いかけに答えた。
「そうでしょう。
この都市は国内最大級の都市ですから」
得意げに語られる。
「おい!
そんなことはいい。
それより、お前は一体誰なんだ!?
そのペンダントを持っていることから伯爵家と何かしらの繋がりはあるだろ!!」
シエナが割って入ってくる。
彼女はこの子の素性を知ろうと乱暴に詰め寄る。
「私は、エイヴェリー・フォン・エルドワールと申しますわ。
エルドワール家の長子ですわ」
(あの有名な貴族のか)
シエナは驚きで固まる。
無理もないことだ。
何せエルドワール家は伯爵家なのにもかかわらず政界と経済界で王家に次ぐ影響力を持っているとされている。
その長子なら驚きで固まってもおかしくはない。
「あら、どうにかしましましたの」
「『どうにかしましたの』じゃねーよ。
こっちは困惑してんだよ」
「そうですの?」
「そうだよ!」
「まあまあ二人とも落ち着こうよ。
せっかくここまで来たんだし」
エレナが入り話は落ち着いた。
「エイヴィリーさんは私たちに何をするの?」
「この街で先ほどのお礼をしたいのですわ」
「それはさっきも聞いたけど……」
「実は……何も考えてませんの」
「えぇ……」
「何かしてほしいことはございますの?」
「そうだね。
この街を案内してくれる?」
「いいですわ」
そういうことで一行は街を見て回ることにした。