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第5話 方針と行き先

 新しい家に引っ越してから一ヶ月ほど経った。

 お互いの呼び方にも慣れ、とくに問題なく生活できている。


 何が有難いかと言えば、食事を彼女が用意してくれることだ。外に出歩くのを控えていた俺に、彼女が何か買ってきてくれたり、時には料理を作ってくれた。


 これがまた美味しいのなんの。なぜこうも美味しく作れるのが不思議なくらいだ。

 今まで外食や出来合いの物で済ませていたのだが、家庭料理というものの素晴らしさに気づかされる一ヶ月だった。

 といっても、今もたまに行われる料理教室で彼女の腕は知っていたので、再認識されられた感じだ。


 ちなみに、今日の献立はカレーライス。俺も料理に加わっている。


「無名君、次からはピーラーでじゃがいもの皮は剥きましょう。勿体ないです」


「あっはい」


 皮むきで、捨てた部分と残った部分の比率が1対1になったのには、流石に彼女も見過ごせなかったらしい。

 

 農家の方々、すみません。








 

 一月経てば、騒ぎというのはある程度落ち着くものだ。彼女の判断ではもう外に出ても大丈夫らしい。

 元々見つかる可能性は低いと思っていたので、騒ぎが落ち着けば大丈夫なのだろう。


 

 外に出られるようになったので、そろそろダンジョン探索を行いたいと思う。かれこれ一年はダンジョンに入ってないので、少し前のめりになってしまうな。

 彼女と相談しながら色々と決めていこうと思うのだが、パーティーメンバーと進めていくこの感じは、ソロだと味わえない楽しさがあるな。

 

「ダンジョンに必要な準備って何があるんだ?」


「探索期間にもよりますが、とりあえず装備と各種回復アイテム、それから必要であれば食糧と予備の装備。その他は挑むダンジョンや階層によって変わる感じですね」


「なるほど」


 彼女はプロなので、そのあたりの準備はいつでも用意してある。問題は俺の方で、残しておいた装備やポーションはあるが、その他のアイテムがない。

 そのことを彼女に伝えると、問題ないと言われた。


「基本的に体が資本ですからね。ステータスの構成によって戦い方は人それぞれですし、たぶん無名君なら身一つで行けるんじゃないかなぁ」


 呆れ気味にそう言われたので詳しく聞いてみると、ボスを単独で倒せる実力がある俺は、装備やアイテムに頼らずともステータスのごり押しで大丈夫らしい。


 実際この前のダンジョンボスも魔法でごり押ししたので、ダンジョン探索については確かにそうなのかもしれない。



だが、俺はロマンを求める男。今後の探索では、そんなつまらない戦い方はしないと決めている。


「それなんだが、俺は今回魔法は使わずに行こうと思っているんだ。君の戦闘訓練もしたいし、俺はのんびりやろうと思ってる」


「無名君だから言える言葉だよね。流石一位、余裕がある人は違いますねー」


 彼女がからかってくるが、実際俺には余裕があるのだ。ダンジョン探索をにロマンを求めて何が悪い。

 政府としてはいち早くダンジョンを攻略してほしそうだったが、そうする気はない。ただ、図らずともそうなってしまう可能性があるのは否定できないがな。


「それで、どこにします? なるべく近い所がいいですよね」


「最悪泊まりでもいいぞ? 県外だと距離もあるし、日帰りはきついだろ」


「数時間潜ったところで、面白くないですからねー」



 日本にはいくつかのダンジョンが存在するが、決まって各県には一つづつしかない。例外は富士山にある富士ダンジョンと俺が攻略した樹海のダンジョンくらいで、基本的にダンジョンとダンジョンはそこそこ離れている。


 俺たちが住んでいる場所に一番近い新宿ダンジョンは既に攻略済みなので、できれば他のダンジョンに行きたい。

 どうせダンジョンに挑むなら、最前線でダンジョン攻略をした方が日本ためになるという意見は真奈のものだ。パーティーの方針として、挑む階層は各ダンジョンの最高到達層にする事に決まった。


 最高到達層についてだが、テレポート機能は誰でも自由に使えるが、行ける階層は誰かが一度でも到達していないといけないのだ。

 ダンジョンの魔物は倒しても復活する。ボスも例外ではなく、誰かが攻略してもダンジョン自体に変化はない。変化があるのはテレポート機能の範囲のみだ。


 後続の冒険者の役に立つと考えれば、ダンジョン攻略を進めることも悪くはない。


「ダンジョンランクはどうします?」


「無難にBくらいで良いんじゃないか?」


 ダンジョンランクとは、ダンジョンに出現する魔物やアイテムから推定した、ダンジョンの難易度のことだ。

 前回真奈と俺が入ったダンジョンを含め、今のところ世界で攻略されているダンジョンは全てCランクのダンジョンとされている。

 世界ダンジョン会議で決まったこのダンジョンランクにはA、B、Cの三つがあり、Aが一番難易度が高く、B、Cと難易度は下がっていく。

 

「Aでもいいが、まぁ最初だしリハビリもかねてな」


「わかりましたー」


 そうして決まったのは、愛知にある名古屋ダンジョン。ここから新幹線で一時間程で、名古屋駅から徒歩で30分の場所にある。


 場所も決まりさくさくと準備を終え三日後、俺たちは名古屋ダンジョンへ向け出発した。

 

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[一言] ダンジョン行けよ。
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