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Ascension / 次元上昇  作者: 塩麹絢乃
第二章 深層世界のディソナンス
38/107

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《人事ファイル:c159-JP-892》

レベル3資料

作成日:B30年4月24日


氏名:安倍浄浜(あべ の きよはま)

性別:男

年齢:24

住居:宮城支部 A-003


分類(クラス・コード):RED

所属:宮城支部/交渉部


階位(フェーズ):Ⅲ/Γ(ギバ)

能力名:陰陽道(おんみょうどう)

能力:陰陽術?

 本人は陰陽師を自称している。勿論、そんな訳はない……筈なのだが、その詳細に関しては未だよく分かっていない。


備考31:匿名希望

 意外と常識人!?

 この前、落ちてたゴミを拾ってゴミ箱に捨ててた。

 靴を揃えて脱いでた。

 挨拶すると返って来る。

 ぐう常識人、ぐう常識人。



    *



《人事ファイル:ec2a-JP-1179》

レベル2資料

作成日:B32年6月14日


氏名:金營蕗(かなえ ふき)

性別:男

年齢:20

住居:宮城支部 A-006


分類(クラス・コード):RED

所属:宮城支部/交渉部


備考1:東京支部/交渉部 香椎康(かじ やすし)

 気付いたら私の電撃で気絶してたみたい。

 これから情報部で尋問されるらしーです。



    *



【傍觀者名簿(異地球):壹(イチ) - 部外秘】


諱(いみな):不明

字(あざな):茱萸(グミ)

性:女

齢:(若い見た目である)


屬(ぞく):傍観者

階:無


補:壹(イチ)

 乞丐(こつがい)の生まれ。瑞(ずい)を悪用した盗みで小汚く生きさらばえた。曰く、「方舟の外周にへばり付いて世界線を越えた」と。その話が正しければ、忌々しいことに他にも何人かの傍観者が紛れ込んでいる事になる。その処遇に付いては協議を進めてから決す。


 佐藤誠陸軍少佐



    *



【神名帳(ジンメイチョウ):佰貳(ヒャクニ)】


觧名(かいみょう):ㇱテット(citet)

神號(しんごう):雲鷲(うんじゅう)


苗字:容(ヨン)

忌名(いみな):祖兒(ズォウイ)

字名(イングリッシュネーム):Stella(ステラ)

性別:女

年齢:參什陸(サンジュウロク)


階位(フェーズ):Ⅳ/Δ(ダグス)

能力名:戎克(セントエルモ)

能力:泡沫(うたかた)の舩(ふね)を作り、宙空(そら)を游泳(ゆうえい)する。


武位(ぶい):參句(サンノク)

恩賚(おんらい):玉戈(ぎょっか)

 长(ながさ)94厘米(センチ)、宽(はば)14厘米(センチ)、厚仅(あつさ)1厘米(センチ)

銘文(めいぶん):江楓(こうふう)/漁火(いさりび)/對愁眠(しゅうみんにたいす)

綽號(しゃくごう):大玉戈

靈驗(れいげん):短縮


覺書(おぼえがき):壹(イチ)

 中華人民共和国香港特別行政区出身の元・騎馬警官。イギリス人の父親を持つが面識は無い。

 当人の思想から恩賚(おんらい)の自覚をひた隠しにしていたが、結局は中国当局に嗅ぎ付けられてしまった為、やむなく蕃神信仰に身を寄せた。

 入信の経緯故、翻意に注意すべし。



    *



【神名帳(ジンメイチョウ):佰伍(ヒャクゴ)】


觧名(かいみょう):fRpller(リ゚ーㇻー)

神號(しんごう):鉤行(こうぎょう)


苗字:LuaLua(ルア=ルア)

忌名(いみな):Malira(マリラ)

性別:mâle (男)

年齢:66 (陸什陸(ロクジュウロク))


階位(フェーズ):Ⅱ/Β(ベルカン)

能力名:Digger (抗夫(ルサンチマン))

能力:鑛(あらがね)の生成


武位(ぶい):參句(サンノク)

恩賚(おんらい):Ilwoon(イルウーン)

銘文(めいぶん):Le rouge/Solitaire/De gros Moineau (脹雀(ふくらすずめ)の/廓寥(かくりょう)たる/丹(に))

綽號(しゃくごう):L'Ouverture (ルーヴェルチュール)

靈驗(れいげん):膨張


覺書(おぼえがき):壹(イチ)

 “人民防衛国民会議(CNDP)”に所属していた元・少年兵。

 CNDPの司令官「ローラン・ヌクンダ(Laurent Nkunda)」が拘束された後は、コンゴ民主共和国に存在する複数の“暴力的な非国家主体(VNSA)”を渡り歩いた。

 そして、ある時、指し手たる蕃神の思召か、流れ着いた蕃神信仰の下部組織に身を寄せた彼は、その夜の内に恩賚(おんらい)を自覚した。年齢(よわい) 陸什(ロクジュウ)を越えてからの自覚は非常に珍しい。



    *



《人事ファイル:ec2c-JP-1180》

レベル3資料

作成日:B32年6月14日


氏名:天土屋伽(あまつち やとぎ)

性別:男

年齢:9

住居:東京都八王子市丸山町XX-XX 〒192-00XX


分類(クラス・コード):BLUE

所属:八王子市立U小学校/児童


階位(フェーズ):Ⅱ/Β(ベルカン)

能力名:圡荊芥《スプリング・エフェメラル》

能力:土を操る


備考1:東京支部/交渉部 四藏匡人(よつくら まさと)

 彼には命を助けられてしまいました。まだ子供なのですが、勇に満ち、血を見ても怯まない上に決断力もあります。もしREDになっても将来は安心ですね。



    *



【傍觀者(異地球):貳(ニ) - 秘】


諱(いみな):不明

字(あざな):無(風来坊)

性:女

齢:貳什肆(ニジュウシ) - 貳什陸(ニジュウロク)


屬(ぞく):傍観者

級:無


淨明正直《じょうみょうせいちょく》:肆句(シノク) - 明階

骸(むくろ):六角の金剛杖

銘(めい):未飜譯 追記→ 種子(しゅし)は/恒河沙(こうがしゃ)/厖大(ぼうだい)にして/些少(さしょう)なり

號(ごう):無

瑞(ずい):草木(そうぼく)


補:壹(イチ)

 乞丐(こつがい)の生まれ。瑞(ずい)を用いて食用果実を幻出する事で、西南戦争とそれに伴う混乱を生き延びた。彼女の「方舟の外周にへばり付いて世界線を越えた」という証言は茱萸(グミ)のものとも一致する。

 身柄の所在に付いては未だ協議中であるが、近衛旅団側に受け入れ態勢が整っていない為、MCG側が武装励起(ブソウレーキ)に関する研究も兼ねて管理する事になりそうだ。


 通信隊隊員 比良(ビラ)上等兵



    *



【神名帳(ジンメイチョウ):佰玖什伍(ひゃくきゅうじゅうご)】


觧名(かいみょう):fieg(フィーㇰ)

神號(しんごう):König des drachen (龍王)


氏族(しぞく):Reichhart(ライヒハート)

忌名(いみな):Kai(カイ)

性別:männlich (男)

年齢:31 (參什壹(サンジュウイチ))


階位(フェーズ):Ⅳ/Δ(ダグス)

能力名:Wiedergeburt (換骨奪胎(リ・バース))

能力:龍化


武位(ぶい):參句(サンノク)

恩賚(おんらい):Richtschwert (処刑人の剣)

銘文(めいぶん):Das offene/Betäubt/Schrumpfen (闊然(かつぜん)と/痹(ひ)/蹙(しじかがま)る)

靈驗(れいげん):痹毒(ひどく)


覺書(おぼえがき):壹(イチ)

 ドイツ、死刑執行人の家系「ライヒハート家」に、前触れ無く生まれた赤毛。両親にも身に覚えがないその赤毛の所為で、不貞の疑念や周囲の偏見に晒されていた。

 それでも、死刑執行人の責務を担うべく日々父親の仕事を手伝っていたが、国内に於ける「死刑撤廃論」の高まりにより、終ぞ、ただ一人の馘首(かくしゅ)を仕る事無く、罷免(ひめん)と相成った。

 されど、彼の望みは社会への復讐などという非生産的な視点にない。

 偏に、祖国を、延いては人類を思えばこその「救済」である。



    *



こんなところに梵天王! その4 著・神辺梵天王(かんなべ ブラフマー)



◆別地球α情勢 体制側・反体制側(蕃神信仰)の対立


 今回は、別地球αの日本に於ける『対立構造』と、それらが共通して認識する『纏骸(てんがい)伝説』に付いてお話しします。


 別地球αは、約二千年前に降誕した『纏骸皇(てんがいおう)』(次回、若しくは次次回解説予定!)を世界的象徴に据え、小さな小さな小競り合いや、ささやかな勢力の変化は経たものの、こちらでいう「世界大戦」もなく、平和に悠々と発展してきました。


 しかし、ごく輓近(ばんきん)のこと……。

 ある異教勢力が急激に台頭してきました。それが例の『蕃神信仰』です。


『纏骸皇』は、象徴としての君臨を認める者に限り、信仰の自由を保証しています。しかし、『蕃神(ばんしん)』なる正体不明の神へ熱烈な信仰を捧げる『蕃神信仰』は、単に『体制側』を否定するのみならず『纏骸皇』をも否定しています。ここが反体制勢力(パブリック・エネミー)として糾弾される謂われですね。(なお、『纏骸皇』自身は一度も『蕃神信仰』を否定していません。興味深いですね!)


『蕃神』が何なのか、それは『蕃神信仰』内でも『上位者的存在』である以上に詳しく説(と)かれる事はないそうです。ただ、「骸(恩賚(おんらい))を授けたのは『纏骸皇』ではなく、上位次元に位置する『蕃神』であるのだ」と説き、『邪教』からの改宗を声高に叫んでいます。



◆蕃神信仰の教義、儀式


 全てを挙げ連ねるのはキリがないので、我々MCG職員に関係するであろう部分に絞ります。覚えておくべきなのは『盤上の駒』と『神楽舞(かぐらまい)』の概念でしょう。


 彼等は、『纏骸者』を『神々の盤上』に上がる事を許された『盤上の駒』に例えます。そして、その行動、思考、来たる運命は、全て『盤外に座す者』――つまり『蕃神』の思し召しであると解(かい)します。

 その結果、ふとした閃きや思い付きを天啓として信じ込む傾向にあるそうです。それだけなら、唯の“思い込みの強い宗教家”でしかないのですが、次に述べる概念、『神楽舞』と組み合わさる事で、彼等はかなり傍迷惑な存在と化しています。


『神楽舞』とは、『纏骸者』の典拠ともなっている『纏骸伝説』(後述)に由来します。「舞」なんて華やかな語が付いていますが、実際の所、それは生死を掛けた「殺し合い」に他なりません。

 彼等は、『神楽舞』を見事に全うする事で『蕃神』の祝福、乃至は『鈍色(にびいろ)の鍵』を得られると信じているのです。



◆纏骸伝説


 日本発祥(?)という説もある、出処不明の伝説。

 口碑にのみ伝わる、『纏骸皇』『纏骸者』の名の典拠です。また、それらの事実は、纏骸皇が誕生する前、紀元前には存在していた、或いは元となる何かが存在していた事を意味します。

 以下に、内容の要約を記します。



 村一番の美男美女二人が舞台に歩み出、互いを互いが見た。

 その二人を見届人たちが取り囲む。

 時は満ちた。

 二人は『骸』を纏って、神へ捧げる舞を始めた(神楽舞)。

 舞は、二人の骨身が砕け、舞台が血で染まるまで続けられた(戦い?)。

 そうして、遂に神に認められた美男は、神の直々の『認可』を受け取り、美女の体内から『鈍色の鍵』を得た。

 美男は、名乗りを上げ、その鍵を用いて旅立った。



 というお話です。中々に難解ですね。

『鈍色の鍵』の効能については、『蕃神信仰』内でも解釈がわかれる所らしいのですが、別地球αでも同時期に唱えられ始めた『十二次元宇宙論』の仮説と繋がって『上位次元宇宙』へと招待される『現象』のイメージであるというのが主流の解釈だそうです。


 つまり、彼等の教義は「『蕃神』の示した相手(直感で見極める)と命をかけて戦えば(神楽舞をすれば)、救済されますよ、神の膝元へ行けますよ」という事なのです。そして、その相手とは、往々にして“ふとした閃きや思い付き”によって選ばれる……こう言えば、上述した「傍迷惑」の意味も分かって頂けるかと思います。



◆まとめ


『蕃神信仰』とは、こんなにも殺伐とした集団なのですが、「ムカつく奴(体制側)をぶっ倒して、『上位宇宙』に到達できるなんてサイコーだぜ!」といった具合に、社会に対する不満を持つ層をガンガン取り込んでいるそうです。

 職員の皆さんも、例え街中であろうと気を抜かないようにしましょうね!


(しかし、それ程までに勢力を増すなんて、別地球αでは社会に相当の不満が……いえ、詳しくは踏み込みませんよ!)


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