平和な戦場Ⅱ~帰宅途中での修羅場Ⅰ~
前のお話にアマテラスオオミカミの容姿の描写を追加しときました
俺たちは下駄箱から出て取り合えずそのまま校門を出る。ちなみに、国立理科高校の都市伝説にこういうものがある。『危険なウィルスが漏れでる恐れがあるのでこの学校の柵は学校を隠すほどの高さにのびて屋上からはちょうど立体の上の面になる金属の板がのびていき学校は密閉され校門はその立体のドアになる』
「なんで?」
「お、幼馴染だから!!」
おっと、つい意識がアイツ等の方に。これはさすがに国立理科高校といえど無理だろう。百歩譲ってあの柵といえるかどうか微妙な、いや、柵ではないアルミニウム『推定』の板が縦にのびたとしてもあれと同じようなものが横にはのびれないだろう。なぜかといえば簡単でこの世には重力というものがあるからだ。
第一、どうやって板と板をつけるというのか、別に板は先端がぼこっと?もしかして電気磁石が仕掛けられたりして。まさかな。
「痛い、痛い!!!」
そんなことを考えていると、現実に引き戻されてしまった。今の状況は非常にマズイ状況だ。主に俺の外聞と腕が。
で、どんな状況か、というと俺の右腕はいつもの通りのルートである右に行こうと幼馴染に抱きつかれながら引っ張られ、一方左腕は帰る方向が真反対なのか左に湯川さんに抱きつかれながら引っ張られている。そして、これが痛い。火事場の馬鹿力なのかなんだか知らないが二人はその柔らかい腕の感触からは想像できないような力で引っ張っているのだ。
もしかしたら、足腰を頑張って鍛えているのかもしれないが。ただ、見た目では普通の女の子と変わらず柔らかそうではある。そんなことを考えていると徐々に体が湯川さんが劣勢なのか幼馴染の方、すなわち右側に引っ張られていく。劣勢のほうである左側に居る湯川さんを見ると一生懸命に俺の腕を引っ張っていた。
面白いからという理由でそれほど頑張るものなのか?と思ったのだが湯川さんはそれのためにそれほど頑張るということなんだろう。そんな湯川さんが可哀想になったので俺はそこそこ大きい声で言った。
「痛いからちょっと止めてくれ」
「わかった」
「わかったけど普通に帰るでしょ?」
そう言う幼馴染に俺は自分でも顔が赤いだろうなと思えるほど顔を熱くして声音と態度は何気ない感じで耳打ちした。
「反対方向で行った方が久しぶりに長く喋れるけど」
「うん、そうだね」
幼馴染は顔を赤くして小声で言う。恐らくは俺に言外に長く喋りたいといわれて顔を赤くしているのだろう。騙したことによるちょっとした罪悪感と恥ずかしいセリフ言ったことによって俺は恥ずかしさを感じていた。