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バ革命  作者: 、、
〜番外・動乱の高校生編〜
32/96

番外編 エピローグ:通り過ぎ行く夏の気配

彼女は確信しただろう。

さっきまで感じていた“誰かがすぐそこで泳いでいる気配”が完全に無くなった。

それは同時に対戦相手であるオレ、天条(てんじょう)心二(しんじ)との勝負に勝ったということだった。


張り合いのなくなった勝負ほど、やる気のでないものはない。

アイツは……今西(いまにし)優璃(ゆり)は勝ち誇った顔をして優々と泳いでいるんだろう。


オレは笑った。


いやぁ、笑ってしまう。


ここから逆転出来るかもしれないんだ。もう25Mくらいは差をつけられてるだろう、そんな状況から、這い上がるための策をオレは手に入れた。


その策の重要人物(キーパーソン)となる青山(あおやま)礼愛(れあ)先輩は既にオレの言う通り泳いでくれている。目的地は前方で泳いでる今西優璃。



「……この差、革命(ひっくりかえ)してやるぜ」



――――数十秒前――――――






「……心二くん、これは少し、近すぎると思うんだが」


「あ……そっすよね!」





オレは青山先輩の言う通り距離をとる。さすがにオレも相手の息がかかるほどの密着状態は恥ずかしい。ていうか普通に興奮しますよねぇ。絶対今は青山先輩に下半身見せらんねぇ……!


「……それに、出会い頭にそんなことを言うものではないぞ?」


照れた顔からすぐにいつも通りの少しからかうような口調の大人びた声音に戻る。


……って、今は雑談をしてる余裕はないんだ!

桜南高校の隠れビッグレディーの青山先輩が目の前にいる。この偶然か必然かのラッキーを上手く活用すれば、優璃を出し抜けるかもしれない!


「青山先輩は水泳得意ですか?」


まずは確認の為に尋ねてみた。優璃に追い付けれるほど泳げなければ途端に勝機の光が閉ざされる。

オレは信じてるぜ青山先輩!

見たところ一人で来たであろうこのスパイラルプール。一人でこんなところに来るんだ、泳ぐのが好きという可能性は十分にあり得る。


「……水泳か?モチロン得意だ。ぼっちでここへ来てるのに、泳げないわけなかろう。運動神経にはかなりの自信を持ってるぞ?」


さっすが先輩!ぼっち無双青山先輩!期待を裏切らねぇぜ♪


「それじゃぁお願いがあります!今からあそこで泳いでる優璃とお喋りしてきてくれませんか?」


お喋り?と首を傾げる先輩。

うっ……、そんな凛々しいお顔で首を傾げられたらキュンと来るじゃないか!


「お喋りじゃなくてもいいんです!反対側のプールサイドへ辿り着かないように妨が……じゃない、とにかく足止めをしてほしいんです!」



むぅ、と顎に人差し指を付けながら考える。


ふっと笑いをこぼして見せた先輩は快く引き受けてくれた。


「何事か分からないが、可愛い後輩の頼みだ。引き受けよう。」


頷いたかと思うとすぐさまクロールで優璃のもとへ泳いでいった。


……って速い速い!!






――――――――――――





ものの数十秒で青山先輩は追い付いてみせ、優璃に喋りかける。

思惑通り、優璃の奴顔を真っ赤にして喜んでいるようだ。

さすが青山先輩のファンクラブに入ってるだけのことはある。

オレも人のこと言えないが。

……いやいや、あれは優璃が入ってみる?なんて言うから……



オレは優璃に逆転すべく泳ぎ続けている。

このまま差を詰めるのみ。



望むならそのままオレが優璃を通過していくのを見逃してもらえば楽に勝利を納めることが出来るのに。


オレは黙々とそして確実に優璃との離された距離を詰めていった。


次第にオレの視界に入ってきたのは、さっき見失った優璃の太もも、おへそ、お股(また)、そして大きなおっぱい。


……追い付いた……!


心二は深く潜った。

ここからは慎重に泳がなければならない。

深く深水して優璃に気付かれないように、優璃と青山先輩の爪の長さ、形をガン見出来るくらいには深水しただろう。

青山先輩とお喋りしているアイツにまわりは見えていないだろう。

これは、勝った……!

そう確信出来たのは、何なく二人をやり過ごすことに成功したからだ。


このまま気配を殺して泳げば……。



オレの勝利は揺るぎないものに変わりつつあったその時、突如女の子のしなやかな両手がオレの頬を捕らえた。


「…………っ!」


半(なか)ば強引にオレは水中世界から引き離された。やけに懐かしい彼女の顔がオレの目の前にあった。


「………はぁ……ったく。」


そんなオレの様(さま)を見て、優璃はぷっと笑い、オレの頬から手を離す。


あぁ、そっか。オレは失敗しちまったのか。




挿絵(By みてみん)



「……バレてたのかよ」


「あっったりまえじゃん……まぁ礼愛先輩を使ってきたのはさすがだよ心二。」


「そのまま先輩とイチャイチャしてくれてりゃ、楽に勝てたんだがなぁ」


オレのボヤきに優璃は嘲笑気味に呟いた。


「……礼愛先輩は、自分からあたしなんかに話しかけてこないよ。ましてや泳いでる最中の人になんて」


「……そんなもんか?」


「てゆーか、礼愛先輩すっごいカタコトで棒読みだったし。礼愛先輩には悪いけど実は最初から胡散臭いとは思ってたよ。」


「……むむむ。オレは泳がされてたってか。まぁでも、そんな先輩も可愛いだろ?」


「礼愛先輩すぐそこにいるよ?」


ちゃぽん、と後ろから勢いよく潜水する音が聞こえてくる。


「……コホン、優璃。お前がこうしてオレのバレバレな作戦に釣られてたってことはつまり……」


本題に戻したオレの目を優璃はギッと見つめた。


「そうだよ?僅差(きんさ)の超接戦を経(へ)ての決着。ギャラリー受け的にも物語的にも、この方が熱いじゃん?」


確かにな……って物語的!?なになに?何の話ぃ?

あ、物語って物語シリーズのことかな?パロディーネタだよな?メタネタ的なものじゃないよな!



「……全くだね!」


オレは気を取り直して深呼吸し、ゴール地点のプールサイドへと目を向けた。

すると、今まで意識していなかったからか、守郎達の声援が聞こえてくる。


残すところ10Mとなった男VS女の最終決戦の幕引きは目前だった。


「……そんじゃ。」


優璃の言葉を合図に、オレと優璃は地を蹴る。



「…………っ勝負!」



ばしゃん!と激しい水面を叩く音が最終決戦の口火を切った瞬間だ。


10Mなんてすぐに泳げる距離。

恐らく超短期決戦となるだろうこの一瞬、オレの勝率は100M水泳と比べるとはるかに分があるだろう。

すごい勢いで流れていく水中の殺風景な景色はさながら死に逝く者が見るという走馬灯のようだ。


……オレ死ぬのか?


目の前に見えた青い壁はゴール地点。


本当に一瞬の勝負だった。結果はわかりきっている。



オレの隣にはすでに誰もいないんだから。



「……っはっっ!」


水中から顔を出したオレの目の前には雫(しずく)を纏った細い手が伸ばされていた。


「ほい」


にひっ、とはにかみながら優璃は手を差し伸ばしていた。


「……サーンキュ」


グッと手を握るとそのまま優璃は心二を見つめていた。


……あれ?これって引き上げてくれるんじゃないの?


「……優璃さん、この手はなに?ファイトーいっぱーつっていう展開じゃないの?」


「いやぁ、あたしそんなに力強くないし」


てへへぇ、と笑う優璃の手を離し、自力でプールから上がる。


「ったく、速いなぁ優璃。こんな才があるなんて知らなかったよ」


「まぁね!」


いっしっしぃ、と笑う優璃ちゃんを見てると癒されるなぁ。ほんっと、ジト目で睨み付ける男勢の視線がなけりゃなぁ。

あ、奏ちゃんは別よ?


「おいおいてめぇ何負けてんだよ」


守郎が愚痴る。


「せやせや!」


奏ちゃん愛でたい。


「ホントだぜこの野郎」


陽志が罵る。


……って、待てよコラ。


「はっ、おいおい下痢野郎。お前に言われたくねぇよ」


「下痢野郎って誰のことだテメーー!!」


ここで守郎が吠える。


「なんでお前が反応するんだよ!陽志に言ってんだよ!」


「……え?オレ?」


コイツ……殺す!!


「さーーーてと、忘れてなーい?」


ゾッとするような声音で古旗がオレ達男子勢に尋ねる。


そう、負けた方は勝った奴の昼飯を奢る。確かそんな約束のはずだ。


「へ?何のことだ?」


嫌な顔を浮かべる男子の中で唯一、明るい表情で女子に尋ねる守郎。


「あぁ、そうか。垣峰は後から来たから知らなかったか。」


菜川が不憫そうな表情で守郎を見つめていた。


いや、ほんと同情するぜ下痢野郎……あーいや、守郎くん。


「そんじゃあたしラーメン!」


「うちはからあげ!」


「からあげって……胸が小さいから?からあげ食べたら胸おっきくなるって言うもんね。」


「うっさい!」


仲良さげに話す女子達。ラーメンって確か500円したよな?……はぁ。


「……なぁ心二、コイツら何言ってんだ?」


守郎の表情がだんだんと青ざめてきた。そうさ、これが敗者の迎える現実さ。


「……私はかき氷。」


「くーちゃん、お昼にかき氷はどうかと思うぞ?私はソフトクリームを。」


はっはっは、ため息しか出ないぞーあーっはっは!


「……では、私はパフェを頼めるか?」


「青山先輩!?まだいたんですか!?」


「……ほう、まだいたのか……とはまた……失礼(しちゅれい)な奴(やちゅ)だ。」


「……すみません!すみませんから本気で拗(す)ねないでください!」



「礼愛先輩!パフェくらいあたしが奢りますよーう!ささ、売店行きましょー」


「……う、うむ。……ありがとう……グスッ」


「では紅空さんにはこの僕がたこ焼きを買って差し上げましょう」


「ありがとう!えと、陽志くん?」


「なーーんで姉ちゃんがいるんだよーーー!!」



長いような短いような夏はこうしてあと数日で、幕を閉じてしまう

これが、オレ達の高校一年目の夏休みだった。


「……売店、行きますか。」


夏の終わりに余韻を感じつつ、それでもいつの間にか忘れてしまうような微かなものではあるが、今は確かに感じている。


そう、感じている。



あはっ、なんかエロい。



皆様、あけましておめでとうございます!

更新日は2014年、元旦でございます


このバ革命を連載し始めてーってのがなろうに関するオレの去年の思い出でした。

ははっ、すくねー笑


個人的には高校一年目、くっそつまんないですがね。ほんと、中学生に戻りてぇ。


あ、愚痴になっちまうね。やべーやべー


相変わらずニコニコ動画は毎日アニメの一挙放送をしていますね

ソードアートオンライン面白かった!

2期も発表されてますます楽しみですよ♪


ガキ使ほとんど見れませんでしたがね笑


おっと、あまり多くを時間はないんですよねぇ。

冬休みの課題終わってねぇし、ようやく回り道していたバ革命も次回より第4シリーズ!


少し時期はあくかもしれませんが、よろしくお願いします!


では、お正月楽しみショー!







挿絵(By みてみん)





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