パワーに圧倒される。徳俵に足が掛かってからが、勝負だ!
行事軍配が返る。
呼吸を合わせて、立つ。
ぶつかる。
衝撃が凄い。
圧力に、後ろに飛ばされたのは私の方だ。
負けるものか。
必死に左手を伸ばして前みつを掴む。
無意識に右でも掴んでいた。
自然と、両前みつを取って頭を付ける体勢になった。
愛里女関の長い手が、まわしを求めて伸びてくる。
止まっちゃ駄目だ。
止まったら捕まる。
私は激しくお尻を振って、長い触手から逃れようとする。
お尻を振ったおかげで、愛里女関の体が崩れた。
チャンスだ。
まわしを掴んだ右手を離し、下から押っ付ける。
愛里女関のおっぱいを鷲掴みするような格好になった。
ここじゃ駄目だ。
肘を取らないと。
押っ付けを離した瞬間、相手の圧力が襲ってきた。
やばい。
押される。
ズザザッと足の裏が土俵の土の上を滑り、あっという間に徳俵に足が掛かる。
嫌だ。
負けたくない。
徳俵に掛かった右足の裏に力を込め、命綱の左前みつをしっかりと握りしめて、左の肘を思い切り引いた。
2人同時に土俵の下へと倒れ落ちる。
行司軍配。
東。
うっちゃりで玉桜の勝ちだ。
耳を、劈く歓声。
やった。
これで、優勝決定戦に進む資格を得た。
勝ち名乗りを受け、花道を下がる。
体は土まみれ。
汗で土がべったりと着いている。
化粧なんかもうあってもなくてもいいくらいにぐちゃぐちゃだ。
あとは、結びの一番の結果を待つのみ。
結びに登場する2敗力女は若泉関。
初日に負けた相手だ。
もし若泉関が本割で負けたら、自動的に私の優勝が決まる。
そうなれば私が横綱だ。
でも、若泉関が負けるとは思わなかったし、何よりもう一度対戦したかった。
今度こそ若泉関に勝って、私は横綱になる。




