ワケミタマ
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ありがとうございます。
サクヤが言う隠し部屋に案内してもらい中に入る。
中にはなぜか懐かしさを感じる綺麗な一本の桜の木が
今の季節に関係なく満開の花を咲かせ出迎えてくれた。
「この樹は妾の分霊でもあるのじゃ」
「少し触ってもいいか?」
「優しくじゃぞ、妾と同じでデリケートなのじゃ」
なぜか顔を赤らめるサクヤ。
なんか俺も無駄に意識してしまい恐る恐る樹に触れる。
『いゃん』
『いや、樹に触っただけたからな』
サクサが悩ましい声を上げたので
すかさずツッコむ。心の中で……
もう一度。気を取り直して樹に優しく触れる。
サクサではない、サクヤに良く似た声が聞こえてきた。
『マスター以外のアクセス確認しました………』
『マスターの生存を確認。不正アクセスと認識……』
『いや、ちょっと待てい』
『何ですか不能野郎じゃなくて、不正野郎』
このコアは口が悪かった。
「サクヤも済まないが樹に触ってくれ」
サクヤは頷くと丁度俺と対称になる位置で樹に触れた。
『マスターのアクセス確認』
『うおぉ、喋ったのじゃ』
『いや、知らんかったんかい』
サクヤは樹が霊的な存在だとは知っていたが、
意思を持った者だとは気づいていなかったようだ。
『知らなくて当然です
マスターは私達を置いてけぼりにした、
宿無しで甲斐性無しの禄で無しが三拍子そろった
クソ野郎のせいでずっと寝てましたから 』
『安心するのじゃ、そのクソ野郎は見つかったのじゃ』
コアの容赦ない攻めと無自覚なサクヤの追い打ちで、
俺の心は釘付バットで滅多打ちにされたようにボロボロだ。
『マスターそれではもしかしてこの脳無し野郎が…』
『そうじゃ、何を隠そうこの能無しが妾たちの旦那様じゃ』
脳無しに能無しっ二重の意味で言ってなかった?
余りの酷い言われように心が絶叫をあげそうになる。
これ以上言われると泣いちゃうよ本当に……
『冗談はこれくらいにしておくのじゃ』
『私的には冗談では無いのですが……
マスターがいいと言うならこれ以上は言いません
その…お帰りなさい……』
コアの言葉に息を飲む、色々事情があったとは言え、
サクヤと彼女を迎えに来れなかったのは俺の責任だ
そこは素直に謝り。樹に額をつけ謝罪の意思を伝える。
『…ありがとう、それから済まなかった』
『………相変わらず何というか……
ただ私はマスターのように簡単に赦しはしませんからね』
『分かった、これから俺がお前達を守るから見ていてくれ』
『…はい、しっかりと見てますからね』
俺の意思を受け取ったかのように
桜の花びらが周りを包むこむと一瞬で散る。
「なぜか、モヤモヤするのじゃ
旦那さまぁ、妾もギュッとしてほしいのじゃ」
自分の分霊にすら嫉妬するサクヤが微笑ましくて
要望通りギュッとする。
それを遮るようにコアが話しかけてくる。
『マスターはもう少し自重すべきです
今は私が御主人様と話をしているのです』
『なっ、いま旦那さまの事を何と言ったのじゃ』
『ですから御主人様と』
『ごっ、ごっ、御主人様じゃとぉぉ』
サクヤがなぜか恐れ慄き顔を青くした。
何に怯えてるんだ?
『いくらクソ野郎でも、マスターの旦那様になるのでしたら
私にとっても仕えるべき御主人様ですから』
『…そう言うことじゃったか、しかし危なかったのじゃ』
『何が危なかったのですか?』
『御主人様と言えばメイド、メイドと言えば
日本男子の95%がイチャイチャしたいと望む存在
そなたが樹で本当に助かったのじゃ』
「いや、そのリサーチ絶対におかしいから
あと、その言葉、きっとフラグだから
言っちゃ駄目なやつだから」
俺は思わず声に出してサクヤに言う。
サクヤはそんなバカなと言わんばかりに
肩をすくめて腹立つポーズをする。
間違いないそれも含めて完全にアウトだ。
そのやり取りに呼応するように樹が大きく震えると
大量の桜の花びらが舞い散り俺とサクヤの前に集まる。
桜の花びら達は大きな渦を巻くと球体になる。
渦巻く桜の球体は淡く光ると人の形に変わり始める。
最後に眩しく光ると目の前に現れたのは
俺の予想していた通りメイドさんだった。
サクヤは呆然と目の前のメイドを見つめ叫ぶ
「バカな!めっ……メイドだと、ありえぬのじゃー」
サクヤは嘆きと共に両手両膝をついてうなだれる。
何故か勝ち誇った様にそれを見つめるメイド。
恐らくダンジョンコアであろうメイドは
分霊だけあってどこかサクヤにいていた。
ただ髪は桜色で長さも肩に掛かるくらい、
雰囲気も今のサクヤよりも歳上な感じだった。
何よりメイド服が似合いすぎていた。
「この姿では初見ですね、
はじめましてマスターとクソ野郎様」
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