表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ドラゴンおぢさん ~人の皮をかぶった最強ドラゴン無双乱武~  作者: 雨森あお
田舎町の酔いどれドラゴン
28/113

おじさんの武勇伝

番外編でーーーーーす


酔っ払いが娘の質問に答えるだけ


お楽しみくだされば幸いです

 ツールフの町を出発し、王都に向かうべく進むアレクニールたちは、目的地まであと一日という地点で野営をしていた。


「ねえねえ、おじさんってドラゴンだったんだよね?」


 ミィフィーユが話しかけてきたので、アレクニールは横を向く。

 

「信じられないか?」

「ううん、そうじゃなくて、何歳なのかなって」

「三百八十歳だな」

「え?」

「三百八十歳だ」

「そ、そうなんだ……結構、年上だったんだね……」


 ドラゴンの生態は、他種族にとっては謎だ。

 近づけば大抵喰い殺されるか、踏み潰されるか、とにかく危険すぎて調べることすらできない。

 ミィフィーユはドラゴンの寿命が長いことを知って、正直ビビった。


「ルリお姉ちゃんは?」


 聞かれたルリーシェラは、首をかしげる。

 彼女は自分が何歳なのか、知らない。


「わたしは……何歳なんだろう?」

「俺も気になるな……だがニンゲンの見た目と年齢の関係がわからん」


 アレクニールからすれば、男と女、大人と子供くらいしか判別ができなかった。

 ルリーシェラの容姿は、ミィフィーユやエクレアよりも大きいが、大人にも見えない。


「ミィフィーユ、ルリーシェラは何歳くらいだ?」

「うーん……たぶん、十四か十五くらい? わかんないけど」

「では十四ということにしておこう」

「うん、わかった」

「適当!?」


 アレクは笑った。

 こうしてルリーシェラに加え、旅の仲間が二人も増えたことが案外楽しい。


「おじさんが元・ドラゴンだから強いっていうのはわかったんだけど、どのくらい強いのかな?」

「なんだ? 強さ比べか?」

「ドラゴン族の中でも最強だったんだよね?」

「まあな……喧嘩では負けたことはない」

「喧嘩って?」

「竜相撲だ」

「えーと……リュウスモウ?」

「ああ、取っ組み合って頭が地面についた方が負けだ。子竜のじゃれあいみたいなものかな」

「大人はやらないの?」

「成龍がやると地形が変わってしまう」


 ははは、とミィフィーユは乾いた笑いが出た。


「じゃあ他種族は? 苦戦したことある?」

「うーん……」


 アレクニールは困った。他種族は大体集団で襲いかかってくるため、個の強さがわからない。


「おじさん、サブロウは?」


 そう言ったのはルリーシェラだった。彼女もどうやら気になるらしい。


「どうだろうか……強いとは思うが」


 そこで、まったく喋らないエクレアが妹に耳打ちする。

 普通に喋ればいいのに、とアレクは思った。


「エクレアはなんて?」

「うん、数字に換算したらどうかって。ドラゴン族にも数字はあるよね?」


 生態が謎のドラゴン族は当然文化も謎だ。ミィフィーユとしてはかなり気になるところだった。


「あるよ。昔はテキトーだったが巨人族と一緒になってからはきっちりするようになった。彼らは図体の割に細かくてな。金とかにうるさいせいでドラゴン族も数字を覚えたんだ」


 世界一いらない情報を得たミィフィーユは、変な顔をした。


「えーと、そうだね。おじさんの強さが10として、例えば武器を持ったニンゲンの兵士はどのくらい?」

「0.1以下だな」

「……単位を間違えた。じゃあおじさんが100だったら?」

「0.1以下だな」


 ずっぱりと言い放つアレクニール。


「おじさんが10000だったら?」

「0.2くらいか」


 どんだけだよ、とツッコミを入れたくなる。


「じゃ、じゃあさ、魔族はどうなの? 戦ったことある?」

「何度かあるが……魔族は測りづらいな。彼らは魔術を使うし、上と下の差が激しい」

「あえてつけてよ」

「うーむ……俺が10000だとして、魔族の戦士は……0.3くらいかな」

「変わんねえし!?」


 そこでまたエクレアがミィフィーユに耳打ちする。


「なんでエクレアは喋らないんだ?」

「ああ、姉さんが声を出すと災いが起きるんだよね」

「なんだそれ」

「あとで話すよ。それよりも精霊はどうかって」


 大陸の南方には大森林が広がり、そこに精霊はいる。彼らは版図を広げるニンゲンに対し、獣人たちを率いて戦っているのだった。


「精霊かー……」

「どうしたの?」

「いやー、昔を思い出すなー……」

「強い?」

「ああ、強い。かなりな」

「どれくらい?」

「彼らもピンキリだが……上はドラゴンに匹敵するだろう」

「そうなんだ」

「とはいえ数が少ないからな」

「戦ったことあるんだよね?」

「ある。特に印象に残っているのは『竜全て殺し隊』だな」

「リュウスベテコロシタイ……?」


 アレクニールは昔を思い出して遠い目になった。

 大陸の南東で行われた戦は、ドラゴン・巨人の軍対ニンゲン・精霊の連合軍。滅多に手を組まない彼らは、なにがあったか一時的に連合し、土地を奪いに来たのだった。


「二十四体の見目麗しい精霊からなる部隊だった。歌って踊れる精鋭だと聞いたし、実際に凄まじい強さだったな」

「う、歌って踊れる……」

「ああ、彼らの歌は周囲の者の力を上げる。これがなかなかに歯ごたえがあった」

「ごめん、なんか想像できない」

「苦戦こそしたが、半分ほど消し炭にしてやったぞ。懐かしいなー……うはは」


 ええ……と引くミィフィーユであった。


「戦ったのは一度きり。『竜全て殺し隊』はその後、音楽性の違いとかで解散したと聞いた」

「……」

「今にして思えば、なかなか魅惑的なダンスに見えたな」


 思い出してうっとりするおじさんを見て、ルリーシェラはなんかもやもやした気分になる。


「おじさんのスケベ」

「なぜそうなる」


 アレクニールは酒を一口飲んで笑った。


「ドラゴンには舞踊などという文化はないからな、余計に不思議だったよ。せっかくニンゲンの体になったわけだし、ダンスを習うのも一興かもな」

「いや、それは……別にいいんじゃないかな……」


 おじさんのダンスなど、足をぐるぐる回して敵を殺しまくる映像しか浮かばないミィフィーユであった。

 一方で元・ドラゴンのおっさんが言う冗談を聞いたルリーシェラは、ほわんほわんほわんほわんと違う映像が頭に浮かんでくる。


 フリフリの可愛らしいコスチュームを着て拡声器を持ったおじさんがウィンクし、隣には同じような恰好をしたサブロウと、何故かユルハ島収容所の所長も踊っているのだった。


「ぶふっ!?」

「ルリーシェラ、どうした?」

「……い、いや、別に」


 悪夢のような映像だったが、どこか可愛らしさもあり、しばらくは忘れられそうにない彼女だった。


「まあ……個人の強さなど数字では測れないだろう。結局は勝つか負けるか、生きるか死ぬかだ。生き残れば再び戦って勝つチャンスはあるし、極端に言うと自分以外が先に死ねば勝ちだしな」

「それはそうだけど」

「永遠不滅なものなどない。栄えればいつかは衰える。それは歴史が証明しているんじゃないか?」

「今は弱くても……ってこと?」

「そういうことだ」

「ふーん……なんとなくためになった気がする」

「そうか?」


 ちょっと思うところがあったミィフィーユは、口を閉ざした。

 エルフの帝国を復活させたい彼女としては、聞き逃せないセリフだ。


「おじさんは……元の姿に戻りたいんだよね?」

「まあな」

「もしも戻れたら、その後は?」

「……そういえば何も考えてなかったなあ」


 酒と戦しか頭になかったアレクは、笑った。


「たくさん酒を飲んで寝る。それでいいかな」

「おじさんはブレないね」

「単純な方がいい」


 楽しそうな元・ドラゴンのおっさんを見ていると、なんだかおかしくなってルリーシェラや双子も笑ってしまうのであった。

 

新章は明日から更新します


ここまで読んでいただきありがとうございました


よろしければブクマ、評価などなどお待ちしてます

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ