ウチのポテト_12/24_??
混沌としてる。
それは、一つの足音だった。
引きずる足音でも
変な音を出してるわけも無く
普通の人の足音に聞こえる。
洞窟の中で異常に響く足音を
怪しさ全開の
黒い講師だと、私は思った。
いや、この場に居る全員は
黒い講師だと思った。
その男は赤を滴れ
服も顔も口元も手も足も
赤い、液体に塗れたように
濡れている。
・・・・・・・。
【大きな怪我は無し】
幽霊ユウキの
言葉が文字が頭に響く。
〔部分欠損も、ないですね〕
冷静に御稲荷様の使いの方である
沖彝様の文字が響く。
【気配は、変な気がする】
幽霊ユウキの三割である
イツキは告げた文字に
眉を寄せてしまった。
「あのー、すいません」
間の延びた声が洞窟内で響く。
男の特長は
優しげな温和な笑み。
若干垂れ目で
髪の毛を団子にまとめて
何房か垂らして・・・??
【ハーフアップな】
幽霊ユウキが
いつもの突っ込みを入れてきた。
まぁ、私の心の声というか
思考がだだ漏れなのは
何時もの事。
『それでした』
とりま、髪の毛が長いのは分かる。
「誰か食料を分けてくれませんか?」
「いいですよ」
場がザワついた。
私を凝視する人が多く
バスでお隣さんだった
制服の女の子は
有り得ない物を見るように
眼を動かして
私の姿を上から下を見る。
【待て】
良いでは無いか。
『筒箱に入ったポテトチップを
あげるだけですよ』
だって、こんな現実は辛すぎる。
敵対生物や人の死体が散乱してるとか
もう、心がパキパキするのじゃ。
パキパキバキーンなのじゃ。
【だーかーらー!!
現実逃避をするな!!
俺達が死ぬ!!
死ぬから、二度も死にたくないの
分かるだろ!!】
ユウキの
生存欲発言・・・・・。
ウニャウニャ、猫もふ猫もふ。
〔あー、駄目ですね。
セルフ発狂してますよ、これ〕
【知りたくなかった!!】
・・・・・・・・。
〔ぼく、うり助!〕
リュックの中にある
何カが勝手に動いた。
・・・・。
干支の亥ぬいぐるみが
本体のうり助が
また、動いたのだろう。
バスの中でも勝手に動いてたし。
【うん。今は黙ろ】
ユウキの発言に私は同意した。
近くまで来た男に
リュックから
筒型のポテトチップスを渡す。
乱雑に蓋を開けて
ポテトチップスが入った袋を
丁寧に開けて
赤に塗れた手で
ポテトチップスに赤が付着しても
気にせずに口へ運ぶ。
そして、咀嚼音が響く。
その手から遡り、
この男の姿は、
私が知らない赤いモノだ。
それは、私が見たことの無い
現実その物だ。
いつか、
その色に染まる未来を感じた。
視界はそのままに
黒く白く・・・・・・。
目の前に居るソレは、
大半が赤く濡れており
所々に赤くてブヨブヨした破片が
着いている。
何所も裂けてないようで
赤を流してない。
分からない。
「あの、お願いがあります」
分からない。
面にある硝子玉から
液体を流しながら
開閉する穴に
黄色い何かを放り込んで
軽快な音を出しながら
それは音を発した。
「お願い」
分からない。
同じ音を発する。
「仲間になりません?」
分からない。
ソレは、音を発した。
「仲間になりません??」
分からない。
同じ音が裏返り発する。
【本格的に発狂した!?
おい、タリス!!
正気に戻すために、
危害未満の危害を
涼にするから見逃せ!!】
ソレは、
一つ一つ違うの絵が
いくつも並んだモノが流れてきた。
分からない。
「ふぎゃっ!!」
不意に気付く。
脇腹を掴まれた!!が、
隣に誰も居ない。
複数の視線が、突き刺さるが
そんな事よりも
脇腹を掴んだのは誰だ!!
「えーと?
困惑するのは分かりますが
仲間になっては駄目ですか?」
駄目ですか?の前に
誰がした!!
近距離に居る人は
手をのびしても届かないな!
なら、こちら側の誰かだな!
〔タリスさん!
今、目の前に命運が転がってますので
御了承して下さいまし!!〕
沖彝様がタリスに対し
説得してるように聞こえる。
【それ位、分かってるわよ。
涼に本格的に害したら潰すわよ】
幽霊組だな!
精神分析、物理を
ポルターガイストでしたな!
理解した。
【ついでに、
また一時的だが、涼。
体を借りるぞ。
返すから、返すから許せよ!】
状況が分からないし
返すなら、いいよ。
返さないなら
女の現実と
有り得る可能性を突き付けてやろう。
【絶対に返します!!】
焦り気味の
幽霊ユウキに言葉を返される。
女って面倒が多いのだよ。
ユウキの生前は
本人の自己申告だが
男だから、心が削れるはず。
【用が済んでも
涼の体を乗っ取るなら
処すわよ】
【分かってます!】
タリスに注意されて
当たり前の返事をする。
なんだか、
いつもの日常での会話で
気が抜けるが、
この状況に発狂しそうだ。
いや、私は発狂してたらしいけど!
「良いですよ」
私の口は勝手に動いた。
幽霊はこう言うことも出来ると
言うのは
小説漫画などのサブカルチャーでは
ありがちだし、
そもそもで時たま、
幽霊組の思考が文字として読めるので
その辺は気にもしない。
「でしたら、名前が欲しいです」
何を言ってるのかしら??
言葉を口から紡ごうとするが、
なんの声も出せない。
【分かるけどステイ】
解せぬ。
真剣に名前を考えるか。
なら、渡したのがポテトチップ。
だから、
ウチのポテトで
「ウチのポテトで」
言うと辺りの音が消えた。
全ての目線が
こちらを向いている気がする。
【待て。
今、思考そのまま復唱したけど
それは名前じゃない。
シリアルってるぞ】
シリアルってる。
シリアスさん、
バイバイの意味だよね。
ネットスラングが飛び交う
脳内チャットってなんだろ。
「チェンジをお願いします」
目の前に居る
ウチのポテトは口元を歪ませて
眉を寄せた。
いや、なんか、
ポテトチップスで喜んでるから
つい、
現実逃避と一緒にネタに走った。
悪気は無い。
無いけど、すまん。
ジャガイモ。
紫色の芋はカタカナばかり。
黄色の芋、品種は
とうやが人名ぽいかな?
【よし、ソレがマシだ!】
マシとは!?
「うちのトウヤは?」
勝手に口が開き声を出す。
奇妙な感覚だが
普段からよく見る夢の感覚に
似てる気がするが
よくは分からない。
「それで、お願いします!!」
終わった。終わったよ。
【私の話を聞いてたの?】
タリスがユウキに
話しかけた。
何だろ。死の宣告みたいだわー。
【聞いてた!】
めちゃ焦ってますやん。
あ、タリスから威圧が感じて
開戦の予感がしてきた。
と言うか、内輪もめはやめて!!
【言っとくが
絶対に涼に危害も加えない!
俺の所属組織で
異常認識してる人間なんて
涼しか、居ねぇからな!】
うん。うん。
ユウキのそう言う所を知ってる。
だって、私のことを
代えの利かない駒発言してますし。
【俺の所も涼しか居ないのですが!!
異常認識して、
動いてくれそうなチョロい人間は
こっちも皆無だから、
危害を加える事は皆無!!】
真っ白さんの所属組織も、
居ないのか。
私はチョロい人だから気にしないぞ。
〔そうですよ!
私の知る限りでも
信者、職員離れが
昨日今日で加速してますので
監視対象である涼子さんしか
頼れそうな人間がいませんので
稲荷神社側としても困ります!!〕
まって、情報過多。
御稲荷様の信者って、
かなりの数では???
【沖彝!?
マジで他に居ないのかよ!!
居るだろ!!】
確かに!
〔居ても居ません!!
私達、数種類のオカルトと
仲良しな涼子さん繋がりの
貴方達のコネはおいしいです。
後は分かりますね〕
あー、そっか。
確かにコネがおいしいわ。
ユウキの所属組織は
対価次第で
割と何でも依頼出来るし
真っ白さんの所属組織は
非公認ながらも
日本最大の組合系組織だ。
しかも、信仰は様々で
集計を取れる。
この、三組織、
ユウキと真っ白さん、沖彝様が
手を組めば
かなりの出来る幅が広がる。
【欲丸出し、分かるけど!
総無視安定がオカルトなのに
涼が中心なのか、が
俺にとっては問題だよ!】
〔問題でもドンとスルー!!
総無視なんて出来たら
今の関係がありません!!〕
【ですねー!!】
なんつう、言葉の応酬よ。
思考がハッキリしてから
ここまで数十秒よ・・・・。
いつもの私と彼etc.の
投稿する小説に書き起こせそう。
内容はボヤッとさせないと
身バレしたとき、殺されそう。
「ゴホン。
お話、よろしいかしら?」
バスでお隣の制服女子が
咳払いをしてから
血塗れの
ウチのトウヤに話しかけた。
話しかけた辛い空気を作って
すいません。
「はい。何でしょ?」
それに対して
未だ血塗れウチのトウヤは
返事をした。
口元にまだ、笑みを残してる。
「講師は何所に居るのか知ってる?
死んだりはしてないはずよね?」
確かに。
確かに、黒い神父の男が
シナリオ序盤に死ぬなんて
有り得ない。
強いのは確かですし。
「死にました」
は?
「何に」
「黒い何かにです」
短く簡潔で分かり易い
回答です。
黒い何かでしたら
ショゴス、無形の落とし子も
黒かった気がする。
あー、詳しく思い出せない!!
【ショゴスは原油だろ。
ベースが黒いが、虹色に蠢くから
ショゴスは違う】
『リアル神話知識は
強いですなー!!』
私もユウキ達と同等の
クトゥルフ系TRPG実況を
見てる。
私より前に取り憑いた人が
クトゥルフ系TRPGに
関わってたら
その限りは無いですが!
「それに姿。
いえ、質量はあったかしら?
形状、臭い、武具の有無でも
何でもいいわ。
情報が欲しいの」
うわー、聞き方がうまい。
私でもそこまで思い付かないよ。
【出来るようになれ。
俺達もアイデアを出したり
サポートはするから
いずれ、お前一人でも
あれぐらいは出来るようになれよ】
痛い指摘を受けて唸りそうになる。
なるが、聞き逃さないように
目の前の会話に集中する。
「黒いモヤに輝く三つ目。
モヤに包まれたら
皆さん死んで逝きました。
後、モヤは
怪しげな言葉を言ってました」
「それは、うん。
私にはよく分からないわね」
・・・・・・。
それ、呪文では?
もしくは、
ドリームランドのどこか言語。
たしか、蛇人間も独自の言語が
あった気がする。
【黒いモヤに輝く三つ目、か。
分かるヤツ?】
居ないみたいだ。
考え事をしてる唸り声らしき
文字が脳内をめぐる件について。
「ホントですね。
その時、僕も何の言葉を言ってたか
分からないですよ」
「そう。
なら、話を変えましょう」
制服女子は
思考を巡らせるように
目を閉ざし
そのまま、口を開く。
「帰るまでが遠足。と
言いますし、帰りましょう」
全てが場違いな制服女子は告げた。
私は、改めて周りを見た。
近くに居るのは
私とウチのトウヤの二人だけ。
ようは、私達に言ったのだ。
【この、狂人相手するのもうヤだ】
ユウキの文字に同意した。
一時的発狂した事を
思い出しました。




