15. 1話あたりの文字数なのじゃ
☆データ情報☆
※使用したデータは2026年09月29日時点のものなのじゃ。そのため今の値から多少ずれがあるのじゃ
※これらのデータは公式から提供されるものではなく、個人が集めたデータからの推測なのじゃ。
「さて小僧、今回は、みんなが1話を何文字で区切っておるのか、そしてその長さによって総合ポイントはどう違うのかを見ていくぞ!
あらかじめ断っておくが、今回のデータも、短編を除いた連載作品だけが対象じゃ。さらに『1話あたりの文字数』は、作品の本文の文字数を話数で割った平均の値じゃ。
APIからは1話ごと文字数は取得できんゆえ、こうして作品全体の文字数を話数で割って出しておるのじゃ。回ごとの長さのばらつきは、この数字からは見えんので、あくまで『平均するとこのくらい』という目安じゃと思って見るのじゃぞ」
「は、はい……! わかりました」
「まずは全体からじゃ! 全サイトの連載作品の『1話あたりの文字数の分布』を見るがよい!
横軸は500文字ごとの区切りじゃ。作品全体の文字数のグラフでは桁違いの差があったから対数区切りを使ったが、1話の長さはそこまで桁が飛ばんから、ここは普通の等間隔の区切りにしておる。
一番高いのは『2,000〜2,500文字』で、全体の約11%じゃ。その隣の『2,500〜3,000文字』(約10%)と『3,000〜3,500文字』(約10%)もほぼ同じ高さで、この3本を合わせると約31%じゃ」
「けっこうきれいな山になってますね」
「うむ。そして幅を広げて『1,500〜4,000文字』で見れば、全連載作品のおよそ半分がここに集まっておるのじゃよ。多くの作者が、1話をおよそ1,500〜4,000文字くらいで区切っておるということじゃな」
「普段読んでいる連載の1話って、大体これくらいの長さなんですね……。あ、でも神様、一番右端の『1万文字以上』の棒だけ、約5%もあって急にピョコッと高くなっていませんか……?」
「それはな、1万文字以上の作品を全部ひとまとめにして、右端の1本の棒に入れておるからじゃよ。1万文字も2万文字も一緒くたにしたから高く見えるだけで、山が2つあるわけではないぞ。本当は、1万文字から先も、なだらかに少しずつ減っていく裾が続いておるのじゃ」
「では次に、サイトごとの比較を見ていこうかの!
サイト別の中央値を見ると、ノクターンが約3,370文字、ムーン女性向けが約3,170文字、ムーンBLが約3,040文字、そしてミッドナイトが約2,680文字じゃ」
「どのサイトも約3,000文字で、ほとんど差がありませんね?」
「そうじゃ! サイトによる差は、最大でも約700文字ほどじゃ。ノクターンが一番長めで、ミッドナイトが一番短めという傾向はあるが、どのサイトでも『真ん中の連載は、1話あたり約3,000文字』というのは共通しておるのじゃ」
「男性向けでも女性向けでも、1話3,000文字くらいが基準なんですね……」
「ただ、時代をさかのぼると傾向が少し変わるぞ。初回掲載年ごとの中央値を見ると、2005〜2009年の初期は、1,200〜2,800文字と全体的に短かったのじゃ。当時はまだスマホではなく、いわゆるガラケーの小さな画面で読み書きする人が多かったから、1話を短く区切っておったのかもしれん」
「確か、ケータイ小説が流行ったって聞いたことがあります」
「うむ、ムーン女性向けが特に低いのはその影響じゃろうな。そしてスマホが普及し始めた2010年ごろからじわじわと伸び、2016年あたりで各サイトとも今の水準に届いて、その後の10年はほぼ横ばいで安定しておるのじゃよ。ミッドナイトだけは、他のサイトより500〜800文字ほど短いまま推移しておるがの」
「ミッドナイト……」
「さあ小僧、ここからが今回の見せ場じゃぞ! 1話あたりの文字数によって、総合ポイントの中央値はどう違うのか……形式別の折れ線グラフをよく見よ!
横軸は、さっきと同じ500文字ごとの1話あたりの文字数じゃ。その区切りに入る連載の総合ポイントの中央値を、完結連載と連載中の2本の線にしておる」
「えーっと、その文字数のところの数値が高いとポイントが入りやすいってことですか?」
「そうじゃな。グラフを詳しく見ると、1話が500文字未満だと完結連載でも連載中でも中央値はたったの約10pt、1,000〜1,500文字でも完結連載で約140pt、連載中で約50ptとまだ低い。じゃが、そこから文字数が多くなるにつれて階段を駆け上がり、完結連載は3,500〜4,000文字のところで『約1,000pt』まで上がっておるのじゃ。
つまり、1話2,000文字未満の短い連載は、総合ポイントの中央値がかなり低いということじゃよ」
「1話が短すぎると、全然ポイントが入らないんですね……。神様、3,500文字から7,000文字あたりまで、完結連載の中央値はずっと約800〜1,000ptで、そんなに変わってないですね?」
「素晴らしい観察眼じゃ、小僧! 1話が3,500文字を超えると、そこから7,000文字あたりまでは、文字数をさらに多くしても、ポイントの中央値はほとんど変わらんのじゃ。連載中でも同じで、4,500〜7,500文字の間で約260〜300ptを保っておる」
「3,500文字から7,000文字の間なら、ポイントの高さは横ばいなんですね……。あ、でも……7,000文字を超えると、また線が右肩下がりに落ちていって、1万文字以上だと完結連載でも約420ptまで下がっていますよ……?」
「うむ。Web小説の読者は、通勤や休み時間のようなスキマ時間に、スマホで少しずつ読む人が多いと言われておる。1話が長すぎると、1回で読み切れずに途中で離れてしまったり、読み始めるのを後回しにされたりしやすいのじゃ」
「なるほど、そういう理由があるんですね……」
「さて、ここからが大事な注意じゃ。
このグラフを見て『1話を4,000文字にすればポイントが上がる』と考えるのは早計じゃぞ。いくら文字数を増やしたところで、肝心の中身がしっかりしておらねばポイントは入らんのじゃ。文字数を水増しするだけではなく、物語としてちょうどいい区切りを作るのが大切じゃ」
「確かにそうですね」
「このデータからとりあえず言えるのは『1話が短すぎる、または長すぎる連載はポイントが低い傾向がある』というところまでじゃ。それでも、1話あたりの文字数の真ん中が約3,000文字なのに対して、ポイントの中央値が高いのは、それより少し長めの『3,500〜7,000文字』のあたりじゃ。1話をどこで区切るか迷ったら、目安の1つにはなるじゃろう」
「では最後に、1話あたりの文字数の帯ごとに、どれくらいポイントが取れておるのかを、100%積み上げ棒グラフで見ていくぞ! 読み方は文字数の回と同じじゃ。1本の棒がその帯の連載全体で、下の灰色が0pt、上へ行くほど明るい色の高いポイントじゃ。棒の高さはどれも100%じゃから、作品の数は表しておらんぞ。
まずは全体のグラフじゃ。1話が短い左側の帯ほど、一番下の灰色の『0pt』が多くて、右へ行くほど明るい高ポイントの色が増えておる。500文字未満だと0ptが約22%もあるのに、1,500文字を超えると、0ptは2〜5%まで減っておる」
「1話が短いと、あんまり好まれないんですね」
「そうじゃの、読者は満足することでポイントを入れるからの。ある程度の文量は必要じゃな」
「サイトごとの違いも見るのじゃ。まずノクターンじゃが、1千pt以上の明るい色が一番多くなるのが『6,000〜6,500文字』あたり(約38%)で、他のサイトより右のほうにあるぞ。1話を長めにしても、高ポイントの割合があまり落ちんのじゃよ。1話を1万文字近くにしても読まれるようじゃ」
「ノクターンは、1話が長めの作品とも相性がいいんですね! じゃあ、ムーン女性向けはどうですか……?」
「ムーン女性向けはわかりやすいぞ。3,500〜7,000文字の帯では、なんと半数以上(約54〜56%)の連載が1千pt以上じゃ! 1万pt以上も14〜15%あるのじゃ。
ムーンBLも似た形じゃが、一番明るくなるのは『4,000〜5,500文字』(約45%)で、6,000文字を超えると下がっていくのじゃ。ムーン女性向けより、山が少し手前で狭いのう。
共通することとして、女性向けでは1話の文字数があまりにも多い作品は好まれておらんことがわかるのじゃ」
「ムーンでは、3,500〜5,500文字くらいの連載にポイントが集まりやすいんですね……!」
「そして、ミッドナイトは……どの文字数の帯を見ても、一番下の灰色の0ptが約2割以上あるのじゃ。500文字未満では約69%が0pt、2,000〜2,500文字でも約28%、3,000文字を超えても約18〜25%が0ptのままじゃな。1千pt以上の割合も、どの帯でも1割以下にとどまっておるぞ」
「ううっ……ミッドナイトは、1話を何文字で書いても、2割以上の作品が0ptから抜け出せないんですね……」
「然り! 小僧、お前さんがもしミッドナイトで連載を始めるなら、『1話を何文字で区切るか』で悩むより先に、『話数を重ねて、作品全体の総文字数をいかに積み上げていくか』ということのほうが、ずっと重要じゃと知っておくのじゃ!」
◇
「どうじゃ小僧、1話あたりの文字数の感覚は掴めたか?」
「はいっ……! 連載の1話あたりの文字数の真ん中は約3,000文字で、この10年間ほとんど変わっていないこと……それから、1話2,000文字未満の短い連載はポイントが低い傾向があって、3,500〜7,000文字(女性向けなら3,500〜5,500文字)あたりの連載のポイントが一番高いってことが、よく分かりました……!」
「うむ、よくぞ学んだ! もちろん『1話は何文字で書かねばならん』という正解など存在せん。じゃが少なくとも、1話が数百文字の回を細切れに出すより、1話あたり3,500文字くらいの読み応えを目安にしてみるのは、悪くない考えじゃろうな」
「はいっ!」
「さて次回は、タイトルの文字数を見ていくのじゃ。長いタイトルは本当に読まれておるのか、それとも短いタイトルが読まれておるのか……次回、タイトルのデータについて見ていくぞ!」
「は、はいっ! 次回もよろしくお願いします、神様……!」




