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13. 文字数その2なのじゃ

☆データ情報☆

※使用したデータは2026年09月29日時点のものなのじゃ。そのため今の値から多少ずれがあるのじゃ

※これらのデータは公式から提供されるものではなく、個人が集めたデータからの推測なのじゃ。

「さて小僧、前回は文字数そのものの分布や、形式ごとの長さの目安を学んだな。今回は、前回の最後にお前さんが投げかけた疑問……『たくさん書いた長い作品のほうがポイントを稼げるのか?』に答える時が来たぞ!」


「はい……!」


「今回のグラフも、横軸は前回と同じ対数区切りの文字数じゃ。1本右へ進むごとに約1.8倍、4本進むと10倍じゃ。その文字数の帯ごとに総合ポイントがどうなっておるかを見ていくぞ」







挿絵(By みてみん)


「まずはサイトを混ぜた全体のデータからじゃ。『文字数帯ごとの総合ポイントの分布』じゃ」


「えっと、これはどういうグラフなんですか?」


「これは100%積み上げ棒グラフじゃ。1本の棒がその文字数の帯に入る作品全体――100%を表しておる。その棒を、総合ポイントで5つの段階に分けて、色で塗り分けておるのじゃ。


 一番下の灰色が0pt、その上の焦げ茶が1〜99pt、次が100〜999pt、その上が1千〜1万pt未満、一番上の明るい黄色が1万pt以上じゃ。上にいくほど色が明るく、ポイントが高いことを示しておる。つまり明るい色が多い棒ほど、その長さの作品にポイントの高いものが多いということじゃ。


 さて、このグラフを見ると、文字数が多くなる右の棒ほど明るい色が増えておるじゃろ?」


「本当だ……! 一番下の灰色の0ptは、約3千文字を超えると数%まで減っていますね。10万〜約18万文字だと1万pt以上が約1割あって、100万文字以上だと約3割が1万pt以上になっています!」


「そうじゃ。じゃが逆からも見るのじゃ。100万文字も書いた超大作であっても、およそ4分の1は1千pt未満なのじゃぞ。文字数の多さだけでは、ポイントは決して保証されんのじゃ」


「100万文字書いても、そんなにポイントが入らない作品もあるんですね……」


「うむ。そしてここが今回一番大事な注意じゃ。『長い作品ほどポイントが高い』のは事実じゃが、『長く書けばポイントが上がる』とは言えん。


 1つ目に、読者が付いてポイントが入った作品ほど、作者がやる気を出して続きを書くものじゃ。『読まれたから長くなった』という逆の流れがあるのじゃな。


 2つ目に、長い連載はそれだけ長い期間掲載されておるから、ポイントが積み上がる時間がたっぷりあったということじゃ。


 3つ目に、話数が多いほど、更新のたびに読者の目に触れる機会も増えるからの。


 この3つが混ざっておって、データからは切り分けられんのじゃ。このことを頭に置いたうえで、続きを見ていくぞ」








挿絵(By みてみん)


「次は、文字数の帯ごとの箱ひげ図じゃ。縦軸はこれまでと同じく、100ptを超えたところから対数目盛りじゃぞ。


 箱の中の線、中央値を見ると、基本的に右肩上がりじゃ。先ほどのグラフと同じように文字数が増えるほど箱は右上にいっておる」


「やっぱり文字数が多いとポイントも多くなる傾向にあるんですね……」


「うむ。ここで面白い特性も見ることができるぞ。約3千〜5千文字の帯で中央値が約80ptじゃったのが、1万〜1万8千文字の帯では約300ptと、ぐっと上がっておる。じゃが、そこから約5万6千文字までは、文字数が5倍以上に増えておるのに、中央値は約300ptから約400ptとほとんど増えておらん」


「え? どうして途中で中央値がそんなに増えなくなるんですか?」


「その謎を解き明かすのが、形式別の中央値じゃよ! この折れ線グラフを見よ!」







挿絵(By みてみん)


「このグラフは、文字数の帯ごとに、短編・完結連載・連載中の3つに分けて、それぞれの総合ポイントの中央値を線でつないだものじゃ。同じ横の位置で3本の線を上下に比べれば、『同じ長さなら、どの形式が高いか』が分かるのじゃ。


 1万〜3万文字あたりでは、短編の総合ポイントが一番高いのじゃよ! 特に1万7,800〜約3万1,600文字の短編は、中央値が約900ptという山を築いておる。同じ長さの完結連載(約400pt)の2倍以上、連載中(約150pt)の6倍近くじゃ!」


「同じ2万文字くらいなのに、短編がそんなに高いんですか……!?」


「評価ポイントの回で話した通り、読者は『読み終えた瞬間』に★を入れやすいからじゃろうな。短編は1話で完結するから評価が入りやすいが、連載の2万文字は『まだ序盤の途中』じゃ。評価が後回しにされやすいのじゃよ。


 さっきの箱ひげ図で、1万〜5万6,000文字あたりの中央値が横ばいじゃったのは、1万〜3万文字ではポイントの高い短編が全体を押し上げておるが、3万文字を超えると短編が減ってポイントの低い連載ばかりの帯に切り替わるため、上昇分が打ち消されて足踏みしておるように見えるからなのじゃ。そこから先は連載が中心になるから、文字数が多いほど中央値は上がる傾向にあるのう」


「なるほど……! でも、短編の線は3万文字を超えると急に下がっていますね」


「うむ、あまりにも長い短編は逆に読みづらく、最後まで読まれなくなるのかもしれんの。ここから読み解けるのは、3万文字くらいまでの物語なら連載より短編にしたほうが高いポイントを集められるということじゃ。それ以上の場合は連載にしたほうが良さそうじゃ」


「なるほど……」











挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)


「では、グラフの読み方を説明したところで、サイトごとに見ていくぞ。まずは男性向けのノクターンじゃ!


 分布を見ると、100万文字以上の作品では1万pt以上が約35%もある。箱ひげ図の中央値も、1万〜1万8千文字で約190pt、10万文字の帯で約760pt、100万文字以上で約5,300ptと、きれいに右肩上がりで伸びておる。


 そして最も注目すべきは、形式別の中央値の折れ線グラフじゃ! 小僧、完結連載と連載中の2本の線を見比べてみよ。何か気づかんか?」


「えっ……? ええと……完結連載と連載中の線が……途中まで重なってますね……!?」


「その通りじゃ! わしはブックマークや総合ポイントの回で、『完結連載はポイントが高い』と教えたな?」


「はい! 完結連載が一番強いって教わりました!」


「じゃがノクターンに限って言えばな、同じ文字数でそろえて比べると完結しておろうが連載中であろうがポイントにほとんど差がつかんのじゃ! むしろ連載中のほうが高いまであるぞ。つまりノクターンの完結連載のポイントが高かったのは、『完結しているから』というより、『連載中には序盤の数千文字で止まった作品が大量に含まれておる一方、完結連載には最後まで書き切られた長い作品が多かったから』という面が大きいようじゃな」


「ええええっ!? 完結してるかどうかじゃなくて、文字数の差だったんですか!?」


「見方を変えれば、見える姿も変わるのじゃ。これぞ統計の面白さじゃな! 『形式で分けると完結連載が高い』も正しいし、『長さをそろえると差が消える』もまた真実なのじゃよ。矛盾しておるわけではないぞ。


 ノクターンは、長さとポイントの関係が一番まっすぐな土俵じゃ。100万文字を超える超長編に至っては、完結連載(約4,450pt)よりも連載中(約5,800pt)のほうが高いぞ」


「連載中の超長編が一番強くなるんですね……!」


「もっとも、人気が出たから100万文字まで書き続けられた、という逆の流れもあることを忘れてはならんぞ」









挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)


「続いて、ムーン女性向けへ足を踏み入れるぞ! ここではノクターンとは全く違う形が見えてくるぞ。


 分布を見ると、1万〜1万8千文字の帯で、もう1千pt以上の作品が約半数(約49%)もある。そして形式別の中央値を見るのじゃ! 小僧、短編の折れ線を見るがよい!」


「短編では、1万7,800〜約3万1,600文字のところで、中央値が約2,700ptって……桁がおかしくないですか!?」


「凄まじいじゃろ! 約3万文字の短編の中央値は、10万〜56万文字の完結連載(約2,500pt)をも上回っておるのじゃ! 3万文字の短編が、30万文字の連載と同じかそれ以上のポイントを集めておるのじゃよ!」


「3万文字の短編が、30万文字の長編に勝っちゃうんですか……!? タイパが良すぎるというか、女性向けの読者さんの短編愛が凄すぎます……!」


「ただし、ポイントの高い女性向けの短編は、評価フォームの改修のあと、2021〜2024年ごろの作品に多いのじゃ。一方で長い完結連載には、改修前に始まった古い作品も多く含まれておる。新しい短編と古い長編を同じグラフで比べておる面があることは、覚えておくのじゃぞ。


 さらに完結連載の線を見よ。10万文字で約2,500ptに達したあと、頭打ちになっておるじゃろ? 100万文字を超えると約1,600ptへと下がってさえおる」


「本当だ……10万文字で止まっています……」


「そうじゃ。前回見た『10万文字のこぶ』も、これと関係しておるのかもしれん。女性向けでは、文庫本1冊分で完結した作品がよくポイントを集めておる。それより長く書いても、真ん中の作品のポイントは増えておらんのじゃ」


「ノクターンみたいに長ければ長いほど強いわけじゃないんですね……。連載中も完結連載の3分の1くらいですし、ここでは完結しているかどうかで大きな差が出るんですね……」









挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)


「お次はムーンBLじゃ。形はムーン女性向けとよく似ておるが、少し違いがあるぞ。


 箱ひげ図を見ると、1万〜10万文字あたりの中央値が平らで、10万文字からまた一段上がる形じゃ。これは女性向けと似ておるな。


 じゃが形式別の中央値の短編の山を見るのじゃ。ムーン女性向けでは約1万8千〜3万文字が山じゃったが、BLでは1つ手前の『1万〜約1万7,800文字』が一番高くなっておるのじゃよ」


「あ、本当だ! 女性向けよりも、ちょっとだけ短い帯に山がありますね!」


「うむ。BLでは、1万文字強の少しコンパクトな短編が、よくポイントを集めておるようじゃな。完結連載は10万文字で約1,200pt、100万文字以上で約3,400ptまで伸びておる。完結連載と連載中の差は、ほぼ差がないノクターンと、約3倍の差があるムーン女性向けの、ちょうど中間くらいじゃ」


「女性向けの形と、男性向けの長編の強さが、ほどよく混ざっている感じなんですね……!」









挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)


「さあ……最後はミッドナイトじゃぞ! 小僧、覚悟して分布を見よ!」


「えっ!? 0ptの割合、約3千文字の帯で約43%、1万文字の帯でも約30%……10万文字書いても、まだ約10%が0ptのままなんですか……!?」


「他のサイトでは、3千文字を超えれば0ptはほとんどなかったのにな! ミッドナイトでは10万文字を書き上げてなお、10作品に1つが0ptなのじゃ! 100pt以上の作品が半数を超えるのは、なんと『約31万6千文字以上』の帯からなのじゃよ!」


「さ、30万文字書かないと、100ptにも届かないんですか……!? 箱ひげ図の中央値を見ても……1万文字まで数pt、10万文字でもたったの約40ptって……他のサイトの数千文字の作品と同じくらいじゃないですか……!」


「そうじゃ。そして形式別の中央値をよく見よ! 10万文字までは、短編も完結連載も連載中も、すべて0〜30ptの低いところを這っておる。縦軸の上限も、他のサイトより1桁小さいぞ。他のサイトであれほど目立った『短編の山』が、ミッドナイトには影も形もないのじゃ!」


「短編の山が……ない……!? 短編はどんな長さでも、ほぼ0ptのままなんですか……!?」


「然り! ミッドナイトで数字がはっきりと上を向くのは、17万8千文字を超えてから……そして100万文字以上になって、ようやく連載中で約875pt、完結連載で約490ptというまとまったポイントになるのじゃ! ここはな、『数十万文字を超える長い作品にしか、ポイントがほとんど付いておらん』土俵なのじゃよ!


 もっとも、これも『30万文字書けば読まれる』という意味ではないぞ。読まれた作品だけが30万文字まで続いた、とも読めるからの」


「僕の小説がゼロポイントだったのも、一番よくある結果だったんだ……」


「ようやく腑に落ちたようじゃな! お前さんの実力がどうこうという以前に、ミッドナイトで短編を書いてポイントを集めるのは、数字の上ではそもそも難しいのじゃ。童貞が無策で淫魔に挑むようなものじゃったのじゃよ!」


「そ、その例えはどうかと……」


◇


「どうじゃ小僧、文字数とポイントの関係は見えたか?」


「はい……! ノクターンは長いほどポイントが高くて、完結しているかどうかはあまり関係ないこと、ムーン女性向けは3万文字くらいの短編が凄まじく強くて、完結連載も10万文字くらいで頭打ちになるから無理に長く書く必要はないこと、そしてミッドナイトは30万文字を超える長い作品にしかポイントがほとんど付いていないこと……サイトと形式によって、全く違う形になっているのが痛いほど分かりました……!」


「うむ。じゃが最初にも言うた通り『長く書けば誰でもポイントが上がる』わけではないぞ。中身も大事であることに注意するのじゃ。このデータは、自分の書きたい物語に合った長さを考えるための参考として使うのじゃ!」


「はいっ! 僕も自分の作品に合った形をしっかり考えます……!」


「よろしい! では次は、文字数とも関係が深い『話数』を見ていくことにしようかの」


「は、はいっ! 次回もよろしくお願いします、神様……!」

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