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最終話 スマホクラフター

[【第四回】 The Battle Royale 〜『Buddy』で王座を掴み取れ〜]


あれから幾つの日々が過ぎただろうか。

今となってはもう、遥か過去の記憶である。


だが思えば、その後からだったな。


まるで怒涛の勢いと言うべきか、俺達にあらゆる事象が押し寄せて来たのは。


勿論、その中身は『良いニュース』、『悪いニュース』、玉石混交で実に様々だ。


中でも特に最も厄介だったのは、『クルセイドちゃんと俺との熱愛報道が再燃した事』だと言えよう。


ちなみに、どうやらその原因は、クルセイドちゃんが企画の解説席にいる際俺を名前を呼んだから、との事らしいが……


正直、たったそれだけの事でつけ回されるわ、張り込まれるわで最悪だった。


また、その中には、『あのスマホは〝先駆の冒険者〟なのではないか!?』という、〝例の噂〟の謎を解き明かさんとする者達もちらほらと見受けられた。


熱愛報道と共に、それまでもが人々の間でぶり返されてしまったからだ。


そして、そのような人物は残念ながら今も健在しているものの……以前よりかは大分少なくなった。


よって、もう気にしない事としている。


いや、より正確に言えば。

そのまま時が経ち、人々の記憶から風化するのを俺は待ち続けているのだ。


後は、そうだな……The Battle Royale。


あの企画で優勝出来た事は素直に嬉しい。


嬉しい……のだが。


それからと言うもの、やや『アウトロー寄り?』のような視聴者が増えたり。


続いて第五回、第六回の企画にも誘われたりした事だけは少々面倒だった。


なのでまあ、それも悪いニュースの一つだと言えよう。


一方で、良いニュースは無いのかと言うとそんな事も無い。


一番驚いたのは、やはり『視聴者、チャンネル登録者、SNSのフォロワー』等々、それが総じて増加した事であろう。


しかもチャンネル登録者数に関しては、お陰様で今は遂に十万人を突破している。


というかフォロワーの総数で言えば、もうじき七桁台に到達せんばかりの勢いで今も尚増加中だ。


もう一つちなみに言うと。

増加しているのはステータスやパラメータも同じくだ。


本当に、嬉しい限りである……だが、しかし。


『それなら、今は順風満帆なのか?』と言われると。


残念ながら、そうでもない……





ここはとあるダンジョンの内部。


俺は今現在、そこにある円形の広場のような空間に佇んでいた。


「大吾!!今日こそはっきりさせてやるぜ!!


『どっちがクルセイドちゃんの恋人に相応しいか』って事をな!!


紅丸!!ゴブ(いち)!!ゴブ()!!ゴブ(ぞう)!!お前らも準備は良いな!?」


そして、そんな俺の目前には。


相棒の紅丸と、傍から見ればテキトー過ぎるようにも思える名を授かったゴブリンが三匹。


それと最後に一人。


忘れてはならないであろう彼、ドラゴン進が興奮気味でそこにいた。


俺達は互いに一歩も引かず睨み合い。


これから始まる戦いを僅かでも有利にせんと、両者共に今のうちから威圧しているのだった。


ただ一人、ではなく一つ。

俺の相棒かつ所持しているスマホである、リンを除いて。


『……あの、ご主人。


もうこれで何度目の注意か分かりませんが、一応言わせて頂きます。


いい加減、このような内輪揉めは止めた方が良いのではないでしょうか?


アナタ様も『ドラゴン進』氏も、もう『著名な冒険者、もしくは配信者』といっても過言ではない存在です。


[第七回The Battle Royale]への招待……は、ともかくとしても。


企業案件や様々な有名ギルドからの勧誘、更には国からのダンジョン探索、調査の要請だって幾つも『ドラゴン進』氏とご主人の元に来ているのです。


だと言うのに、ですよ?


そのようなお二人が、こう何度も争ってばかりいるというのは少々……いえ、非常に問題なのではないかと』


困り顔……を、しているかどうかは分からないが。


人ならば間違いなくそんな表情をしていたのだろうリンに、俺は間髪入れずこう返した。


「リン、確かにお前の言う通りだ。


俺達は今や互いに忙しい身だ、こんな風に揉めている場合じゃないだろう。


でも、クルセイドちゃんの事となれば話は別だよ。


あの人はもう俺の彼女なんだ、愛すべき存在なんだ。


だから、あの人に降り掛かる火の粉は、俺が全部払い除けて見せる。例えそれがドラゴン進だとしてもだ。


さあリン、俺の気持ちは分かっただろう?

じゃあそろそろ、戦いの準備をしてもらってもいいか?」


『…………はぁ、本当に困った人ですね。


はいはい、承知しました。

いつものように、お好きなように、どうぞクラフトして下さい。


私の方は、戦闘準備は既に出来ていますから』


俺の答えに、リンは未だ不服そうにしていた。


けれども話はついた。


ならばと俺はすぐさま、無機物をある物へと作り変える……


─────


クラフト成功

[スマートフォン『モデル:剣闘士(グラディエーター)』]


─────


『ではご主人、参りましょうか』


さあ、今こそ戦いの始まりである。





…………まあ、これでもう分かっただろうが。


あれ以降、名前が広く知られたからと言って俺の周りにある友人間での争いやその他問題は絶えず。


残念ながら、今の俺はとても万事順調とは言えない状態なのである。


ただでも、順調とはいかずとも『充実』はしていると言えるだろうか。


リンと出会い、生まれ変わった俺の辿り着いた未来。


『スマホクラフター』という、新たなる人生は。

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