序章 リストラ……無職……終わった……
新作スタートです!!これからまたよろしくお願いします( ´∀`)
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場所:新宿
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「ふぅ、これからどうすっかな」
良く言うとすれば、今日から自由になった。
佐藤大吾、俺の名前だ。
都内在住、性別は男で身長体重、容姿は全部普通、のはず。年齢は30代とだけ。
職業は国内大手コンビニエンスストアチェーンであるシングルマート、〝新宿駅南口ダンジョン前店〟にてアルバイトをしていたのだが、それは過去の話。
つい先程そこをリストラされてしまい、今は無職。
まあ要するに、呟きこそ軽かったが現在人生にも路頭にも迷っている真っ最中なのである。
どれもこれも、十年前に突如この世界に出現したダンジョンのせいだ。
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内部に魔物やアイテムやらを蓄えた謎の空間ことダンジョン。
あれのせいで何もかもが変貌し、何もかもが狂わされていった。
まず、人様の通行を一切無視して雨後の筍のように生えたダンジョンによって、物流はほぼ壊滅状態となった。
俺がもう一つ前の職業である、トラックの運転手を半ば強制的に解雇されたのもこれが原因だ。
まあもっと言えば、俺がコンビニ店員という職を失ったのも真下からまた新たなるダンジョンが誕生し、店が物理的に潰れてしまったからなのだが。
と、俺の職歴はさておき。
次は不動産と建築業界が逝った。
皆、いつ何時ダンジョンに押し潰されるかも分からぬ、文字通り不動なる物達をリスクと捉えたからだ。
だが同時に、恩恵もあったのは確かだ。
最初こそ政府の研究機関や軍隊のみが入れたダンジョンだが、次々と数が増えるうちに段々と国だけでは管理出来なくなり、不法侵入する者が幾人も現れた……
の、だが。
魔物の巣窟から帰還した彼等は、沢山の『よく分からないアイテム』を持ち帰り、それを溢れんばかりの金銭と交換した。
あの場所には未知かつ、未開拓の金脈が広がっていたのだ。
そこからはダンジョンへと足を踏み入れる者、そんな人々へと向けた商売を始める者達が急増した。
冒険者は貴重であり珍妙でもある数々の品を持ち帰っては金に変え、商人は彼等へと弁当や消耗品等に留まらず、今では武器や防具さえも売るようになった。
しかもそれだけでなく、いつしかダンジョンを探索中に配信をして稼ぐ者や、そこで得た人気や知名度を利用して芸能界に進出する者まで現れた。
そうだ、ダンジョンにあったのは金脈だけではない。
富、名声、あそこには人々の思い描く夢の全てがあったのだ。
とはいえ、当然ながらデメリットは前述したものだけではない。
ダンジョン探索の道中には常に危険が付き纏い、怪我をする者、大切な物を失う者、果ては二度と帰還しない者さえ中にはいた。
だと言うのに、それでも尚ダンジョンへと足を踏み入れる者が減少する事は一切としてなかったのだ。
危険を顧みず向かう程に、存在するリスク以上に。人々を駆り立てる何かがそこにはあるのだから……と。
以上こそが、この世界に現れたダンジョンというものの全貌なのだが。
何だか色々と思い返していたら、俺まであの場所に興味が湧いてきてしまった。
いや、興味が戻ってきたというのが正しいだろうか。
正直、俺にも一度や二度ではない。
『冒険者になって一攫千金だ!!』とか。
『こんな生活とはもうおサラバだ!!それくらい沢山金目のモノをダンジョンから持ち帰ってやる!!』とか。
まあ主に金の話にはなってしまうが、そんなような夢をこの胸に抱いた事が幾度もあった。
だが、同時に怖くもあった。
あの時の生活を失ってまで、ましてや自身の実力も分からないと言うのに。
果たして本当に、手に入るのかも分からない夢を餌にあの恐ろしいダンジョンに突入するのか、出来るのか、というのがだ。
でも、よくよく考えてみれば今は違う。何もかもが。
守るべき生活はたった今失った。
その生活だってアルバイトだった。
まだ貯えはあるとはいえ、残念ながら心許ない。
……それなら。
「よし。冒険者、やってみるか」
漸く、長年の思いを晴らすべくそう決断した俺の行動は早かった。
何故ならば、直後には既に冒険者となるべく〝とある場所〟を目指し歩き始めていたのだから。
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今度こそ、長年の夢である冒険者になると決めた俺が向かった先は区役所だった。
ここではダンジョン攻略に挑む〝冒険者〟を生業とする人々のためと、数年前に〝ダンジョン探索等相談窓口〟なるものが開設されている。
そこで適性のある職業を調べてもらうためだ。
しかも最近の窓口はまた一段と便利になったらしく、診断テストやアプリ等を活用すればものの数十分程でそれが分かるのだと言う。
というか、既に俺はそれに必要な全ての項目を終えていた。
あとはもう、俺に最適な職業を教えてもらうだけ。
実に楽しみだった。子供の頃以来だろうか、こんなにも心が躍り、ワクワクとさせられてしまったのは。
……そろそろだろう。
さあ、俺は一体どんな職業になると言うんだろうか、本当に楽しみだ。
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佐藤大吾:適性職業[クラフター]
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「はぁ!?お、おい……一体何なんだよそれ!!聞いた事もないぞ!!」
それを知らされてすぐに、区役所に響き渡るような大声を出してしまった事は深夜となった今でも思い出す。
そんな俺は、既に自宅へと帰宅していた。
とは言っても、今はもう一度コンビニに行くため外出している。
酒が足りないからだ。
いや、正直に言えばとっくにキャパオーバーだったのだが。
事実足はふらつき、頭はぐわんぐわんと揺れていた。
何ならもう少しで吐いてしまうかもしれない。
だがそれでも、呑まずにはいられなかった。
ダンジョンの花である剣士か、それとも魔法使いかと想像を膨らませていたと言うのに。
それが[クラフター]だなんて。
「うぅ……」
やはり体内のアルコールが限界に達しているようだ。
途端に気分の悪くなった俺は電柱に縋る。
吐き気を言い訳にしても良いだろう。
もう泣きたかった。
何もかもに絶望していた。
何せ、ワケの分からない職業しか適性が無いと言われてしまったんだ。
本当に、盗賊や商人ならまだ情報があるだけマシだったが、まさかのクラフター……
到底、魔物相手に戦えるとは思えないし。
何ならまともにダンジョン探索が出来るのかも分かったものではない。
つまり現時点でほぼ確実に、俺の夢への第一歩は絶たれたという事だ。落ち込むのはむしろ当然だろう。
「……いや、まだだ……!!
まだ何処かに、きっと良い情報が……!」
だがどうにも諦め切れず、電柱に張り付いたまま俺はスマホを手に取り、『クラフター』なるものの検索を始めた。
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スマートフォン[クラフト可能アイテム]
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クラフターに適性があると分かったからだろうか。
毎回毎回、スマホに触れる度現れるそのような表示を無視して。
とはいえ、さっきからずっとそうしている。
そうした上で最後には必ず、俺は落胆していた。
事実、検索結果は何度見ても0件、そこから変わる事は一切としてなかったのだから。
恐らく俺以外にもクラフターは存在する事はするのだろうが、そんなはっきりとしない職業で命を賭けたダンジョン攻略など出来るはずもないと皆が諦めたのだろう。
そして、今日から俺もその一人になる。
「ハァ……終わった、もうおしまいだ……
あーあ、ダンジョンの中で死んでも良いから、どうせならもっとまともな職業になれたら良かったのになぁ……」
そう思い、再び絶望の淵に立たされた。
まさにその時だった。
『ご主人、ご主人、そう悲観ばかりしないで下さい、ご主人』
俺の持つスマホが突然、声を発したのは。
毎日19〜20時に新話投稿予定✨
可能なら朝やお昼にも投稿していこうかなと思っています✨
どうぞよろしくお願いします(´∀`)




