40. 新たな戦い
戦場は文字通り混沌の化身だった。
外なる神々のクローン体が幾十億、幾十億と降り注ぎ、領域全体に壊滅の雨を降らせる中、現実そのものが震え上がった。エロウェンは、自らの母である精霊神との心を砕くような激突に巻き込まれ、概念エネルギーの弧が現実の次元を切り裂いた。
ライラは黄金の瞳を燃え立たせ、オリジネムを必死に引き止めようとした。彼女の普遍意識は、彼の宇宙的存在の重みに悲鳴を上げていた。
ザイロスと他の大臣たちは、血まみれになりながらも屈することなく持ちこたえたが、彼らでさえも揺らぎ始めていた。
そして…
「この世界は浄化される。究極の殲滅――」
イヴァリーの声は、十の次元が崩壊するかのような轟音を響かせた。彼の掌から神のエネルギーのブラックホールが広がり、エルーンが警告した一撃は、彼らを滅ぼすだけでなく、全てを解き放つだろうと。
時間。空間。次元。生命。魔法。
多元宇宙の全て。
ドカーン!
ガシャン!
天空に亀裂が走った。現実に、光のない神聖なギザギザの傷跡が。
そして…
「ただいま、ビッチども!!」
ガシャン!
私のブーツは、物語そのものの怒りのように、アイヴァリーの顔に激突した。彼の体は流星のように吹き飛ばされ、転げ落ちるたびに星々を引き裂いた。
戦場は静まり返った。
私はニヤリと笑って着地した。新しい服が輝いていた。
ノースリーブの黒いショートベスト、フードを下ろす。生地には、まるで生きたルーン文字のように光る紋章が脈動していた。両脇には双剣が鞘に収められていた。周囲の空気は絶対的な威厳でざわめいていた。
「お前ら、ヴォイドだけで私を支えられると思ってたのか?」私は指の関節を鳴らした。 「クラスをもう一度確認すべきだった。『メタ・ナラティブ・ブレーカー』だ。」
ルーシーは完全な人型で私の隣を漂っていた。顔は私と同じだが、より柔らかく鋭い目は、まさにアルティメット・コアそのものだった。
「座標は再ルーティング。ヴォイドは阻止。魂神の帰還は成功」と彼女はニヤリと笑って言った。
私はまだ生き残っている全員と、驚いた顔の仲間たちを見た。
「私が恋しい?」
すべてが凍りついた――まるで動くという概念さえ、息を呑むようだった。
神々でさえ…特に神々は…
まるでグリッチのかかった彫像のように、私の目の前に立ちはだかっていた。
彼らの宇宙的な目がピクピクと動き、オーラが揺らめいた。
彼らの一人が息を呑む音さえ聞こえたような気がした。
「どうやって…どうやって彼はヴォイドから脱出したの?」エルーンは初めて青ざめた顔で囁いた。
しかし私は、因果律を砕くような笑みを浮かべ、彼女の方を向いた。
「あら、あれ?あれはヴォイドじゃなかったのね、あなた。」
そして、誰かがそれ以上言葉を発する前に、金色の筋が空中をかすめた――
うわぁ ...
「ライラ…マジか…息をして…肋骨…あれが必要なんだ…」
彼女は聞いていなかった。震え、すすり泣いていた。
まるで宇宙そのものが私を再び抱きしめようとしているかのように。
「あなたはもういないと思っていたのに…あなたを見つけられなかった…私は…空虚を感じた…二度と…二度とあんな風に消えないで!」
私は優しく彼女の髪を払い、彼女の瞳を見つめた。瞳はより深く、より賢くなり、それでも愛と怒りに燃えていた。
「あなたも変わったわね。より強く、より美しく。ずっと見つめ続けていたのね?」
「一瞬たりとも。」
彼女の背後で、仲間たちは皆、理解できないほど唖然としていた。エロウェン?沈黙。ヴィクトリア?青ざめている。アストリッド?まるで自分の神が打ち負かされたのを見たかのように、剣を握りしめている。
そして彼が口を開いた。
創造神。
まさに頂点。万物の設計者。
そして彼は激怒していた。
「こんなことがあり得るのか!? 虚空は絶対だ! 終わりだ! 誰も…誰もそこから逃れられない!」
「ああ」私は指を立ててニヤリと笑った。「訂正。私は虚空から逃げてはいない。」
「私をそこに送ったことなんてないだろう、バカ。」
彼の光り輝く体が揺らめいた。
「…何だって?」
「ほら、私のAIアシスタント、ルーシーがお前の大切な小さな追放サークルを乗っ取って、方向を変えたんだ…」
私は指を鳴らした。火花が概念の塵のように私の周りを舞った。
「存在の終焉そのものへ。」
彼は言葉に詰まった。
「ありえない。そこでは誰も生き残れない。」
私は肩をすくめた。
「生き延びただけじゃない、相棒。繁栄したんだ。」
「私はあらゆる次元、あらゆる概念、あらゆるタイムラインの断片を、かつて存在した、あるいは存在し得たあらゆるものを消費した。インフィニティのゴミ山? 朝食にしたんだ。」
オリジネムでさえ後ずさりした。
「つまり…」
「ああ。」私は前に出た。オーラが津波のように高まり、片足が雷鳴のように床に叩きつけられた。
「私は全ての構成要素で自分自身を書き換えた。」
「私はもうあなたの創造物ではない。」
「私はあなたの矯正だ。」
ルーシーは前に浮かび上がり、可愛らしく手を振った。
「こんにちは。魂神プロトコルが正常に起動しました。彼は今、あらゆる現実の層を超えて存在します。彼を削除しようとする試みは、あらゆるメタ法則によって阻止されます。」
沈黙。
「さて…皆さん、第二ラウンドの準備はできましたか?それとも、懇願するところまで飛ばしますか?」
外界の上空は光と影を滲ませ、現実そのものの背骨から築かれた領域で、神々の意志が巨人のようにぶつかり合い、引き裂かれていた。
そして私はこの宇宙的な小競り合いにうんざりしていた。
「新生喰らい」
私の声はただ反響するだけでなく、法則を通して響き渡った。
私の両手がそっと上がった…そしてその瞬間、時間、空間、そして意味さえも減速した。
数十億――文字通り数十億――の外神のクローンが私の仲間へと襲いかかった。純粋な概念から生まれ、神級の力を持つ怪物たち。彼らは全てを消し去ろうとしていた。
そして…
彼らは消えた。
悲鳴も聞こえなかった。
爆発もなかった。
痕跡も残らなかった。
私は彼らをただ消費しただけではない。彼らの概念そのものを消費したのだ。
彼らの存在?消えた。
彼らの目的?消えた。
彼らの歴史?消えた。
私は我が軍――家族――を振り返り、頷いた。
「さあ。深呼吸を。力を取り戻せ。」
彼らは畏敬の念を込めて私を見た。恐怖かもしれない。あるいは畏敬の念かもしれない。
しかし、彼らは耳を傾けた。
「ライラ、エロウェン――エルーンを奪取しろ。」
「刹那、カエラ、ヴィクトリア、リカ、ザイロス――お前たちは概念神ゼフリオンにいる。」
「アストリッド、セラフィナ、フレイヤ――死神ニヒルはお前が担当だ。」
「私とルーシーは…」私は首を鳴らし、屠殺場に向かう狼のように笑った。
「イヴァリーとオリジネムは我々が処理する。」
彼らのオーラが承認の炎を上げた。
しかし、私はまだ終わっていなかった。
「残りの者達は…ライダーヴィルへ戻れ。」
「粛清しろ。私の不在中に攻撃を企んだ愚か者どもを皆、殲滅しろ。」
ルーシーは私の傍らに浮かんでいた。表情は読み取れないが、新たな姿で輝いていた。
「確認。ターゲットの優先順位を再設定。カイロライダー:脅威レベル――絶対神。さあ、終わりにしよう。」
そして、イヴァリーとオリジネムへと向かうその瞬間、私はこれがクライマックスではないと悟った。
それは、シナリオを支配していると思っている神々に対する、私の昇天の始まりだった。




