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甘えを演じる必要なんて無いわ!


「昨日は申し訳なかった! 私は態度を大きく見せなければならないがために、メルに対して強気にも俺と発言してしまった。この通りだ、許して欲しい」


 自由にされるということで庶民向けの服に着替えて、第2の従騎士トビを待っていたらとんだ平謝りが待っていたわ。なんて、なんて正直すぎるおバカなの? 言わなければ気付きもしないことだというのに。


「まぁいいわ。今日はあなたがわたくしをエスコートしてくださるのでしょう? わたくしを自由に動かすだなんて、随分と物好きなのね」


「あ、あぁ。ではよろしく頼む。リア」


「ではわたくしを動かしなさい! 今すぐに」


「なに? どういう意味だ……?」


「わたくし、自分の力で立ち上がるなんてことは嫌なの。まして、今日に限ってはあなたがわたくしを動かして下さるのでしょう? それならまずは、わたくしの座っている所からのエスコートをして頂かないと困るわね」


 ふふ……わたしを自由にするなんてこと、そう簡単にやらせるとでも思ったのかしらね。トビの理想では恐らく、わたくしと街を歩いて格好良くナイト気取りをしようという魂胆だったのかもしれないけれど、甘いわね。わたしを甘えさせるようなこと、甘えの言葉でも投げかけさせようというのは見え見えだわ。


「ふふん、それが出来たらさすがにあなたの言うことを聞いてあげてもよくってよ?」


「――いいだろう。その代わり、どんなに触れられても私を斬るような命令は下すなよ?」


「当然よ」


「では失礼……」


「はっ? な、何をするつもり? や、やめっ……」


「ふ、やはり威勢を張っていてもその辺りはか弱い女性なのだな。さすがに私も照れて来るぞ」


「や、やめっ……などと言うとでも思ったのかしら? ふふふふっ、ぬるいわね。そして甘すぎだわ! これだから従騎士はぬるいって言うのよ。そしてそんな反応を見せる程度で照れるだなんて、大概だわ」


「な!?」


「トビと言ったかしらね。あなた、まるで駄目だわ。わたくしの反応を見て照れているようでは、ナイトなんて務まらないわ! 興ざめね。気が変わったわ。今日のあなたのエスコートは無しよ! そうと決まったら、とっとと出てお行きなさい!」


「ま、待てっ! そ、それでは約束が……」


「約束? そんなことをした覚えなんて無いわ。そして覚えておくことね。わたくしをそんじょそこらの娘と同様の反応を見せるなんてことはあり得ないということをね。それでも少しばかり惜しかったわね。何も言わずに、わたくしを抱きかかえて頂ければ間違いなく、あなたの言いなりになっていたというのに」


「くっ……」


「ふふっ、それでは用が済んだことだし、あなた今すぐ出てお行きなさい!」


「……御意」


 あぁ、つまらないわね。従騎士ごときではわたくしをどうにかなんて出来っこないのかしらね。

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