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第995話 「魔球②」

愛読者の皆様!


『魔法女子学園の助っ人教師』第4巻が発売決定致しました!

詳細は決まり次第お報せ致します。


書籍版をまだお読みではない方は、第1巻~3巻を宜しくお願い致します。

皆様が応援して下されば、更にまた『次』へと進む事が出来ます。

※店頭にない場合は恐縮ですが、書店様にお問合せ下さい。

 「前置きが長い!」とフランに叱られた? ルウは早速実践に入る。


「じゃあ、論より証拠。俺とフランシスカ先生でこの魔球スフェールを使い、手本を見せる」


 ルウはそう言うと、再び魔球に魔力を込めた。


 ふわ……


 不思議な魔道具、魔球スフェールは、ルウの手元から静かに浮かびあがる。

 更にルウが、意思を伝えるかのように、軽く息を吐くと……

 浮かんでいた魔球は、柔らかい放物線を描いて飛んで行く。

 速度は……ゆっくり、ゆっくり、蝶が止まれるくらいだろうか。


 そして正確に、フランの胸辺りへ、きっちり投げ込まれたのである。

 当然、フランは軽々と両手でキャッチし、にっこりと笑った。


「「「「「「「「「「おおおおおおっ!」」」」」」」」」」


 生徒達から、『どよめき』が起こった。


「先生、もう我慢出来ませんっ! 魔球スフェールの仕組みを教えて下さいっ」


 マノンが口火を切ると、


「そうです! 教えて下さいっ!」

「お願いしますっ!」

「そうですっ!」


 オレリーやジョゼフィーヌ、リーリャを含めた生徒全員が追随した。


「分かった、じゃあ簡単に話そうか」


 ルウが微笑むと、フランの手にあった魔球スフェールがふわりと浮き上がった。

 30㎝ほど浮き上がった魔球スフェールは、そのまま空中で静止している。


「「「「「「「「「「おおおおおおっ!」」」」」」」」」」


 生徒達は、またも歓声をあげた。

 歓声が終わったのを見計らって、ルウは説明を開始した。


「魔法により、物質を動かす『力』は存在する。『念動力』と呼ばれる力だ」


「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」


 浮かんだ魔球スフェールを見守る生徒達は、息を呑み、ルウの説明に聞き入っていた。


 ルウは言う。

 

 人間を含め、全ての生きとし生ける者が持つ魔力。

 魔力を、様々な力に変換させたものが魔法。

 そして魔法使いが、魔法を発動する際に発するのが魔力波オーラなのである。


 基本的に、魔力波オーラは『物を動かす力』を持たない。

 だが、例外もいくつかある。

 『念動力』と呼ばれる魔力波オーラも、そのひとつであるのだと。


 しかしながら……と、ルウは言う。


「そもそも全ての魔法使いが、念動力を使えるわけではない。行使出来る魔法使いの方が稀れかもしれない」


 だが……

 魔球を使い、あっさりとルウとフランが実演して見せた。

 念動力を……

 

 生徒達が驚いたのはその為だ。

 驚く生徒達へ、更にルウは、


「お前達は分かっていると思うが……俺達魔法使いは、失敗する事を恐れず、未知の世界へ可能性を求めて邁進するべきだ。けして魔法だけじゃない、物事を学ぶというのは、全てそうだと俺は思う」


「そ、その通りですわっ!」


 ルウの言葉に感動し、大きな声で叫んだのはマノンであった。


「でもマノン、命だけは大事にしろよ。失敗を恐れないというのはむやみに危険を冒す事じゃあない」


 にっこり笑ったルウが、今度はフランへ呼び掛ける。


「フランシスカ先生」


 ルウの呼び掛けに応え、今度はフランが魔球を返す。


「はい!」


 同じように魔球はルウへ投げ返され、ルウの胸元へ。

 あっさりルウが、片手でキャッチし、笑顔で説明する。


「慣れるまではしばらく、これくらいの速度でな」


 ルウがまた投げ、フランが受け取る。

 またフランが投げ、ルウが受け取る。

 いわゆるキャッチボールだ。


「よし、もう少し高度な手本を見せる。フランシスカ先生。徐々に速度をあげて行くぞ」


「了解!」


 ルウの声に、フランが応えた。


 ひゅ! ひゅ!

 びゅ! びゅ!

 ひゅおおっ! ひゅおおっ!


 魔球の飛ぶ速度に比例して、大気を切る音も大きくなって行った。

 驚く事にまるで、計ったようにルウとフランの胸元に魔球は投げられているのだ。

 加えて、しっかりキャッチし、一回も落とさない。


 10数回くらい投げ合っただろうか。

 フランから魔球を受け取った、ルウが再び説明をする。


「この魔球スフェールは念動力を使えない者でも、魔力を転換し、簡単に行使する事が出来る魔道具だ。但し、俺やフランシスカ先生のように投げ合うのは、魔力の正確な制御コントロールが必要となる」


「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」


 生徒達は「ごくり」と息を呑み込む。

 ルウとフランは、いかにも簡単そうに魔球を投げ合っていたから。


 緊張する生徒達へ、ルウは悪戯っぽく笑う。


「ははっ、やってみれば分かるが、慣れるまでは少し難しいぞ」


 ルウの言葉を受け、フランも同じように笑う。


「ふふ、そうよ。息がぴったり合わないと駄目だから、真剣にやってね」


 「息が合う」という部分を特に強調するように、フランは言った。

 とても嬉しそうに……


 ルウが更に、注意事項を告げる。


「先ほども言ったが、この魔球の材質はリネンだから、余程の事が無い限り、怪我はしないと思う。だが相手の顔や急所への投球は禁止だ。胸元へのど真ん中を狙い投げてくれよ」


「ルウ先生の言う通りです。それとルウ先生と私がやったみたいに、いきなり速く投げるのは駄目。当分はゆっくり正確に投げてね」


「「「「「「「「「「はいっ!」」」」」」」」」」


「最後にもう一回手本だ。慣れればこんな事も出来る。フランシスカ先生」


「はいっ!」


 ルウはそう言うと、魔球を浮かせて、また投げた。

 すると、生徒達は衝撃的な光景を目にする。

 

 何と!

 フランは魔球を、『手』では受けなかったのだ。

 投げ込まれた魔球は、彼女の目の前で、「ぴたっ」と止まり、……微動だにせず浮いていた。


「「「「「「「「「「おおおおおおっ!」」」」」」」」」」


「お前達が見て分かる通り、フランシスカ先生は魔力制御を完璧に行った。結果、手を触れずとも魔球を制御(コントロール)出来たんだ」


「うふふ、ルウ先生にもお返しよ」


 ひゅおっ!


 フランの言葉通り、浮かんでいた魔球は、凄まじい速度で投げ返された。

 しかしその魔球も、ルウの前で、先程のフラン同様「ぴたり」と止まっていたのであった。

いつもお読み頂きありがとうございます。

東導の別作品もお願いします。


☆『帰る故郷はスローライフな異世界!レベル99のふるさと勇者』新パート連載中!


https://ncode.syosetu.com/n4411ea/


※『魔法女子学園の助っ人教師』とは微妙に違う

ヴァレンタイン王国における、のんびりスローライフな田舎ワールドです。


故郷に帰りたかった青年が謎の死を遂げ、15歳の少年になって異世界転生! 

バトルは少々ありますが、基本は田舎の村で美少女達とスローライフ。

畑を耕したり、狩りをしたり、魚を釣ったり、結婚した美少女達と日本の昔遊びなど。

スローライフ最中、自らの転生の謎を解き、様々な人々と、出会い&別れを繰り返す。

結果、逞しい『ふるさと勇者』へと成長して行く物語です。


※本日3月23日朝、更新予定です。

何卒宜しくお願い致します。

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