第952話 「我が儘ケヴィンの恋②」
『魔法女子学園の助っ人教師』愛読者の皆様、いつもご愛読して頂きありがとうございます。
只今、書籍版第3巻の改稿作業中です。
今回も大幅加筆修正を行い、新エピソードも加わる予定です。
発売日等、詳細が決まりましたら、随時お知らせしますので何卒宜しくお願い致します。
ルウからの質問、ケヴィンの回答が飛び交う事、30分……
意外にも短かった、ルウの『取材』は終わった。
笑顔のルウは、『まとめ』へと入る。
「じゃあ、ケヴィン様、総括します、宜しいですか?」
「良いよ」
いつもの通り、軽く返事をしたケヴィン。
微笑んだルウは改めて、話し始める。
「まず、ケヴィン様は結婚の意思はある」
「うん、ある! 確かに独身は気楽で良いけれど……大学で若い幸せそうなカップルを見ると、つい羨ましくなるね。い、いや違うぞ! ルウ君の家庭に最も刺激された」
「……そうですか、では次です。相手の身分にはあまり拘らないが、価値観が一緒じゃないと絶対に嫌。出来れば考古学、魔道具に興味と理解がある人」
「ああ、納得だ。考え方は俺と極力近い方が良い。それと趣味はとても大事! 仕事から引退したら嫁さんと共通の趣味があるとベスト、そう思うよ」
「了解! では次、年齢はケヴィン様に近い方が良い、必ず年下希望。でも自分より10歳以上年下とか、若過ぎるのはNG」
「その通り! ええっと……ルウ君の所のタイプでいえば、う~ん、そうだな、考古学者希望のナディアちゃんなんか凄く良いんだけど……彼女は年齢が若過ぎるな」
「それは却下! 万が一年齢をクリアしても、ナディアは絶対に駄目です、あげません!」
「ううむ、残念! 駄目、なのか……ナディアちゃんがもし30代半ばなら、性格も明るいし話も合うし、俺の相手として全く文句ないのにな」
どうやらケヴィンは、ナディアのような知的で朗らかなタイプが好きらしい。
諦めきれないというケヴィンを、ルウがジト目で見た。
ケヴィンは、さすがにまずいと思ったのか、手をぶんぶん横に振った。
「あ、あはは……ル、ルウ君、御免! 冗談! ほんの冗談さ」
「本当ですか? ……ならば……次、行きます! 親族が決めた見合いも嫌、そしてもし俺や大学の生徒が誘っても……最近若者の間で流行りの、集団で行う自由お見合いも不可。あくまでも自然な出会いが希望……」
自由お見合いとは、以前アドリーヌの主催で行った集団飲み会だ。
最近は、王都貴族の間で大流行している。
「うん! 俺、不自然な感じの見合いはあまり好きじゃない。まあこれくらい言うのは、ささやかな希望だろう?」
「ノーコメント! では最後です。相手の女性の容姿には拘らないが、最低十人並みに、より美しいに越したことはない。そして笑顔が素敵で、絶対に健康、頑健でなくてはならない……以上」
ルウが、ずらずら並べた女性の条件の数は膨大なモノである。
だが、ケヴィンは当たり前という表情で頷いた。
「おお、バッチリだ。そのような条件がもしも全部揃えば……まあ、俺は結婚を考えても良い……かな?」
「ケヴィン様の希望は分かりました! 先ほど申し上げた通り、成功の確約は出来ませんが、やってみます」
何と!
ルウは、あっさりOKした。
しかし、意外にも今度はケヴィンの表情が曇る。
「え? 大丈夫なの? 本当に?」
「はい、ベストは尽くしてみます」
ルウは、またもやあっさりと答えた。
顔をしかめたケヴィンは、何故か黙り込んでしまう。
「…………」
「どうしました?」
「いや……後が怖いと思ってさ」
「後が怖い?」
ルウは、ケヴィンの珍しい物言いを聞き直す。
聞き直されたケヴィンは、頷きながら苦笑する。
「ああ、父上は絶対にセッティングしないから、俺に『見合い話』を持って来るのは、いつも兄上なんだ」
「アルフォンソ様ですね」
「おお、そうさ。俺がさっきの条件を出すと兄上は露骨に嫌な顔をした。お前は我が儘過ぎるとね」
ケヴィンは思い出す……
ルウと同じ会話をしたら、我が儘過ぎると、何度も兄アルフォンソは怒った。
逆鱗に触れたあの時のフランほどではないが、猛烈に怒ったのだ。
ルウも、あっさり肯定する。
アルフォンソが怒るのは無理もないと。
「ははっ、確かに……ケヴィン様が希望を仰って、その通りじゃないと見合いは絶対に嫌なんて言えば、アルフォンソ様でなくても、誰でも怒りますね」
「う~む……自分では全然そう思わないが……ルウ君もそう思うか……」
「ええ、思います。逆に女性が、ケヴィン様へ同じ注文を付けて来たら、どう思われます?」
「……いくら美人でも、見合いするまでもなく、きっぱり断る」
「でしょう? これは学問と同じです」
「学問と同じ?」
「はい! 自説を徹底的に通すだけではなく、たまには他の学説も聞いて客観的に考えた方が良いですよ。今みたいに納得出来ます」
学問と同じ……
そう言われればそうかもしれない……
ケヴィンは、妙に納得してしまう。
「むむむ……確かに、ルウ君の言う通りだ。しかし、今更、俺は女性への考え方を変えるのは難しいかも……」
「じゃあ、無理に変わらなくて良いですから、俺と同じにしてくれます?」
「ルウ君と同じ?」
「ええ、ベストを尽くして頂ければ良いと思います。それで駄目ならそれまでです」
「……成る程」
「はい! やるだけやって、駄目なら仕方ないです。残念ながらケヴィン様の恋は実らなかったとエドモン様へ報告しましょう」
「分かった、そうだな……ルウ君の言う通りだ。最初から逃げてはいけないし、やるだけやったといえば父上も納得するだろう……俺だって後悔しない」
「じゃあ、最後の最後、作戦を授けます。これは約束事ですから、絶対に守って下さい」
「絶対に守る? 何か不安だ、……大丈夫かな?」
「ははっ、ちょっと言い過ぎました。同じくベストを尽くして下さい」
「分かった! じゃあ俺も総括! 見合いはしない、自由お見合いもしないでOK、ただ物事を客観的に見るようにした上で、ルウ君との約束を出来るだけ守り、普通に日々を過ごせば良いのだな?」
「はい! その通りです。それで肝心の約束ですが……」
ルウが改めて話をするのを、ケヴィンは少し緊張した面持ちで待ったのである。
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故郷に帰りたかった青年が謎の死を遂げ、15歳の少年になって異世界転生!
バトルは少々ありますが、基本は田舎の村で美少女達とスローライフ。
畑を耕したり、狩りをしたり、魚を釣ったり、結婚した美少女達と日本の昔遊びなど。
スローライフ最中、自らの転生の謎を解き、様々な人々と、出会い&別れを繰り返す。
結果、逞しい『ふるさと勇者』へと成長して行く話です。




