七日目・二度寝のあとに
頭が痛い。
二度寝で寝すぎた時特有の妙な頭痛が私を襲う。
そして明るくなった室内の眩しさに一瞬めまいがした。
辺りを見回せば行き倒れのような格好で眠っているお兄さんが目に入った。
「ああ、話している途中で寝ちゃったんだこれ」
おじさん怒っていそうだなぁ。
そう思いながら彼の姿を探したが、いない。
荷物は置いてあるから多分遠くまでいっていないんだろうけど。
お兄さんを踏まないように気を付けながらガラスのない窓へ近寄る。
この数日間で見飽きた緑が視界いっぱいに広がっていた。
「…もう一週間なんだ。数え間違いがなければ」
腕時計型カウンターを確認すると残りが三十切っていた。
いつの間にこんなに減っていたんだろう。驚きしかない。
おじさんやお兄さんと違って私はこまめにチェックしていなかった。
この調子なら今日死んでも不思議じゃないだろう。
――死んでしまうのは、怖くないけど寂しい。
どうしてだろう。
こんな気持なんか私は本当はなっちゃいけないはずなのに。
ブルータスが足元でくしゃみをした。
改めてみればこの部屋は全体的に埃っぽい。どれだけ使われていないのだろう。
「ブルータス、なんかまっくろけ」
埃のせいか毛が最後にしっかり見た時よりも汚れている気がする。
となると、私もそうなのかな。
そこまで考えてしばらくちゃんと身体を洗っていなかったことに気づく。
いやちゃんと身体を拭いていたりはしたけれども。誰に向けての主張かは自分でもわからないがそこだけは言っておかないといけない。
臭いは…たぶん、ない。
ただ自分の臭いが一番分からないものだとも言うのではっきり断言できない。
「どっか、水の溜まっているところとかないかな…」
耳をすませば微かに水の流れる音がする。
川が近くにあるのか、そうじゃなくても少なくとも水があるところが存在する。
今なら水浴びしても大丈夫、かもしれない。
おじさんのリュックからタオルを拝借して、窓から外に出る。
部屋に残されたブルータスがクゥと悲しげに鳴いた。どうやら飛び越えられないらしい。
「お兄さんの代わりに見張りしてて。すぐに戻るから」
軽く頭を撫でてやり、私はぬかるんだ土を慎重に踏んでいった。




