六日目・大暴露大会
前回までのあらすじ。
明日香ちゃんが突然おかしなことを言い始めた。
…いや、あらすじってなんだろう。僕も相当変なこと思っているよね。
「なんでそうなった? 脈絡ないだろうが」
「…一応あったつもりなんですけど。あれですよ、明日生きているかどうかわからないならここで言いたいことぶちまけてすっきりして終わりましょうってことです」
それで大暴露大会と言ったのか。
僕が敵同士云々と言ったからかな。
「お前にしては珍しく長台詞だったな」
「はぁ、そうですか」
「うーん…でも僕、暴露することないかなぁ」
もうしちゃった気もするし。
「些細なことでいいんですよ。ずっと悩んでいること、ずっと押さえていること、ずっと――」
明日香ちゃんはそこでいったん息を吸った。
あんまり話さない子みたいだから長くしゃべるの疲れるんだろうな。僕もそうだし。
「もう、いいじゃないですか。隠さなくても。あとは死ぬだけなんですから」
「そんなこと……生き残ろうとか思わないの?」
どうして、そんなに諦観しているのか。
おおよそ十代の女の子とは思えないぐらいにすべてをあきらめている。
それはこの島の環境のせいではないんだろう。
もっと前からの環境の中で未来に期待を持てないと思い込むぐらいの過去があった、結果。
「面白いこと言いますね。私は殺人犯ですよ。生きている価値なんてありません」
「明日香」
前原さんが彼女の名前を呼ぶ。
一瞬の静寂の後、慌てたように「なんでもない」と言った。
「悪い、なんかうっかり口走ってた」
「前原さんはうっかり女の子の名前口走るんですか…」
「うわぁ…」
「え? なに? なんか変な誤解受けているの俺?」
別に誤解なんかはしていないが。
今のは無意識に止めに入ったんだろうな。そんなこと言ってほしくなくて。
なんだかんだで前原さんは明日香ちゃんのことがどうにも気になるらしい。
「…で、だ。お前ら他人のくらーい話なんか聞いて堪えられるのかよ」
「大丈夫です…たぶん」
たぶん。
この二人の過去話が生半可じゃなく重そうなんだけど、大丈夫。
もしかしたら。きっと。おそらくは。
…さすがに気分悪くなったから止めてくれとかはいわないけどさ。
「私も暗い話するんでおあいこですよ」
「…ふうん。じゃあいいけど」
「あれ。おじさん、もしかして何か話してくれるんですか?」
「俺だけ話さないっていうのもなんか浮くじゃねぇか」
どうしてそこだけ世間体を気にするのか。
この人は大人なのにときおり妙に子供っぽいところがある。
「でも話すのはお前からだぞ、明日香。言い出しっぺなんだから」
「それもそうですね。じゃあ、私から」
そうして彼女の話が始まった。
それは終わりの話で、始まりの話。
次回から明日香のターンです
暗い話となっております




