同じようで違う
今日の仕事は早めに切り上げた。
アマレットもモルトに帰ったし、明日からは会議も半分程度はマリーに任せられるだろう。
久々に天衡の調整ができる。
「……ねぇ、ゼロ」
腕の中のレミーがもぞもぞと動いて顔を向けてきた。
寝室は枕元の薄灯りだけにしてある。
「……なんか、上手く収まったね。ぼく、どうなるかと思ったんだけど」
返事の代わりにふ、と笑う。
最近不安の続いていたレミーの頭をゆっくりと撫でた。
「ぼく、アマレットが無理をしててミズナラがイライラし始めたとき、もうダメなんじゃないかなって思ってたんだ。二人に何か言おうとしたけど、ぼく、言葉が出なくて」
レミーが思い出したように、襟の端をきゅっと握る。
身体を引き寄せて抱きとめると、胸に顔を埋めてきた。
覗きこむと顔を寄せてくる。
軽く口付けをして、ほんの少しだけ舌先を絡めた。
一息ついて、再び胸元に入り込んでくる。
「もう二人を離した方がいいんじゃないかなって思ってた。……でも、大丈夫だった。なんで上手くいったの? 同じに見えたのに」
難しいことを聞く。
何を答えるか言葉を選んだ。
「こういう風に上手くいくこともある。二人ともお互いを大事に思っていたしな。……それでも上手くいかないこともあるが」
「そういうものなの?」
「同じ条件であっても同じ結果になるとは限らない。特に人の感情が関わる場合にはな」
「……そういうものなの?」
「……良くも悪くも」
レミーは納得したような、してないような様子だった。
「さあ、もう寝なさい。明日はまた頼むことがあるから」
胸元から顔を上げたレミーが、幼子のように素直に頷いた。
肩を冷やさないようにブランケットを掛け、目を手のひらで覆う。
ほどなく寝息が聞こえ始め、灯りを消した。




