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冬の国の物語  作者: 茅ノ森ちまき
第一部第三章 笑顔の紡ぎ方
22/22

同じようで違う

 今日の仕事は早めに切り上げた。

 アマレットもモルトに帰ったし、明日からは会議も半分程度はマリーに任せられるだろう。

 久々に天衡の調整ができる。

「……ねぇ、ゼロ」

 腕の中のレミーがもぞもぞと動いて顔を向けてきた。

 寝室は枕元の薄灯りだけにしてある。

「……なんか、上手く収まったね。ぼく、どうなるかと思ったんだけど」

 返事の代わりにふ、と笑う。

 最近不安の続いていたレミーの頭をゆっくりと撫でた。

「ぼく、アマレットが無理をしててミズナラがイライラし始めたとき、もうダメなんじゃないかなって思ってたんだ。二人に何か言おうとしたけど、ぼく、言葉が出なくて」

 レミーが思い出したように、襟の端をきゅっと握る。

 身体を引き寄せて抱きとめると、胸に顔を埋めてきた。

 覗きこむと顔を寄せてくる。

 軽く口付けをして、ほんの少しだけ舌先を絡めた。

 一息ついて、再び胸元に入り込んでくる。

「もう二人を離した方がいいんじゃないかなって思ってた。……でも、大丈夫だった。なんで上手くいったの? 同じに見えたのに」

 難しいことを聞く。

 何を答えるか言葉を選んだ。

「こういう風に上手くいくこともある。二人ともお互いを大事に思っていたしな。……それでも上手くいかないこともあるが」

「そういうものなの?」

「同じ条件であっても同じ結果になるとは限らない。特に人の感情が関わる場合にはな」

「……そういうものなの?」

「……良くも悪くも」

 レミーは納得したような、してないような様子だった。

「さあ、もう寝なさい。明日はまた頼むことがあるから」

 胸元から顔を上げたレミーが、幼子のように素直に頷いた。

 肩を冷やさないようにブランケットを掛け、目を手のひらで覆う。

 ほどなく寝息が聞こえ始め、灯りを消した。


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