第2話 boy
沈黙が少し続いた後、少年を襲っていた男達はグライヴに凄みを利かせて言った。
「オイ、テメェ自分が何したか分かってんだろうな?」
「なぁ兄貴、殺しちまおうぜ。バカは死ななきゃ直らないって言うしなぁ」
「ヒヒッ、久しぶりだな。誰かをブッ殺すなんてヨォ!!」
男のうちの代表格と思しき一人がジャケットの内側から銃を取り出し、グライヴに向けた。
「俺はこんな所で時間を無駄にしたくないんだがな」
ため息混じりにグライヴが言う。
「ヘッ、何をフザケたことを・・・今更泣いて土下座しても許してやら・・・」
次の瞬間、男の持っていた銃は真っ二つになり、『ゴトン』という音と共に地面に落ちた。
男は何が起きたかを理解できていない。
「なっ・・・凶器なんて・・・どこに隠し持ってやがったんだ・・・」
「さぁね。このまま大人しく引き下がるか?そこにある玩具みたいになりたいか?」
立場は逆転し、グライヴは男の喉元にそれを突き付けた。
「ア、兄貴・・・逃げましょう・・・コイツヤバそうですよ・・・」
「ヒ、ヒヒッ・・・この街に俺ら以上に強いヤツがいるなんて・・・」
「クソッ・・・お前ら!!退散するぞ!!!」
男はすばやく、子分達とともに表通りの方へと逃げていった。グライヴは呆れ顔で彼らを見送った。
「まぁ何はともあれ・・・怪我は無いよな?」
グライヴは改めて少年の方に向き直る。
「えぇ、御心配なく。この通り無事で」
そう言うと少年は軽く飛び上がって見せた。
「それにしてもこんな所を女が一人で歩いてるのは危険だ。しかもそんな格好ならなおさらな」
「失礼な、僕は男です。それに体力にはそこそこ自信もありますし・・・子供を諭すみたいに言わないで下さい」
「それは悪かったな。何にせよここには何も無いし、早いところ帰った方が身のためだ・・・じゃあな」
彼はそう言ってその場を去ろうとした。
「ちょっと待って下さい。」
少年は再び彼を呼び止めた。
「あなた、この街の人なんでしょ?ちょっと・・・何と言うか・・・街案内でもしてくれませんか?」
「・・・言っただろ。この街には何もない」
「それでもいいです」
「・・・変わってんな」
グライヴは少年の顔をもう一度見た。
「・・・?」
「え?」
「なんでもない。昔の友人に似ていただけだ」
グライヴは上を向いた。思わず口から出た言葉。自分の弱みを見られたような気分だった。
雲の狭間から、光が見えた。




