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その魔法少女は物理系  作者: 須美音
第一部
9/50

09

ツバキがトウコの妹になり食堂的な店に向かった。

そこでガラの悪そうな女に声をかけられた。

店員にガラの悪そうな女達は、この街で有名な盗賊まがいのエリート集団だと聞かされた。


エリートとは元魔法少女の事。

この世界の魔法少女は20歳前後で加護の力を失い神獣が消滅したらエリートと言われるようになる。


「なるほど。教えてくれて感謝する」


トウコは店員にお礼を述べると、店員はそそくさとその場を立ち去った。


「おいおいスター様は雑魚を相手にしないってかー?」


ガラの悪い女3人がトウコ達に近づいてきた。

普段のミリアなら相手をぶっ飛ばす許可をトウコに求めて来る所だがトウコの命令のせいか大人しくしている。


(ミリアは命令通り大人しくしているな。ツバキは…奴等を特に気にしていない様に見えるな。まあ奴等が手を出さなければ無視でいいか)


「おい! 無視すんじゃねーよ!」


ガラの悪い女の1人がミリアに触れようとした瞬間にトウコが一瞬で間に入り女の腕を掴みねじ上げた。


「イタタタタッ」


女はトウコに腕をねじ上げられ痛がっている。


「糞虫の分際で俺の女に触れるんじゃねーよ」


トウコは鬼のような形相で女を睨みつけた。

そのトウコの姿をみてミリアとツバキは感激している。


「わ、私達にこんな事をしてタダで済むと思っているのか!」


「お前等如き雑魚が何人いようが負ける気しねーよ」


そう言ってトウコは掴んでる手を離した。


「お前、後悔するぞ! 姉さん! 姉さん!」


女は自分達の黒幕であろう姉を呼んだ。

すると、1人の少女がこちらに近づいてきた。


「まだこの街で我らに逆らう魔法少女が居たとはな」


近寄って来た少女は魔法少女だった。

盗賊まがいのエリート集団の親玉で今まで幾人もの魔法少女を葬ってきた存在。


「お前達、生きて帰れるとは思うなよ」


親玉魔法少女は殺る気満々のようだ。

この一触即発の状態を見た周りの客と店員は全員店の外に逃げ出した。


「ふふっ、久しぶりの…」


親玉魔法少女は何かを言いかけたが言葉が止まった。


(えっ…この金髪…ひょっとして…と、闘神!!! な、何でこんな所に!? こ、こっちの黒髪は…雷神!? な、何で一緒に居るの!?

じゃ、じゃあ…この真ん中の小柄な奴は…誰だっ! ど、どちらかの妹か…し、しかし何故、闘神と雷神が一緒に…)


親玉魔法少女は闘神のミリアと雷神のツバキと気づき相当焦っている。

ミリアとツバキは某大会の決勝戦で互角の戦いを行った有名人である。

親玉魔法少女もその大会に参加していたがトップ10にすら入れない程のハイレベルな大会だった。


親玉魔法少女はそのまま何も言う事は無く元居た場所に戻って行った。


(ははーん。さてはあいつ、ミリアに気づきビビッて逃げたか。所詮あいつも糞雑魚魔法少女って事か)


トウコは勝手に糞雑魚と判断したが、ミリアとツバキが別格なだけで、親玉魔法少女も十分強い部類に入る魔法少女である。


向こうからガラの悪そうな女達の声が聞こえてきた。


「姉さんっ! あいつら生意気だから八つ裂きにしないと気がすみません!」


女達の1人がトウコ達にも聞こえるような大声て叫んでいる。

すると、親玉魔法少女は小声で闘神と雷神がいると子分達に打ち明けた。


「と、闘神って目が合っただけで相手を殺すと言われてる、無慈悲魔法少女の、あの闘神ですか?」


(酷い言われようだな…いくらミリアでも目が合っただけで…うーん、完全に否定出来ないのがアレだな…)


トウコはミリアと初めて会った時に殺されそうになったので完全に否定は出来なかった。

トウコがそんな事を考えている時に親玉魔法少女とふと目が合ったので、こちらに来るように手招きをした。

親玉魔法少女は少しためらいながらも仲間を引き連れトウコ達の所にやって来た。


「な、何の用だ」


(いや、何の用だも何も、お前等から喧嘩吹っ掛けてきたんだろがっ! ま、まあ、それはアレとして)


「お前等、この2人が誰だか分かるよな?」


トウコは奴等がミリアとツバキを恐れてる事を察し、この場から居なくなってもらおうとした。


(くっ、どちらか片方でも勝てないのに2人が居る何て…ん?2人が揃ってこの街に…なるほど、そう言う事かっ! 危うく騙されるとこだった)


親玉魔法少女は何かに気づいた様子だ。


「くっくっくっ。その2人が誰かだって?ああ、知ってるさ! そいつらは闘神と雷神の偽者だって事をなっ!」


どうやら親玉魔法少女はミリアとツバキの偽者と思ってしまったみたいだ。


「おい! そこの生意気な糞チビ! まずはお前を血祭りにあげてから、偽者2人を始末してやる!」


親玉魔法少女のトウコに対する言動にミリアとツバキが爆発寸前の状態になっている。


(ヤバいっ! 2人共偽者って言われてキレる寸前だ! しゃーない、もう、こいつをさっさとぶっ飛ばして2人の怒りを鎮めねば)


「よし! 俺が直々に相手になってやるから、かかって来い!」


「なっ! お、お姉様が直々に調教をっ!!」


ミリアがまたおかしな事を言い出した。


(ふふっ、やはり偽者か。あの2人に姉など居ない。大方誰かの差し金で我々をこの街から追い出そうとしたのだろうが…)


ミリアがトウコを姉と言った事を聞いた親玉魔法少女はミリアとツバキが偽者だと確信した。


「ミ、ミリア殿、一体何を言って…」


ツバキはミリアが何を言っているのかが分からなかった。


「い、妹の私ですら殆ど調教をされた事が無いと言うのに、何故お姉様自らあのような者に調教をっ!」


「な、なんですと! 姉上様! 調教するなら妹になった私にするのがスジかと存じますっ!」


当然の様に親玉魔法少女とその手下達は2人の会話を聞いて固まっている。


(こいつらさっきから調教調教と…)


「いや、調教何てワード1mmも言ってねーわっ! 何処をどう聞いたら、そう聞こえるんだよっ! それに誰にも調教とかした事ねーわっ!」


(どんだけツッコませれば気が済むんだよっ!)


しかし、トウコの声は届かず、目を離した隙にミリアが泣きながら暴れていた。

それを見たツバキも負けじと魔法を乱発し暴れだした。


「貴様が調教などと軽々しく言うからこうなるんじゃ」


ポン太もまた絶妙なタイミングでおかしな事を言い出した。


「お前は勝手にしゃべるな。そしてお前は殴る」


トウコはポン太に対しては例によって冷静になり、冷たい返答をした。

そうこうしている内に気が付くと店は全壊していた。

親玉魔法少女とその手下達も全然ぶっ倒れている。


(こいつら無茶苦茶だ…俺の許可無く勝手に暴れるなって言ったのに、これか…)


訳の分からん奴に絡まれる度に毎回暴れられると自分の身が持たないと思うトウコであった。


「って言うか俺…まだ飯食ってないんだけど…」


店が全壊したのでそんな状況では無くなっていた。


トウコはミリアとツバキを呼んだ。散々暴れて多少は冷静になった様子だ。

そして、近くに転がっていた親玉魔法少女も叩き起こした。


「お前等、正座!」


ミリアとツバキは素直に正座した。親玉魔法少女は何故自分もと思いながらも渋々と正座した。

そしてトウコは3人に説教をしたが、ミリアとツバキには甘いトウコは2人には程々にしておいた。

店が全壊の発端となった親玉魔法少女には盗賊行為の件も含め店の全額弁償の刑を言い渡した。


「お、お言葉ですが、店を破壊したのは、そ、そこのお二人では…」


親玉魔法少女は恐る恐るトウコに進言した。


「ほぅ。お前等が原因を作ったのに俺の妹が悪いと?ならば貴様に選択させてやろう。素直に全額弁償するか、全財産を差し出して処刑されるか選べ!」


(それって選択肢に処刑が加わっただけだ…ダメだ、素直に従わないと殺される…)


「ぜ、全額弁償させて頂きます…」


「うむ。あと、お前等次に何か問題を起こしたら即座に全員処刑な」


そう言い残してトウコ達は全壊した店を後にした。

結局食事をする事が出来なかったので他の店で食事をする事にした。


「それにしてもお前達、偽者と言われたくらいで暴れちゃダメだぞ」


「いえ、あの者のお姉様に対する罵詈雑言(ばりぞうごん)を許す事が出来ませんでした」

「私もミリア殿と同じ気持ちです。私の姉上様を侮辱されて我慢する事ができませんでした」


(2人共、俺の為に…何か嬉しいな……でも、調教がどーのって言って暴れた気もするが…)


「2人共、俺の為に有り難う。でも、今度からは暴れる前に、俺に許可を求める様にな」


「かしこまりました。お姉様」

「御意に。姉上様」


(本当に分かったのかなあ2人共…)


その後、無事に3人は食事にありつく事が出来た。


食事を済ませミリアの屋敷がある街、トネシンに向かって出発した。

道中、何故ツバキも付いて来るのかとミリアがゴネてツバキと言い合いになったが、トウコもお願いして何とかミリアも受け入れてくれたのだった。


数日後、トネシンに到着した。


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