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その魔法少女は物理系  作者: 須美音
第一部
31/50

31

グルームのアジトに侵入したトウコ一行。

侵入した直後、ミリア、ツバキ、エリーザの3人は体に負荷がかかる魔道具によりまともに動けなくなった。


「俺はこの体で負荷がかかっても以前の肉体強度を継承してるから全く問題はないが…」


「奴等の負荷は1.5倍程度じゃ。あの魔道具の負荷は貴様の腕輪と同じ5倍じゃな」


「腕輪って全部5倍の負荷じゃねーのかよっ! まあ1.5倍の負荷でもあの動きは大したもんだが…しかし、ミリア達はモロ5倍か…そりゃ動けんわな…」


トウコが関心していると、放置されていた敵が怒っていた。


「おい! 私の話を聞いているのか!」


敵は何をしたか理由を言おうとしたがポン太が割り込んだ為、トウコが黙り込んだように見えていた。

トウコとポン太の会話は常に周りに気取られぬよう配慮を行っている。


「あ、ああ、すまんな。全く聞いてなかったわ。何だっけ?」


敵は怒っていたもののトウコが話を聞く気になり淡々と話しを始めた。

その内容はほぼ自分達の苦労と自慢話だった。


「じゃあ、そろそろお前等全員ぶっ飛ばすけど良いよな?」


敵の話に飽きたトウコは決着をつけようとした。


「ふふふっ。私が無意味に話をしていたとでも思っていたのか?」


敵にはある考えがあり、くだらない話をして時間稼ぎをしていた。


「うん。そろそろぶっ飛ばしても良いか?」


「い、いや、ちょっと待って! もう少しでアレだから!」


どうやら敵は何かを待っている様子だった。

その敵の態度を見てトウコはピンと来た。


「お前ひょっとして、仲間3人が来るのを待ってるのか?」


「な、何故それをっ!!!」


トウコの言う通り敵は仲間が来るのを待っていた。


「ふふ、奴等は私より強いぞ! 奴等が来たらお前達は終わりだ!」


その三人は既にトウコ達とエンカウントしていた事に敵は知る由も無かった。


「何だよお前糞雑魚じゃねーか。言っとくが、その3人はここ来る前にぶっ飛ばしたから来んぞ」


「えっ……」


敵は自分達の8人グループで最強の三人が倒された事を知り動揺している。


「んじゃ、ここからはずっと俺のターンな。まずお前、訳の分からん道具を停止しろ」


敵は素直にトウコの言う事を聞くしか選択肢は無かった。


「お前等、ここに来て正座…いや、一列に並べっ! 鉄拳制裁だっ!」


トウコは自分の目の前を(ゆび)さし、敵の3人に正座させようと思ったが、その姿を見てミリアとツバキがご褒美を要求する事を考えて鉄拳制裁に変更した。


「い、いや、このご時世に暴力とかはちょっと…PTAとか何かと五月蠅いですし…」


敵はトウコの蹴りの威力を目の当たりにしているので鉄拳制裁を恐れている。


「うるせーっ! この世界にそんなものはねーっ!!」


敵が意味不明な言い訳をした為トウコが激怒していると、ミリアが鉄拳制裁ならば自分がしたいと言い出した。

トウコ自身は鉄拳制裁と言ったものの実際には無抵抗な者を殴る気は無かったが、ミリアの(げん)により良い事を思いつた。


「よし、ならばお前等に選択させてやる。ミリアに死ぬまで殴られ続けるか、俺のビリビリ魔法30秒間、どちらか選べ!」


ミリアは容赦が無く相手が可哀想なので、敢えてトウコは自分が選ばれるような選択肢にした。

トウコのビリビリ魔法とは、以前ヌエットに行った、勁により全身に激痛を発生させる技。

当然敵は死ぬまで殴られるより、ビリビリ魔法を選択したのだった。


トウコは敵の2人に腕を前に出すよう指示をした。

言われるまま腕を出した2人の腕をトウコは掴み例によって勁を発した。


「「ほぎゃあああああああっ!!!」」


2人は激痛により悲鳴を上げている。

その光景を見た残りの敵は青ざめた表情をしながら足をガクガクと震わせている。

約30秒後、トウコが手を離すと2人はハアハアしながらその場に倒れこんだ。


「さて、次はお前の番だ」


「い、いや、あの、じ、自首しますので、どうか…」


「いやいや、今までお前等がやった事を考えると当然死刑だろ。お前はここで死ぬんだよ」


トウコは無慈悲にも死刑宣告をしたが実際には殺す気は全く無かった。

自分達がやった事を少しでも反省させる為、死の恐怖を与えるのが目的だった。


「ひぎゃあああああああっ!!!」


敵は30秒も経たずに気を失って倒れてしまった。


「あれ? 気絶しない程度に抑えていたんだが…」


「貴様が死の宣告をしたからじゃろ」


「ああ…まあ、こいつ等もこれに懲りて真面目に生きれくれたらいいんだがな」


そして、ツバキに全員を拘束させギルドへと戻ったのだった。


ギルドに到着し、アジトに居た5人を拘束した旨を受付嬢に伝えると例によって驚いていた。


「いや、もうそのリアクションはいいから、さっさと回収しろ」


報酬は依頼達成確認後、トネシンのギルドに振り込みと言う形になったのでトウコ達はトネシンに戻ることにした。

トウコ達がギルドから出るのを確認したエリーザはこっそりと受付嬢にトウコのポスターを渡してギルド内に張っておくよう指示をしていた。



それからトネシンに戻り、何事もなくある程度の月日が経過した。



ミリア邸の一室。


今日は珍しくエリーザが訪ねてきた。


「お姉様。この時期がやって参りました」


エリーザはもったいぶるような感じで話を切り出した。


「ん? この時期? 何かあったっけ?」


トウコには全く見当がつかなかった。


「お姉様が大好きなミス魔法少女コンテストで御座いますっ!」


「いや、好きじゃねーし。賞金目当て出ただけだし」


「ですが、ノリノリでサイクロプスをボコっていらっしゃいましたが…」


「お前が結界に閉じ込めて無理やり戦わせたんだろがっ!」


前々回のコンテストではトウコがサイクロプスを倒した事で皆の印象に残り優勝する事が出来た。

そして、前回のコンテストはと言うと…エリーザはトウコが死んだと聞かされていたので、

トウコ追悼特別としてエリーザが勝手にトウコの紹介をしただけでコンテストは行わなかったのだった。

そんな経緯もあり、今回はトウコを引き立たせる趣向を用意し、トウコが出る事を前提で話を進めている。


「いやいや、俺出ないよ?」

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