30
オガネソンの街に到着したトウコ一行は昼食を取るため大衆食堂に入った。
そこでグルーム一味の三人組に目を付けられたのだった。
「ちょっと宜しいでしょうか?」
グルーム三人組の一人が近寄ってきてミリアに話しかけた。
ミリアに対応を任せたら食事をする前に修羅場になる可能性があるのでトウコが対応。
ギルドの人が探していたので皆で来て欲しいとの事。
しかしトウコは彼女等の企みは既に気づいている。
トウコが断るも相手は食い下がってきたので、食事を終えてから改めて話を聞くと言う事で相手を納得させた。
今回は既に相手の正体を知っている上に、相手は下手に出ていたので食事前に修羅場になる事はなかった。
「さてと…食事も終わったし、あいつ等シバいてくるわ」
そう言ってトウコが立ち上がろうとしたら、ツバキが理由を尋ねてきた。
トウコは事情を知らない皆に三人組はグルームの一味だと説明。
するとミリアが名乗りを上げ、自分が三人組を始末してくると言い出した。
店に居るグルームの三人組は魔法を封印する道具を所持してはいない。
道具を持っているのなら、アジトに誘い出す必要は無いからとポン太は言う。
魔法が封印される事が無いならばと、手加減するように念を押し、ミリアに任せる事にしたのだった。
ミリアがスタスタと歩いて三人組に向かっている最中、ツバキとエリーザが何やら落ち着かない様子だった。
隙あらば、どさくさに紛れて暴れだしそうな雰囲気だったのでトウコは二人に暴れないよう釘を刺した。
一方、ミリアは三人組が座っているテーブルまで行くと、無言で一人を殴り飛ばした。
それを見て驚いている二人も次々と殴り飛ばし、トウコ達の居るテーブルに戻ってきた。
女性相手でも相変わらずの容赦の無さにトウコは相手に同情するも目的を忘れてはいない。
「ツバキ、あいつ等を拘束」
「御意」
ツバキはトウコの命により、倒れている三人組に拘束魔法を掛けた。
ここでの用は済んだので三人を放置し、トウコ達はギルドへ向かった。
オガネソンのギルドには以前、トウコの魔力測定の際、受付嬢に怖い思いをさせた経緯があり、トウコは多少顔を出しにくいと思っていた。
しかし、それは1年以上前の話。現在は別の者が受付を行っていると思い、普通にギルドの中に入った。
真っ直ぐ受付まで行くと、受付嬢はミリアを見て驚いている様子だった。
トウコは受付嬢の顔を覚えてはいなかったが、どうやら今も以前と同じ受付嬢だと、その表情からうかがえた。
「貴様が以前、八つ裂きにするとほざいたから萎縮しておるな」
ポン太は受付嬢が驚いている理由を説明した。
「いや、完全にミリアを見て驚いてるし、八つ裂きにするって言ったのもミリアだし、お前も調子に乗って拷問するとかほざいてただろっ! アホかっ!」
実際にはトウコが言う通り、受付嬢はミリアを見て怯えている。
むしろトウコは受付嬢のフォローを行っていたので、トウコに対する受付嬢の印象は、特に悪いと言う事は無かった。
受付嬢はトネシンのギルドに応援要請を行っている事は当然知っていた。
しかし、来るのはトウコと言う名のSランク魔法少女だけと聞いていたので、ミリアが来て過去のトラウマが蘇り怯えていたのだった。
トウコがその辺の事を説明すると、受付嬢は更に別の意味で驚いた。
それは、トウコがSランクの魔法少女になっていた事にだった。
トウコは以前このギルドで魔力測定を行ったら魔力がゼロで魔法少女ランクは保留になったからである。
「そんな事より、向こうの食堂にグルームの連中三人拘束してるから回収しといて」
「えっ!?」
突然の事で受付嬢は戸惑っていたが、トウコの同じ事を言わせるのかと言わんばかりの表情に気づき慌てて手配をした。
そしてトウコは受付嬢にグルーム一味の居場所を聞き出すとギルドを後にした。
トウコが一人でアジトに行くと言うとミリア、ツバキ、エリーザの三人は非常に寂しそうな表情をしている。
しばしの問答の末、結局三人を連れて行く事になった。
因みにエリーザの付き人でエアボート運転者の魔法少女には街で待機してもらう事にした。
街外れにあるグルームのアジトらしき建物の前に到着。
「んじゃ入るか」
トウコを先頭に普通に歩いて突入した。
ミリアとツバキは敵を発見次第、道具を使われる前に攻撃をする腹積もりだった。
しかし建物の中に入った瞬間、トウコは三人の異変に気付いた。
「くっ…体が…」
ミリアが膝をつき苦しそうにしていた。
他の二人を見ても同じ状態になっている。
その瞬間、四人の敵が一斉に攻撃を仕掛けてきた。
ミリアは何とか体を動かし応戦するも、自由に動く事が出来ずガードするのがやっとだった。
ツバキは加護の恩恵で物理攻撃をほぼ無効化しているものの、動く事が出来ずなすがままの状態。
「死ね糞チビがー!」
敵の一人が叫びながらトウコに攻撃をしかけてきたが、トウコの蹴りで敵は吹っ飛び壁に激突して気を失った。
すかさずトウコはエリーザの腕を引っ張り自分の後ろに移動させると、エリーザを狙っていた敵は攻撃を空振りした。
その瞬間トウコは蹴りを食らわせると敵は吹っ飛び壁に激突。
それを見た残りの二人の敵は攻撃を止め一時距離を置いたのだった。
「なななな、何でお前は普通に動く事が出来るんだっ!!」
敵は全部で5人。
攻撃に参加していない者はトウコが普通に動いている事に相当驚いている。
「何でって言われてもなぁ…何されたか分からんし」
(俺、加護とか無いから影響受けないとか言えないし…)
「ふ、ふふっ、し、知りたいか?」
敵は焦った表情を隠さんが為か余裕を見せようとしている。
「これは貴様が身に着けている魔道具と同じ物じゃ」
敵の言葉を無視してポン太が話に割り込んできた。
「えっ? ひょっとして体に負荷をかけるアレか? どうやって?」
「これは範囲内の者を対象とする道具じゃろ。効果自体は同じじゃ」
トウコは敵が普通に動いている事を指摘すると、敵もトウコと似たような腕輪をしてるとポン太は言う。
腕輪装着者には魔道具の効果が上書きされず、腕輪の負荷がそのまま適用される。
「マジか、あいつらすげーな。5倍の負荷でもあれだけ動けるのか」




