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その魔法少女は物理系  作者: 須美音
第一部
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ミリアとツバキはキャスリとの手合わせに勝利した事で、ご褒美の土下座頭踏みをトウコに求めた。

しかし、それを見たキャスリは二人が(はずかし)めを受けていると思っていたのだった。


「いえ…殺神さんって、ああ言う人なんですよ…以前も同じ事してましたし…」


過去に同じ状況を目撃したヌエットにとって、トウコに対する印象は決して良くは無い。


(うーん…周りの汚物を見るような視線が痛すぎる。やはり、このご褒美は封印せねば…)


用事も終わったのでトウコはさっさと帰ろうとした矢先、受付嬢に呼び止められた。

その内容はキャスリと手合わせをしないのかと言う事だった。


「いや、妹二人が圧勝したから俺の出る幕無いし。それに体格差がどーのって言って、向こうは俺と戦う気無かったし」


トウコが理由を言うと受付嬢は元々トウコの強さを見たくて手合わせをお願いしたと言う。


「そういやそうだったな。俺は構わんぞ、どうせ1秒で終わるし。お前はどうよ?」


(いや、1秒って…この人どんだけ…)


ヌエットは心の中でトウコの自己評価の高さに呆れていた。


「いえ、私は魔法戦ではなく、格闘での手合わせを望んでいるのですが…」


キャスリはトウコの見た目で魔法系の魔法少女と思っている。


「安心しろ。俺の戦闘スタイルも物理系だ」


「ええーっ!! 嘘でしょ! あのか弱そうな手足で物理系とか、ありえないでしょ!」


トウコは見た目とは裏腹に前世の肉体強度を引き継いでいる。

その事を知らないヌエットが驚くのは当然だった。

そしてヌエットと同様に他の者も信じられないと言う表情をしている。


キャスリは半信半疑ながらもトウコと手合わせをする事にし、トウコから少し離れて身構えた。


(いや、だから何でこんな往来でやるんだよ…)


キャスリは身構えると同時に間髪入れずに猛ダッシュでトウコに攻撃を仕掛けてきた。

それを見たトウコも同じくダッシュでキャスリに向かっていった。

キャスリは攻撃を仕掛けようとした瞬間、トウコの掌打を腹部に食らい数十メートル先に吹っ飛び、何処かの店に激突したのだった。


「「ええええええーっ!!」」


ヌエットと受付嬢は予想外の展開に相当驚いている。


「いやいやいや! 何であの体格差で激突してキャスリさんが、あんなに吹っ飛ぶんですかっ!」


ヌエットにはトウコの掌打は見えておらず、二人が激突したように映っていた。

トウコは放心状態の受付嬢の所まで歩いて行き、目の前で立ち止まった。


「これで満足か?」


トウコの問いに対し受付嬢は驚いた表情をしながら無言で何度も首を縦に振った。


「ほ、本当に1秒で終わりましたね…」


ヌエットは受付嬢を見ると、受付嬢は無言でゆっくりと頷いた。



そしてトウコ達はトネシンの街へ戻ったのだった。



トネシンに戻ってから数日間、トウコはミリアと鍛錬を行っていた。

そんな時、例によってミリアの屋敷にスターギルドの職員が訪ねて来た。

皆が応接室に集まり話を聞くと、オガネソンと言う街で暴れているグルームと名乗る者達の討伐依頼。

グルームとはエリート(元魔法少女)で構成されている組織で以前にエリーザを誘拐した連中が所属する組織。


「あー、どんな連中だったかは思い出せんが、確か加護持ちの魔法が使えなくなる道具を使ってた雑魚だったな」


トウコは以前、エリーザを助けた事と相手が加護持ちの魔法を封印する道具を使っていた事は覚えていたが、相手の事は全く覚えていなかった。


「えっ!? スターの魔法が使えなくなる道具ですか!!」


オガネソンの街はトウコがこの世界に転生した時に居た街で極端に強い魔法少女は居ないが、そこそこの数はギルドに在籍している。

いくら強い魔法少女が居ないと言ってもエリートしか居ないグルームに多くの魔法少女が犠牲になっていた事にギルド職員は腑に落ちなかった。

しかし、トウコの話を聞き改めてグルームの危険性を思い知ったのだった。


「そ、それで、依頼の方は…」


「分かった、引き受けよう。ただし、奴らの討伐は俺一人でやる」


トウコがそう言うとミリアとツバキが一緒に行くと言い出した。

魔法が封印されたら二人でも危ないと説明しても二人は全く引かなかった。

そして魔法で往復するからツバキは連れて行くと言うと、更にミリアがゴネ出した。

流石にミリアだけ連れて行かないのは可哀そうと思ったトウコは討伐には参加しないと言う条件で同行を許可したのだった。


次の日。


エアボートでオガネソンの街まで送ってもらう為、エリーザ邸へ向かった。

本来ならツバキの魔法で行くのだが、ツバキの行った事が無い街だったのでエリーザにお願いする運びとなった。

エリーザはトウコの言う事なら何でも快く引き受けてくれる。

それはトウコに敗北して姉と慕うようになってからだが、グルームに誘拐されトウコに助けられ、更にトウコを慕う気持ちが強くなっていた。


この街からオガネソンの街までは馬車で数日かかる。

しかし、エアボートを使用すると数日程度なら1時間もかからずに到着する事が可能。

そんな訳で、サックリとオガネソンの街に到着したのだった。


到着したのが昼過ぎだったので昼食をとるために皆で食堂的な店を探していた。


「お姉様! あの店が宜しいかと思います!」


エリーザが(ゆび)()したのは一般的な大衆食堂。

大衆食堂では何故か絡まれる事が多く、ミリア達が暴れだし最終的には店を破壊。

そんな事があり、落ち着いて食事が出来ない印象があるため、トウコは高級店を提案した。

するとミリア、ツバキ、エリーザの三人は何故か(こぞ)って大衆食堂の方が良いと言い出したので大衆食堂に行く事になったのだった。


(こいつら、ただ暴れたいだけじゃないだろうな…)


店に入りテーブルに着くと、ちょっと離れた席にいる三人組の女性がこちらをチラチラと見ながら何やら話しをしている。

トウコは彼女達の会話の内容をポン太に探らせた。

すると、彼女等はグルームの一味でミリアに気づきトウコ達をアジトに誘い込み一網打尽にしようと企んでいる。との事だった。


「ほほう…ならば、逆にあいつ等を捕まえてギルドに連れて行くとするか」


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