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063 作戦に足りないもの

「にしたってどうしろってんだよ!?」


 中尉とも離れたところで、アウェンが我慢できずに叫びだす。


「チェブ中尉のあの魔法が鍵になるだろうね」

「お前はなんかいつも通り冷静というか……まあたしかにお前がいたらなんとかなる気がしてくるな。あの魔法ってのは魔法人形のことだよな?」

「うん。アウェンは一緒に訓練してて何体まで見た?」

「預かったのが500で、相手してたのが1000だから……」


 ざっくり1500体は出せるのか。

 考えようによるが死なない兵が1500もいるというのはかなりの戦力だ。

 戦場は気力の勝負とも言える。その気力が無限に続くとなれば相手は動揺する。

 それに守らなければいけないのが俺たち三人だけであることを考えれば、周囲を1500の不死兵で囲んで突撃、敵将を討ち取り混乱に乗じて離脱というのは、ギリギリ可能性のある作戦だといえた。


「いくら守られてると言ってもなぁ……いっそリルトがチェブ中尉の魔法覚えらんねえか? それも10万くらい出せるようにして」

「無理だよ……」


 あれは魔法というよりもはやスキル。チェブ中尉にしか使えないはずだ。

 そう考えるとあんな貴重な力をみすみす殺すとも思えない。考えれば考えるほど、これは何か他の思惑がある。

 そしておそらく、グガイン中将にはすでにこの戦線は詰みまでの道筋が見えている。


「リルトでも無理かよー。すげえんだなあの中尉……」


 アウェンの言う通りあの魔法が規格外であることは間違いなかった。


「そうだね。あれはすごい技術だよ」

「にしてもよぉ……じゃあどうすんだ?」

「まぁ、ギリギリなんとかできるんじゃないかな?」

「まじかよ。リルトが言うんならそうかもしれねえけど……実際どうするんだ?」


 ここに来るまでにすでに敵将の情報は頭に入っている。

 チェブ中尉の魔法、アウェンの戦闘能力、そして俺……。敵将を殺すところまでは問題ないと思う。


「多分だけど、敵の将校は俺とアウェンなら一対一で勝てる」

「まあそうじゃなきゃ流石にこんな無茶なことやる意味すらなくなるもんな……」


 そこは問題ないだろう。


「じゃあ一騎打ちに持ち込むのをどうするかってことか?」

「いや、それも多分大丈夫」


 将校たちの性格を考えれば、ある程度暴れたら自分たちでなんとかしに来るはずだ。

 そのための布石はこちらから打っておける。

 というかここまではおそらく、グガイン中将の思惑どおりだ。


「じゃあ……」

「問題はその後、俺たちが生き延びるところだね」


 敵将の撃破は問題なく終わったとしても、その後俺たちが生きて帰れる保証まではない。

 生き残るためには最後に混乱する戦場を駆け抜ける余力を残す必要がある。

 それこそカルム卿の使ったあの魔道具くらいのものがあれば話は変わるんだが……まあないものを嘆いても仕方ないな。


「中尉の魔法が貴重だってんなら、俺たちごと見殺しにはしねえんじゃねえのか?」


 アウェンの意見は正しい。

 俺もその部分はかなり期待をしているんだけど……。


「ちょっと気になるんだよね。チェブ中尉について調べればなにかわかるかもしれないけど、それに時間を割くより自分たちで対策したほうが良い気はする」

「なるほど……まあそのへんはリルト、おめえに任せる。いざとなりゃあ俺が暴れてでもお前だけは逃してやるさ」

「そうならないように頑張るよ」


 頼もしいアウェンの言葉に笑い合いながら決戦のときに向けて準備を進めた。


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