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062 特攻任務

「喜べ。お前らに任務を与える」


 カルム辺境伯領から帰還してすぐ、グガイン中将に呼び出された俺とアウェン、そしてチェブ中尉は新たな戦地に赴くよう言い渡されていた。

 暗殺の件を伝えてすぐにチェブ中尉を呼び出していたあたり、すでに準備していたプランだったようだ。


「このケルン戦線、厄介だった将校四人のうち二人が消えた。これで両陣営、動くべき理由ができたわけだ」


 グガイン中将は四人についてこう語った。


「死んだ二人は盤外戦が得意だった。だが残りの二人、こいつらは完全な軍人だ」


 俺が暗殺したのは一人はほとんど諜報員、よくて暗殺者と言って良い、いわゆる軍人よりも個の能力に特化した者だった。

 そしてもう一人もまた、単体戦力では最強と言われていたものの軍を指揮する力は評価されていない。


「セレスティア公国最強と言われる騎馬隊を指揮するウォーカー。そして敵将クライブより八割近くの指揮権を任されている実質的な統括者、ティレル。この二名を戦場にて打ち倒す任務を与える」

「戦場にて……ということは策があるので?」


 チェブ中尉が口を挟む。

 敵将の殺害任務ということであれば、普通はそこに集中できるよう道を用意してくれるものだ。

 だがグガイン中将の言葉はこちらを期待を大きく裏切るものだった。


「お前たちが切り開け」

「え……?」


 思わずグガイン中将の顔を見上げてしまう。


「どうした。できぬか?」

「おまかせを。必ずや敵将の首を持ち帰りましょう。たとえこの身が朽ちようとも」

「良い心がけだ。おまえたちが敵将を討ち果たし、敵軍が混乱したタイミングで本陣をすすめる」


 つまり俺たちは自力で敵陣を駆け抜け、敵将を討てなければそのまま敵軍の中で潰されるということになる。


「なあ……俺の勘違いじゃあなきゃこれ、俺たちに死ねって言ってねえか?」


 アウェンが小声でそんなことを言う。

 そしてそれはあながち間違ってはいなかった。


 敵陣の真っ只中にたった三人で飛び込み、ケルン戦線における敵将でも最も強い二名を討ち取らなければいけないのだから。


「なに。中尉がいるのだ。お前達だけで立派な軍だ」


 グガイン中将が口元を歪ませてそう告げていた。



「お前たち、相当気に入られたようだな」


 話が終わってすぐ、チェブ中尉がそんなことを言い出す。


「気に入られたぁ……?」

「考えてもみるといい、アウェン。お前たちの未来にはいくつかの可能性があったのだ。一つは駒として死ぬこと。二つ目はアウェンの身柄を盾にリルトが暗殺者として暗躍し続けること。そして今回の任務が三つ目だ。あらゆる可能性の中で最も、お前たちが軍人として評価される道を示したということになる」


 アウェンは納得のいかない表情だった。

 まあそりゃそうだろう。評価される前に死んだら元も子もないのだから。

 そんなアウェンの様子を見てチェブ中尉がこう付け加える。


「ふむ……。中将の戦場は、出てきた味方の駒はそのほとんどが死ぬ。だが逆に、生き残るのがどんなものたちかわかるか?」

「生き残る……?」

「答えは簡単だ。中将の子飼いの兵は死なない。不思議なほどにな。死ぬのはほとんど、寄せ集めのバカだ」


 なるほど。


「お前たちに課せられた今回の任務、まさに死なない側の立ち回りだぞ」


 グガイン中将なりのなにかの策があるかもしれないということか。


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― 新着の感想 ―
中将に中尉の人物判定がわからない 素直に読めば、厳しいけど意図があってそうしているとも思えるし、 真性の脳筋でむちゃくちゃなアホとも見える どっちなんだろうか?
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