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053 狂人

「ほう。あえてあの馬鹿貴族を狙ったか」


 報告のためグガイン中将のもとを訪れる。

 ロッステルのもとに向かったことを告げると高笑いしていた。

 嫌いだったんだろうなあ……。


「で、首は?」

「置いてきました」


 グガイン中将の周囲にいた兵士が目を見開く。

 報告を受けた中将は一瞬眉をひそめたあと、こう言った。


「ふむ……。お前はそれで、どのように証明するつもりだ?」


 通常ならば暗殺には証拠が必要だ。

 だが……。


「このタイミングで、暗殺者が出たことを公にするのは得策ではないかと。私はもう少しお役に立てますので」

「言いよるな。だが伝わらねば意味は……」

「中将! ご報告がございます! 公国貴族、ロッステルが死亡したとのこと! 事故死です!」


 報告に来た兵士を一瞥したのちこちらを見るグガイン中将。


「何をした?」

「事故死に見せかけることは容易いかと」

「そちらはまあよい。だが……」


 どうやってここに報告が届くようにしたか、か。


「私は使用人として潜入しました。そして第一発見者も私です。あえてその報が敵全土に知れ渡るよう大げさに、大々的に報じることで……」

「なるほど。確かにそれほどに広めればこちらにも様々な筋から情報が入るというわけか」


 グガイン中将が口元を歪ませる。


「お前が思ったよりも使えることはわかった。して、次は何をする?」


 お眼鏡にかなったようでなによりだった。

 次の行動もすでに、決まっている。


「敵将クライド、その直下に君臨する四名の排除を」

「ほう……あれを殺せるというのか? お前に」

「ロッステルから引き出した情報とその他、今回報告に上げた資料から可能と判断します」


 それぞれが知略、武力ともにトップクラス。

 戦場への影響力も大きく、クライドが大将の地位に上り詰めたのもこの四人の存在が大きかったと言われている。

 だがまあ、過去相手にした相手に比べれば、ぬるいと言わざるを得ない。その程度のものだった。


「よかろう。だが四人ともやる必要はない」


 そう言ってグガイン中将が立ち上がる。


「半分だ。二人殺れ。あとは戦場で片をつける」


 それは軍人の誇りか、狂人の本能か。

 周囲の兵士が思わず顔を歪ませ姿勢を崩しそうになるほどの圧を放ちながらグガイン中将が告げる。


「それ以上は戦場の面白みがなくなるのでな」


 目を光らせて外を睨む表情はやはり、軍人とも狂人ともとれない塩梅だった。


「かしこまりました」


 二人までか。

 ()()()()()な。


「では、私はこれにて」


 すでに二人は処理してしまったあとだったから。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] これ、隷属先がわがまま王女から軍隊に変わっただけじゃね。 汚い糞みたいな仕事させられるのは同じやん
[良い点] 有能キャラの有能らしい有能エピソード
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