表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で隠しキャラやってます  作者: 鳥鼠 ゆき
1章アルカディア王国編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

66/473

王室図書

場所は戻り王都にて―――


国王陛下との内謁で、わたくしはドクターアーニャの助言通り王室の図書室への立ち入り許可を取り付けた。

どさくさに紛れてだったけれど、お父様の力をあまり使う事なくすんなりと済んだのは良かったと思うわ。

襲撃事件後、王国の貴族たちは結束を無くしていて、不穏な動きが目立つと言う。

お父様には国王派の侯爵として、それを抑える仕事があるのに、私が足を引っ張れない。



名目は堕天使の打倒方法について過去の文献の調査。

別に全くの嘘や出鱈目でもないわ。

その可能性だってまだあるもの。


「悪魔や天使、それからラサイアスの曾祖父様ライオネル様について記述が有るものを集めてちょうだい」


「承知いたしました」


「了解です」


何が手掛かりになるのか解らないから、調査には私も直接参加する。

けれど本当は、私自身にも何がラサイアスの助けになるのかは解らない。この本の山の中に、答えが有るのか無いのかも。


でもやらなくては、解らない事も解らないわ。


私はパンパンと手を叩いた。

「じゃ始めて!」


「はい」

みんな返事をすると本棚の並ぶ薄暗い部屋の中に散開する。

先ずは聖書や教典、それから歴史書なんかの洗いだし。


私も貴族の令嬢として一応習いはしたけれど、神学とか私は好きじゃなくて詳しい事は解らない。

でもそれは私が勉強が特に出来ないとか、馬鹿とかではないと反論させてもらいたいわ。


「凄い量ですねセーラ様」


「これは一部ね三大宗教の教典だけでもまだまだあるはずよ」


図書室に設置してある机の上に取り敢えず抜き出した本が次々と、積み上げられていく。

簡単に覚えられる内容なら、神官も神学者も相談役も必要ない、ある程度の家柄の貴族は何れかと繋がりがあるのが普通なのよ。

その神官が全く役に立たなくなったのが誤算だけれど。


「こっちが天空の女神様の聖書、こっちのが精霊神教の教典であっちは大地母神よ混ざらないように気を付けなさい」


「うわー……」

元商人の娘が本をぺらりとめくって直ぐに嫌そうな顔をした。

気持ちは解る、昔の偉い神官が写本した物らしいが茶色く変色した紙にボヤけたインク、内容は古典的な文法で小さな文字がぎっしり、それはそれは素晴らしく読み難い。


私も腕捲りをして目の前の知識の壁に挑みかかる、これはその辺の魔物等より余程手強そうね。





私達はそれから黙々と聖書や教典を読み耽った。

解釈が難しく、そもそも物理的に読めない箇所と戦いながら、みんなで頭を悩ませて。

「セーラ様これはどうでしょうか?」


「なに? 何か見つけたの?」


「えーっと闇の妖精ジン。人型に化けて商隊に紛れ込み人種を襲って食べるけれど先に此方から丁寧に挨拶すると、その相手を殺すことが出来なくなるそうです」

奴隷メイドが自分でとったメモを読み上げる、彼女は没落貴族の子女で高級娼館に売られるところをラサイアスに買い取られた。

だから奴隷だけど読み書きがちゃんと出来る。


「それで、更に親切にすると願い事を1つ叶えてくれるのだと、容姿は黒髪の男性でボサボサの長い髪に不潔な格好でその髪を整えたり新しい服をあげたりすると良いとありました」


「うーん何か違うような気がするけど」


初めて会った時、挨拶はラサイアスがしたらしいけど、どっちが先にしていたのか私には解らない。ラサイアスに聞いても、彼の事だから覚えていないでしょうね。

それに、格好も不潔って程ではなかったと思う。基準を貴族水準としても不潔とはいい辛い。

ギルドが特別な技能を持った人間として、紹介しても疑問に思わない位には、清潔感があったわ。


それにこれだとすると、精霊神系の神霊って事で、私達と敵対した後の自己紹介も嘘を言っていた事になるのだけれど……


そもそもみんなはあの存在を、何だと思っているのだろう?


その辺り、みんなの認識も聞いてみたいけれど、気軽には出来ない。セルジュに心酔しているメンバーもいれば、ラサイアスの言うことなら何でも信じてしまう娘もいる。

迂闊な発言は出来ないわ。


「とりあえず候補に入れて置きましょう」


「はい、ありがとうございますセーラ様」


今苦しくて結束が乱れているのは何も貴族だけではないのよ。



「セーラ様奥からこんなものが見付かりましたー」


「見つけましたー」


「んしょんしょ」

暗くなりがちの思考に突然明るい子供の声が響く。


メイド服を着た可愛らしい小さな女の子達が3人が、協力して巨大な一冊の本を運んでいた。

その本は3人が10歳にも満たない幼児だとしても、なお大きなものだ。


「天使様の絵がいっぱい載ってるのです」


「きれいなんですよ」


「お、おもいけど」

この子供達はラサイアスが次世代育成とか言いながら、結局愛でるためだけに購入して、王都の拠点に留守番させている奴隷だ。雑用要員として連れてきたので、期待はしていなかったのだけれど。


「三人ともそれは単なる絵画集だって言ったじゃない」

よたよたと進んでくるそれに、疲れが見え始めている仲間達が呆れたように注意をした。

「元の場所に戻してきなさい!」


「ええー」


「がんばって運んだのに」


「たのにー」

私はしょんぼりする3人に声をかけた。


「待っていいわそのまま持って来なさい」


「セーラ様……でも……」


「細かい文字ばかりで疲れてきちゃったから気分転換に見るわ、みんなも少し休憩にしましょう」



気付いたら結構時間が経っていた、焦る気持ちもあるけれど、疲れて何か見落としていたらどうしようもない。

私は子供達から巨大な画集(?)を受け取り、交代で休憩をとるように指示をする。

この部屋、飲み物すら持ち込み禁止なのよね。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ