6月3日
3日。
柴田勝家「戦況はどうだ?」
佐々成政「敵に諦める様子は見られません。」
柴田勝家「加勢は?」
佐々成政「それには及びません。柴田様は来る越後攻めに備えて下さい。」
魚津城内。
山本寺景長「あと3日戦え?」
中条景泰「はい。」
竹俣慶綱「玉薬はほぼ底を付き、戦える者も200足らず。尊厳ある最期を迎えるには今日をおいて他には無いが、それでも?」
中条景泰「はい。あと3日戦うべきと考えます。」
山本寺景長「皆はどう考える?」
吉江資堅「私は近江の出で亡き謙信公に拾われた身。上杉のために最期まで奉公出来るのであれば。中条殿と行動を共にします。」
山本寺景長「景泰殿の御家族はどう考える?」
吉江景資「息子の考えに皆賛同しています。」
山本寺景長「……わかった。私も何もせずに果てるのは面白くはない。ただ我らの目的は敵の越後侵入を1日でも遅らせる事にある。勝手な行動は許さぬ。持ち場を守るよう。」
一同「はっ!」
魚津城本丸の城門に迫る佐々成政と絶望的な抵抗を続ける城方。双方決め手に欠け、やがて夕方を迎えようとしたその頃。
前田利家「柴田様。」
柴田勝家「どうした?」
前田利家「魚津城に入ろうとする不審な者を見つけ捕らえました。」
柴田勝家「ん!?何奴?」
前田利家「能登の門徒と名乗っています。」
柴田勝家「お前のとこの管轄だな?」
前田利家「はい。」
柴田勝家「何か持っていたのか?」
前田利家「はい……。」
柴田勝家「どうした?」
前田利家「……こちらになります。」
能登の門徒が持っていたもの。それは……。
柴田勝家「何!?信長様が!!?」
前夜。魚津城。
藤丸勝俊「中条殿。如何為された?」
中条景泰「藤丸様は、かつて加賀で一向一揆に参加された。と聞いていますが?」
藤丸勝俊「そうだが。」
中条景泰「今は越中や能登の門徒との取次ぎの役目をされていると。」
藤丸勝俊「御館様からの指示であるが、それが何か?」
中条景泰「実は1つお願いしたい事がありまして……。」
戻って。
柴田勝家「『明智光秀が畿内を掌握し、北陸に向け進軍。上杉様は東より柴田を挟撃していただきたい。これに各国の門徒が蜂起。柴田の退路を遮断する所存。 本願寺教如』
だと!!」
前夜、魚津城。
藤丸勝俊「やってみる価値はありますね。ただそれでありましたら顕如様より、今も抵抗活動を続けている教如様の名を使った方が敵を騙す事が出来るかと。」
中条景泰「お願い出来ますか?」
藤丸勝俊「このまま負けるのは面白くありませんので。」




