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高良フェノミナン/phenomenon〜キイロバナのまわりに咲く  作者: ライターとキャメル
第13章:新しき人々

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唐揚げ

「ふむ」

 何かが怪しいと俺の直感が囁いている。

 ()()橋本が素直に俺の提案…料理を美樹に教えるだけのわけがない。

 橋本の今までの行動から、予想できる彼女の意図をトレースしてみる。

 ①俺の部屋に夜這いにくる。

 →千種の家であり、俺の部屋とは言え、千種が入浸りなのはおそらく親友の橋本には周知であろう。それに橋本家の家訓に反する。よって却下。

 ②自分の部屋が狭いのでより寛げるところに来たい。

 →まあこれはその通りだろう。特になし。

 ③千種か俺に勉強を教わる。

 →数度前の家に訪問しているはずだが、連絡がない。テストはまだ先だし、最近授業中は静かに聞いているはずだ。うん、否定。

 ④そもそも料理。美樹はできなかったっけ?

 →玲先生が赤髪で現れたときの夜、橋本と美樹で作ってなかったか?あの時橋本は格段なにも言及してなかった。つまり、橋本が認めるくらいなレベル。


 行き詰まった。そもそも情報が足りない。

 ならば視察である。抜き打ちの。

「幸平!」

 もう見つかった。


「結菜と前の家で密会不倫?」

 週間千種はデマをまき散らすのか?

「雑誌が売れたら勝ちよ」

 ご立派な定義なこと。


「直感がさ、囁いているんだよ。怪しいって」

「怪しいとどうなの?」

 面白いじゃん。

「…行こうよ」

 ジャーナリズムが敗北した日。


 で、二人で家の前に出てみると見慣れない自転車が数台停まっている。

「あれ…」

 結菜は徒歩だし、光太郎の友達か?

 千種と顔を見合わせる。もし来客中ならさすがに失礼か。


「千種?と誰?知らない人?」

 金髪が予想外の方向から声をかけてきた。疑惑の中心、橋本結菜だ。

「知らないのか俺のこと」

 まあ野球漬けであんまりプールに行ってないし、沢村たちとつるむこと増えたしね。疎遠と言うほどではないけど、以前よりは減ったのは事実。

「知らないの?あたしの旦那」

「あそこが大きいくらいしか取り柄ないくせに」


 試したことあったっけ?

「結菜?()()()の旦那」

「中古車に興味ないし」

「あたしも新車じゃないって言いたいの?」

 どこのスイッチを押したのか、珍しいバトルモードの千種さん。


 飄々として

「あなたたちも食べる?唐揚げ」

 気の抜けるようなことを言ってきた。橋本のは食べたことないから分からないけど…こいつのことだから美味いんだろ。な、千種。

「あたしも得意だもん」

 そうだっけ?

「愛妻料理と料亭を比べても意味がないだろ?」

 そう和解案を提出してみたのだが、

「「ああ、そう」」

 と双方ともお気に召さなかったようだ。


 どうしろと。



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