北玲の帝国
放課後。
ハイテクノロジーな連合チームはミーティングも2校の部室で同時に行う。
監督も通信だ。
「全員いるな?」
はーいとそれぞれに声があがる。
「田所が欠席です」
「変な奴だな。まっいい。今日は解散」
思わず全員が、おいっとツッコむ。
「仕方ねーな。あー…センバツ出場はまあ大丈夫だろ。ちゃんと成績を残したし、悪くても希望枠がある。一年生だけの12人だけの部員とか、マスコミが勝手に宣伝してくれるだろ」
「相変わらず身も蓋もないですね」
「おまえらが手にした勲章だ。価値がありすぎるくらいだ。正直勝ち抜けるとは思わなかったわ」
そう言って監督は笑った。
「今後は?」
「基本体づくりな。メニューは折井に渡す。んで一応センバツがおまえらのチームの解散式だ」
あー来年になればそれぞれの学校に新入生が来るもんな。生徒数が増えるって言うし、甲子園出場となれば入部希望者も増えるだろう。最内高の事情は知らないけど。
つまり本来の部活に戻るってことだ。
「東原」
「はい」
「そっちの監督決まったようだな」
体育教師だと言う。あくまで仮で本来的な監督は候補者から決まることになるらしい。
「だからまあ、あんまりいい加減には言えないけどよ…もし守り重視でこれからも行くなら…基本の反復な」
「はい!」
「春まではあんまり合同はできないかもしれねえけど…期待してるぜ」
もう一度元気良く東原は応えた。
「で、沢村」
こっちにはどんな金言が…。
「休み多めにしてくれ」
ご立派ですこと。
「センバツの目標は惜しくも負けましたレベル、な」
「それどんなレベルですか?」
「対戦相手に聞いてくれ」
当分向こうの話だ。
最内と違い、士気の高まらないままミーティングは終了した。そしてやっぱり今日明日は休みになった。
この部活どうなってくんだろ。もっとも三馬鹿が来るのは確実(3人とも推薦合格したらしい)だから、緩むことはないだろう。
さて…と。空いた放課後どうしようかね。
ふとプールが気になる。
ちょっと覗いてみようか。
おーやってる。
千種。
「あ、幸平。部は?」
千種の横でプールを見る。久しぶりだ。
「今日明日休みだって」
「そう。一緒に帰ろ」
「そのつもりで来た」
千種は視線をずっとプールに置いたままだ。
少しメニューを覗く。
嘘だろ……。
俺は自分がこなしたことのないハードさに驚く。
「これいつもか?」
最近はそうと千種。
さすがに日本トップレベルだ…あ。
「さゆりさんもマロさんも?」
「インターバルタイムは違うけど」
「つーかヒメさんは?」
「文句言いながらなんとか」
…いや半年前まで素人だぞ。そりゃあんな風に文句も…。
え、そもそも言ってこなしてんのかよ?
「負けず嫌いだからね」
先生…ここに北玲の帝国を作ろうとしてませんか?
少し息抜きの意味で幸平くんの一日を小編として書いて見ました。忙しい少年です。




