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高良フェノミナン/phenomenon〜キイロバナのまわりに咲く  作者: ライターとキャメル
第11章:秋のできごと

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産むが安し

 そんなわけで土曜日。


 かなり緊張して前夜は寝付けなかった。

「案ずるより産むが安し、よ」

 いざとなると男より女の方が度胸があるって聞いたことあるけど、今回はまさにそれだ。


 段取りとして、玲先生のアパートに行き美也子に説明、その後御地だ。そしてなぜか、遊佐さんの妹さん晴さんが突如朝やってきた。

 行朝さんは朝早く出かけたので、会うのはおそらく夜になるだろう。ちなみに晴さんは夫妻とまだ面識がない。


 晴さんは丁寧に千紗さんに挨拶をした。

「千種ちゃんに遊びに来てって誘われて来ちゃいました」

 誘ったのかと千種にアイコンタクトをすると、うんと首肯する。

 秘密の共有はなるべく多い方がいい…なんて法則はあったっけ。


 10時ころ玲先生のアパート予定とのことだったが、晴さんが車を手に入れたらしく同乗させついただくことになった。

「高校卒業した時に免許取得したから運転はそこそこできるんだよ」

 安心して…と晴さん。


 近所だけにすぐ着いた。

 インターホン…と思いきや、美也子が自分でドアを開けた。

「はじめまして」

 と晴さんと美也子。和田さん宅から帰って以来、美也子と会うのは、俺は初めてだった。

 さあ行こう…と美也子はドアの鍵を閉める。


 あれ、美也子への説明は?

「もう聞いてるよ?」

 なんか釈然としないけど、確認を。

「いいのか?」

「うん」

 うん?もういいの?

「全部聞いたから」


 あーそう。千種だな。

 千種はピースサイン。それ橋本家のサインじゃないか。


 駐車場に着き神社を見たそうな晴さんにごめんなさいをして、御地を登る。

 二度千種が変調した最上部で…。


「終わった」

 美也子…まだ5秒も経ってないぞ。

「なんか変な感じだけど、もう何も起こらないよ?」


 いやあ、なんかこうピューとかピカとか。

 自然のすごさを感じながら怖い顔になるみたいなさ。

「なにを期待してるんですか?」

 蠱惑的な笑みで美也子は俺を覗き込む。

 そんな小悪魔みたいな姿初めて見たぞ。

「ええ、あたしも初めて」

 やめてくれ。


 予防接種などよりよほど早く美也子の中にその…トヨさんは落ち着いたようだ。

 今後どうなるのかは見守るしかない。


 晴さんは終始きょとんとしていた。

 はい、丘に登ります…一分で帰りましょう…とかわけわかんないだろうな。


 帰りに神社を覗いた晴さんはずいぶん物珍しそうに中を見ていたが、満足したように俺たちと帰途に着いた。


 この時間なら…練習出ようかな。

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