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高良フェノミナン/phenomenon〜キイロバナのまわりに咲く  作者: ライターとキャメル
第11章:秋のできごと

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分かり合える二人

 現状分析からとしようと、誠心さん、行朝さん夫妻ついでに俺たち(千種と俺でどんな単位だ?)は目的を確認し始めたのだけど…。


 美也子の実兄が依田日向であり、彼と妻の玲との相談の結果は「美也子を世に出してしまおう」であったことを千紗さんが、誠心さんに告げた。


 依田日向の名が出たとき、誠心さんは明らかに動揺した。今日一番誠心さんが驚いたと言うことだ。

「そうですか…華の息子が依田選手とは…。北玲さんのことも驚きましたが」

「オールスターのヒーローインタビューのことですね」

 行朝さんはもちろんだけど、そう言えば誠心さんもプロ野球好きだったな。俺は水泳に忙しかったのと、父の話題を出さないよう気を使ってくれたおかげで、この家で過ごした三年間にあまりプロ野球を話題にしたことはない。


()ながらあの活躍と発言は見事でしたね」

「敵…ですか?」

 行朝さんが食いついてしまった。リーグこそ違うけど西日本随一の人気チームの名をあげ

「ファンでいらっしゃらないですよね?」

 妙な表現で誠心さんに問う。

「もちろん、子供の頃からのファンですよ」

 堂々と宣言した。

「なら依田日向さんを敵と言うのは…」

「四番とエースのトレードでしたよね。一番好きな選手でしたから今でも応援してますよ。ただあの球団は…やっぱり」

「…田舎の球団がどんなにイキったところで…」

「その聞き慣れた煽り、もしかして」

 誠心さんは遊佐さんの所属するチーム名をあげる。

「ふっ敵か」

「どうやらその通りですね。我々は永久に分かり合えない運命のようで…」


「あなたたち、いい加減にしなさい」

 呆れた声で千紗さんが止めた。

「幸平くんのお姉さん…」

「葉くんだろう?」

「遊佐晶さんの奥さんです」

「ええ…」

 絶句した誠心さんが我に返ったのは一分経過してからだった。


 姉はここでも悪い癖を発揮して、おじさん夫婦に結婚していたことを連絡していなかったらしい。驚かせたかったのかもな。


 遊佐晶の義弟と依田日向の実妹がいとこ同士と判明し(俺が美也子と従兄弟とは…)、二人は雪解けムードとなった。

 千種は隣で俺に体を預け寝ていた。毎日残業だものな。可愛い。


「数ヶ月先にオリンピックの部門会議が日本であるらしいの」

 千紗さんから思いがけない話題が出る。

「人種、思想なんかに反対する会議なんだそうだけど、その際に現役選手の委員も参加するそうなの。各国の選手が連帯を呼びかける動画を作るんだけど、日本からは美也子ちゃんをどうかって話があるみたい」

「どこからそんな…」

 千紗さんは日本で一番大きい広告会社の名をあげる。まあ手垢のついていないビジュアル最高の無名選手なら…あの会社なら確かに起用するかもな。話題作りのために。


 玲先生のところに内々に依頼が届いていると言う。もし出演したら…内容だけに派手な騒ぎにはならないだろうけど…確かに美也子は世に出ることになるだろう。

 非公認とは言え、日本記録を破ったリレーメンバーの一人である。

行朝さんと誠心さんはいいライバルです。

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