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高良フェノミナン/phenomenon〜キイロバナのまわりに咲く  作者: ライターとキャメル
第11章:秋のできごと

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あり続けようとする意思は

 驚いた。

 生きてきた中で間違いなく一番。

 あの千種が唖然とし、当の本人の美也子でさえ言葉が出ないようだ。


 行朝さんも千紗さんも眉をひそませている。


「早名さんは…」

 千紗さんに喋らせてはいけないと行朝さんが口を開く。

「私個人としたら、もしかして…と胸の中で…」

「うすうす…」

 千紗さんはやっとそれだけを絞り出す。


「知る人は少ないです。もしや…と思う方はいらっしゃるようですが」


 深く息を吸い、行朝さんは

「驚きました。おそらく妻も。子供たちも」

 そして

「美也子ちゃん。この続きを聞くかい?」

 懐の深い人だ。美也子をまず思いやる。


 美也子は直接答えず、

「お母さん」

 と涙を零した。


 誠心さんの説明はこうだった。

 姉清が巫女を辞した後、やはり次は妹の華が推されるはずたった。

 華は嫌がり、()()()()持ち込まれた縁談を選んだ。それが六条家の主となる(たける)であった。話はすぐにまとまりやがて…長男日向が産まれた。

 異変はその時。


 子供を愛せない。そう華が気付いたのは初めてわが子をみた時に。

 心が動かなかったと言う。

 それでも何年かは頑張ってみたものの、同じだった。そしてやがて美也子が産まれ、やはり同じだと分かり、猛と離婚する道を選んだ。


 猛がその後どのような心境に至ったかは分からない。が、結果として六条家を絶やす…日向を養子にそして美也子もまた、遠い地へとやる選択をしたのだった。


 その時に猛から華に相談があったと言う。手元に美也子を置いてくれないかと。


 その後は俺も知っている。叔母さんは美也子に優しくあろうとし、美也子もその努力をしていた。ぎこちないながら、二人はその関係を築こうと間違いなくしていた。


 説明を終えて誠心さんは深い息を吐いた。


 千紗さんが笑う。

「良かったじゃない。これで晴れて親子よ。あんな面倒くさいところ逃げ出しなさい」


 新しい絆を結ぶ。難しいことはない。もう二年も経った。邪魔を誰が許すものか。


「もしかして最近、偉い人とかの接触がなにかありましたか?」

 行朝さんが誠心さんに質問する。

「ええ、かなり面倒くさい人たちから数件」


「ほんとサナメノツガイなんてろくなもんじゃない」

 千紗さんが珍しく吐き捨てるように言う。


 別室へと誠心さんは華さんに言う。

 二人が出ていったあと、緊張感がとけた。


 そして。

 華さんと美也子をいかにするか、大人たちの作戦会議が始まった。

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