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高良フェノミナン/phenomenon〜キイロバナのまわりに咲く  作者: ライターとキャメル
第11章:秋のできごと

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和田家へ

「お母さん大学は?」

 千種が尋ねる。

「ああ、明日」

 なるほど…2日も学校サボれるのか。

 嬉しくなって千種を見るとなにやら携帯をいじっている。

「ヒメにノート頼んだよ」

「あー助かるな。美也子は?真由ちゃんに頼むのか?」

「二日なら別にいらない。各教科が少し進むだけでしょ」

 そうだった。美也子にしてみたら確かにそれくらいなら必要ないだろう。


 会話が弾むほどではなく、俺と千種が交互に美也子に話しかけて、ぽつぽつと美也子が返すことが続く。

 和田さんのお宅に行く目的が分からないため、少し緊張感が漂っている。

 途中わずかな休憩を挟みながら、やがて隣の県に入り半年前まで過ごした和田さん宅に着いた。


 中から和田夫妻が出てきて俺たちを迎える。

「久しぶりだ。幸平大人っぽくなったな」

 和田誠心さん。銀行マンとしてそれなりの地位にある人だ。温和な人で滅多に感情を乱すことがない。だからと言って冷たいわけでもなく、優しく接してくれる。


「ご無沙汰しました。お祝い頂いたのにすぐに来れずに申し訳ありません」

「立派なことが言えるようになった…」

 誠心さんは少し涙ぐんだように見えた。

 そのまま

「美也子ちゃんはどうだい?向こうの暮らしに慣れた?」

「なんとか…ですよ」

 と、美也子にしては柔らかく微笑したまま答える。


 その後行朝さん夫妻と誠心さん夫妻の挨拶がひとしきり続き、中へと案内された。

 ここも半年ぶりだ。


 リビングで誠心さん夫妻、行朝さん夫妻、俺と千種が二人で座る。美也子は一人、長卓の短い方へ。既に飲み物が用意され、何かが始まろうとしていた。


 と、行朝さん。

「この子ははじめまして、ですね」

 はい、と誠心さん。

「娘の千種です。幸平くんと同い年で…」

「嫁です」

 言い切った!

 思わず全員の顔を見る。


 びっくりしたような誠心さん。

 会ってからまだ言葉を発しない華さん…は下を向いた。

 美也子は少し笑い、行朝さんは若干苦く、千紗さんは…通常運転。

 だからこそ、華さんの態度が気にかかる。

 その美貌のままに、半年前まで俺に優しく接してくれてたからだ。

 ただまあ…美也子に対しては多少違っていればいたけれども。


「そうなのかい?」

 誠心さんは俺に尋ねてきた。

「いずれは俺も…」


「僕から変わったんだ。少しずつ一太さんに似てきた」

 感慨深そうに誠心さんは呟く。この中ではご夫妻だけが俺の父をよく知る。


 少し間を置き誠心さんは切り出した。

「わざわざ遠いところまでお呼び立てして申し訳ありません。実は美也子ちゃんが引っ越してから少し困ったことがありまして…」


 本題が始まる…。

 本当に行朝さんたちは今回の目的を聞かされていないようで居住まいをただす。千紗さんも緊張の面持ちだ。


「華が…美也子ちゃんの母なのはお聞きになられたことがございますか?」


美貌の母の娘は美少女。

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