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高良フェノミナン/phenomenon〜キイロバナのまわりに咲く  作者: ライターとキャメル
第11章:秋のできごと

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キイロバナの双輪

 改めて思うと…昨夜の話で美也子のことが一つも出ないことは自然だったのだろうか?

 橋本家、大杉家。

 主題が大杉美樹で、広げても橋本三姉妹のことまでだった。

 他者…依田玲先生は成人だし、今は職もあるし家庭(変則だけど)があるから問題外。

 千種は、千紗さんの説明でよく分かる。

 さて、他の周辺者は…。

 美也子だよな。六条家の遺産がどれくらいあるとか別として、あの人たちが案じないものだろうか?両親もなく、身寄りがいない。

 そこまで思案して気付く。

 ()()同じじゃね?


 実兄の依田日向さんは遠くだ。

 遊佐葉もまた遠い。

 なんのことはない。美也子も俺も似た者同士ではないのか?


 …そんなことはないな。俺には千種の家族がいまや自分の家族と同等だ。

 対して美也子は…まだ中学生。

 明らかな自分の薄情さに驚き、恥じる。


 だとすると…明日の話とはそのことだろうか?

 そして美也子の心のケアをしてるであろう千種に(二人には語弊があるかもだが)、懐と情の深さに感謝する。

 俺は…足りないものが多い。


 ・・・

 次の日の朝。美也子は玲先生に付き添われ千種邸を訪れた。見慣れない制服。

 そっか、放課後は高校まで練習に来ることさえあるのに、会ったことがなかったのか。


 少しだけ玲先生は行朝さん、千紗さんと会話を交わしてから高校へと向かうらしい。スーツに自転車とサングラス。

 やはり見慣れないがカッコいい姿は、不意に先生が改めて巨星だと思い出させて、身近にいる環境を幸せだと感じる。

 そして美也子は今日は徒歩か。ゆっくりと歩く二人の情景。


「行こうか」

 行朝さんは車を用意する。普段助手席に座るから今回も…としたところで千紗さんから

「幸平くんは今日こっち」

 と後部座席を示された。


 と言うわけで後部座席の中央は俺、今や右が定番の千種、左が美也子…と座席が決まり、車は高良を滑り出した。

「幸平くん、両手に花ね」

 …まあ確かに。美也子はまだ高高で知られてはいないが、水泳教室に絶世の美少女がいるって噂は流れている。インターハイ三冠が2名と水泳界の巨星、学校の『女神様』まで鎮座されてるので、早々アホな行動に移るやつこそいないが。


「また女の子のこと?」

 なぜすぐに嗅ぎつけるかね。

「前はそんな浮気者じゃなかったんですけど」

 おまえ…千種の両親がいる密室で告げる内容じゃないだろ、美也子。

 両手に花ってか、バラの茎を素手で握るようなものだ。経験してみたら分かるけど痛いなんてものじゃない。


「でね幸平くん。今日は華さんに会いにいくわ」


『キイロバナの双輪』…母の妹…三年間俺の面倒をみてくれた()()美貌の叔母、和田華さん。

ほんとにバラって痛いんですよ。

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