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高良フェノミナン/phenomenon〜キイロバナのまわりに咲く  作者: ライターとキャメル
第10章:三馬鹿、三人娘、三姉妹

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母が残した約束

 大杉美樹が辞し、どこかダメージでダウン気味のさくらさんを引きずるように橋本家が去り、千種邸のリビングは日常に戻った。

 いくつかの衝撃は俺にもまだ残り、頭がスッキリしない。


「ごめんなさい、幸平くんには説明が後回しになっちゃったわね」

「いえ、そんな…」

「どう思う?さっきの話」


 えーと…、中味はとりあえず頭に入ったけどとりたてて、物を知らない俺が言えることなんて…。


 あ、千種。

 肝心な娘さん、話に出なかったですよね。


「必要あるかしら?」

 …え?

 どういうことでしょう?

「まさか欲望だけで娘のこと…」


 慌てて横を見ると明らかに千種の表情が憤怒に変わりつつある。

 親子で責めるの反対。

 そして右腕もげるから!


 ・・・

「できる限りこの子には好きな道を選んでほしいのよ」

 親子の圧をなんとか回避した後、千紗さんからゆっくりこう告げられた。

「清さんがね…遠回しにだけど、もしそれぞれに子供が生まれていい子だったら結婚させましょうかって言われてね」

 初めて聞く結婚前の母の話。

「その時がもし来たら、()()に住まわせないで違う土地に住まわせてくださいって」

 今なら少しだけ分かる。サナメノツガイ…だ。


「千種」

「はい」

 思わず敬語で返事をする。

「あなたは愛した人とここを離れなさい」


「幸平くん」

「はい」

「娘を…お願いね」

「はい」

「あなたたちをどこか違う場所に行かせる…清さんとの約束果たせそうね」


「こんな話…橋本さんの前で言えると思う?」

 千紗さんはいたずらっぽく笑い、夕飯係に俺を指名してきた。

 …なぜだ?


 ・・・

 そしてやってきました、金曜日の県大会初戦。

「とにかく守ってなんとか打て、作戦だ」

 本日の作戦名発表。だんだん長くなるけどそのうちラノベ並みになるんじゃないかな?


 先発は東原と田所バッテリー。内野は一塁から山形、俺、菊川、児島。外野はライトから沢村、黄田、菅。

 今日はグラウンドの右が高良、左が最内って布陣だ。

 相手は北部の1位。甲子園出場も過去にある普通に強豪校だ。


 あちらもエースを立てて必勝体制。ここを勝てば自動的に次の上の広域大会に出られるのだから、当然だ。

 こちらが先攻。

 荒れ気味のエースから黄田はなんなく四球をもぎ取る。

 監督から当然初球スチールが…出ない?


 じゃあまあ好球必打ってやつでいいんですよね。

 一球も振らないままフルカウント。黄田の足は研究されてきたらしく牽制が何度も入る。

 そして抜けたスプリットがインコースへ。

 さすがに振り抜いた。


 詰まった感触。なんとかファーストの頭を越え、俺が三塁まで到達する頃、黄田は既にホームインしていた。

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