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高良フェノミナン/phenomenon〜キイロバナのまわりに咲く  作者: ライターとキャメル
第10章:三馬鹿、三人娘、三姉妹

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山門飛梅(ひめ)とキイロバナあれこれ

「あんたたちの恋愛なんか聞いてアホっぽいだけじゃないかっ」

「色気の固まり少女に分かんない、微妙な話なの」

 天下の北玲と妙な緊張感を演出し、折井若葉と争い幸平を文字通り陥落させた山門飛梅は、自己の特徴をあまり好まない。


 曰く、ロリっ子なのに艶っぽい。

 曰く、背が低いのに態度がデカい。

 曰く、ガサツそうなのに俳画の新進気鋭。

 曰く、早名千種の引き立て役。


 なんとまあ。

 苦悩が深いのはキントキでもマロでもない。

 この自分じゃないか…。


 それでも元来がお気楽である。

 この妙に大きな胸も、結菜や千種に劣らない脚線美、ぼてっとした唇、目元の黒子さえ…うちはうち。

 そして華道やお茶…おまけの俳画。

 習い事を既にはるかに越えた立ち位置にいる。

 おまけに趣味は水泳だ。世が世ならうちは引く手数多の()()()だ。


 いくつもの自尊心が彼女をより輝かせている。

 ちなみに華道もお茶もその精神が本流よりかなり外れており、日本文化の相違点…独特の女系社会、完全空の()()をまみえ、完成から枯れるまでの時間的経過を芸術的美ととらえたり、一期一会を否定し常に日常の一部とする茶道…外国人も日本人さえ知らずにいる()()()()特異点は静かにこの地に継承されてきた。


 ただ…さすが情報社会、消費社会である。

 地味にいろいろな人に発見され、古い日本文化なのに未知な点が新しいと、いわば泡沫(うたかた)のような、水に浮かびすぐ消える泡の扱いで日本に広まっている。

 そしてキイロウラムラサキ…通称キイロバナはこの地の文化の根幹。日本で高良の文化が消費されることは、キイロバナの持つ経済的価値が飛躍的にあがることになる。そして日本でこの地だけでしか育たないとなると、その価値はいかほどに…。


 意外にもキイロバナの価値が高騰する前から地道に全国に広めようとしていたのは外国人二人…助っ人外国人として来日し、キイロバナに魅せられて根を下ろしてしまったロゼとキャリパーであった。もとより買うつもりもなかった宝くじが向こうからやってきて、勝手に巨額を生み続けている構図だ。あろうことか二人はその利益を、すべてこの地の教育に還元することを選んだ。小中、高校、大学。それに付随する諸々。

 もしかしたら二人はメジャーや日本で得た自己の資産さえつぎ込んでいるかもしれない。


 その根本はどこにあるのか、あまりの巨額さに誰も問わない。特にサナメノツガイに代表されるような旧来の仕組みの受益者にとっては触らぬ神に祟りなし、である。もっともその皮肉で鮮やかな対比構造に気がつくのは数名であったが。


 余談になるが黄田翔の父はキイロバナの配送を仕切る仕事をしており、翔はその手伝いを野球愛好会に所属しながら手伝っている。


 やがて高良の文化において、ヒメは否応なく中心に押し出されることになるだろう。俳画において片鱗を既に覗かせている。


 この地の茶道、華道の家元田中家…その後継と目されているのは、田中秀吉。ヒメの同級生であり、誰も知らないが…幸平と千種とは違い本来的意味での婚約者だった。


説明っぽい話になりましたが、今回がこの話の背骨で、第二のギミックです。秀吉くんやっと話に参加してきます、たぶん。

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