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高良フェノミナン/phenomenon〜キイロバナのまわりに咲く  作者: ライターとキャメル
第10章:三馬鹿、三人娘、三姉妹

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坂田衿秋(えりあ)

 英米が戦わず女神様から逃走した日の夜、ヒメとマロがキントキの部屋に集まっていた。

 キントキの親は忙しい自営で、中学の頃から千種を含めてみな気軽に来宅、交歓していた。一人ずつ気まぐれにくるので、メンバーは都度変わる。高校に入り千種はめったに訪れることは少なくなっていたが、残りの二人は相変わらずだった。

 そのことをみな気にしない。ヒメとマロは水泳教室で会うし、二学期からは全員同じクラスだ。


 時系列で追うとヒメと千種が幼馴染、小学生の途中でマロが二人と仲良くなり、中学からキントキが加わった…そんな歴史がある。

 そもそもキントキは()()()の県から中学入学と同時に引っ越してきた。

 彼女の小学生の時の隣のクラスに早名幸平はいた。折井若葉と一緒に。


 千種から「この人に恋をした」と聞いた時はそちらに驚いて気が付かなかったけど、隣のクラスにいたなあと思い出したのは()()幸平だったからだ。千種と同じ姓。

 千種と知り合ったときはあれ?と思ったけど早名姓自体がこちらでは(特別ではあるが)ありふれているため、親戚なのかもなあと少し考えたくらいだ。

 折井若葉とは中学が違ったし、まさか高校で二人とまた会うことになるとは信じられなかった。しかも一人は早名千種の恋人として。


 まっそもそも小学生の時だって隣のクラスだっただけだし、二人とも友達だったわけじゃないし…と言うことで、健全な野次馬として見守ることにした。誘われた水泳教室は断った。どちらに肩入れするわけでもない。

 両親を失った早名くん、悲痛だった折井さん…卒業の少し手前で起こった悲劇の噂話は少し巡って引っ越したあとの坂田衿秋に届いた。


 その記憶があるからこそ、折井若葉にも、千種にだってフェアでいたい。

 だけど早名くん…どういう人なんだろう。そう思って半年見ている。千種に窘められては苦い顔……、千種が甘えれば(そう言う機会あまりないけど)照れながら優しそうで。


 千種の心は分からない。

 けれど10年思っていた千種の気持ちを柔らかく素直に受け止める姿を見ていると、千種にはこの人しかいないとあたしは思う。


 いいな。

 あたしにもそう言う人がいたら。


 そう。

 千種にも折井さんにもフェアでいる。

 だけど早名くんには()()()ではいられないかもしれない。

 そんな時に彼がファストフード店にふらりと現れた。

 思わず腕を引いてしまった。

 唐突な自分を悔やむ日が来てしまうのか。

 それでも…。


 久しぶりね、早名くん。

 そして…はじめまして。

 友達に…なろうよ。

えりあさんは内気だけど芯の強い子なのです。


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