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高良フェノミナン/phenomenon〜キイロバナのまわりに咲く  作者: ライターとキャメル
第10章:三馬鹿、三人娘、三姉妹

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出来過ぎな組み合わせ

「……なによ」

 珍しく千種が膨れる。

 鬼の話が最後に出て、横目をしていたのをしっかり見られたらしい。


 とりあえずの諸問題の最後は千種だ。

 と言うか、先の二つのことも結局千種に起因する。


 まずは確認をば。

「橋本のお母さんの病気のこと、どうやって分かったんだ?」

「なんとなく分かるの」

「能動的に?」

「今のところは知りたいと強く思うと…そう、なんとなく」

「ミコさんはなんて?」

「現役時代なら自分もできたけど、あたしの力の方がよっぽど強いって」

「…まじか」

「合ってるか分からない上に不安定な力なんて胡散臭過ぎるよね」

「…そうだね」

「だからね、幸平。あたしだけで決めたくない」

「…何をするにも半分?」

「うん」

 ずっとなんて分からないけど、今はお互いの意思が一番だ。

 素直な流れで結論にたどりついたけど、これは半年以上触れ合った成果なのだろうか。分からないながらもこれ以上のことは今は考えられないと思う。


 ようやく一息つけて、今が自分のことをきちんと考えるべき良いタイミングなのかもしれない。


「今週も投げてたけど痛くないの?」

 千種は俺の右腕を柔らかく撫でながら心配してくれた。

「夏休みの始めに比べたらみんなずいぶん打球が速く遠くに飛ぶようになったぞ」

「ピッチャーがいいから?」

 いたずらっぽく笑う。

「バッティングフォームが固まってきたからじゃないかな」


「もっともあの中三トリオは規格外だよ」

「そんなにすごいの?」

「俺がヒメさんなら、連中は玲先生くらい違う」

「とんでもない差なのね。色気ならヒメなのに」

 さらりと先生をディスるな。

「才能だけがスポーツじゃないさ」

「そうね…幸平だって優勝したもんね」

「そういうこと」

 束の間のわずかな休日は、俺にあたりを見回す余裕をもたらせた。


 次の日の決勝。

 監督は正攻法だとばかり東原、沢村、川上を投入して正面からの打ち合いを望んだけど、実力の差はいかんともしがたく、大差のコールドゲームとなった。地区予選は決勝でもコールド制が適用される。

 こちらは全員一年生。県内有数の実力校相手に真っ向勝負できたことは今後の経験になる…と監督は総括した。


 落ち込む暇などなく、来週には県大会が始まる。

 監督はこう言った。

「今年はこの県が担当県とかで4校出れるんだとさ。つまり…わかるな?」

 沢村は答える。

「1回勝てば県代表!」

 なんだか出来過ぎのようだけど、こういうのもたぶん運のうちなんだろうね。 


 目指せ1勝。

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