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高良フェノミナン/phenomenon〜キイロバナのまわりに咲く  作者: ライターとキャメル
第10章:三馬鹿、三人娘、三姉妹

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鬼ではないから

 諸問題の二つ目…美也子である。

 なんせエキセントリックな性格なのは衆目の一致するところ、個性の強い先生とぶつかったりしていないか、心配なところだ。千種に任せたい気持ちはあるけれど、たぶん俺を挟むワンクッションあった方がまだ、こちらに来て間もない美也子にとって安心感があるだろう。


「ほんとにそれだけ?」

 姉との会話が終わっても居続けている千種が疑念を隠さず聞いてくる。

 当たり前じゃん。最近連絡もないくらい疎遠なんだぜ。

「そうなんだけどね」

 それでも…と続ける。

「お姉さんが幸平と美也子ちゃんと…って言ってきたときあったでしょ」

 あの御地に行く前の日のことだ。

「あれ以来…少しだけ美也子ちゃんが苦手って言うか…」

 珍しいな?千種がこんなこと言うなんて。

「正直に言うと怖いのよね。ちょっとだけよ。ちょっとだけ」

 それはそうだろうなあ。姉がなぜあんな言動をしたのか、うっすら理解していても実際に聞いたことはない。


 俺はリボンに軽く触れる。千種はそっと手を添える。


 直接先生に連絡をとるつもりだったけど、千種から話を回してもらうことにした。

「こっちに来てどんな感じですか?」

 本人から聞いた限りのことだけど…と先生は前置きして

「由麻さんと仲良くしてるって聞いたわ。何人か小学生のときの知り合いもいるらしいし」

 それ以上の本音は分からないわと漏らし、

「ただまあ、学校と水泳の練習でしょ?それだけで体力的にはいっぱいだと思う。ご飯はお互い作ったり、橋本さんのお母さんにいただいたりで過ごしているわ」

 先生の作るメニューすごいですし。

「それなりに美味しいと思うけど。旦那のために練習してきたから、ね」

 いやいや、練習のメニューの方です。

「あ、そっち?」

 横の千種は何かに呆れたよう。


「勉強は?」

「天才ね。あなたも早名さんもかなり頭がいいと思ったけど、彼女はもっと」

「よく知ってます」

「たいがい正解は書けるけど、ケアレスミスはあるじゃない?彼女はそれがないの。最初からすべて分かってるんだと思う」

 実はそれが心配の種なんですけど…。

「孤独感よね?」

 さすが北玲さん。

「今はお客さんだけどね、いずれは練習きつくするつもり。恨まれるだろうけど」

 でも美也子の才能なら…。


「あら。あたし北玲よ」

 え?

「あたしが甘やかすと思う?」

 なさそう。

「水泳だけだけど、彼女を見逃したりしないから。なんたって…私の『秘蔵っ子』よ」

 あれ?美也子が可哀想になってきたぞ。


「ああ、それとね」

 はい?

「『依田玲』と『北玲』は違うからね。いつでも鬼ではないから」

 そうしてください。


 俺は()()を横目に通話を終えた。


北玲さんの残したインパクトは広範囲かつ時間も経過しています。美也子のもつ才能や容貌などはまだ小さな個人の資質でしかありません。

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