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高良フェノミナン/phenomenon〜キイロバナのまわりに咲く  作者: ライターとキャメル
第9章:美也子の帰還、それぞれの助走

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夫婦交換な高校野球と姉妹襲来

 実績がどれくらいあったのか、大前さんはすぐに監督として学校が認め登録がされたそうだ。

 だが大前さんをあの日以来見かけたことがなかった。

 どうやら最内に行って現状把握をしているとのこと。こっちはたまに見ていたことあったもんな。

 あちらのバッテリーはそれぞれ沢村、田所とバッテリーを組んでいたらしい。ピッチャーとしては沢村と最内の投手は同じくらいの力量、キャッチャーなら田所が最内の捕手より抜けてると沢村は評した。


「同じ高校に行こうとしなかったの」

 無邪気に川上が沢村に聞いた。休み時間の一コマだ。

「スカウトが来るほど優秀じゃなかったからな。俺もヒガシも」

 東原が最内の投手の名だ。沢村は千種やヒメさんたちと同じ中学校。沢村と同じ中学でバッテリーだった袋井が最内に行ったと。

 隣の中学では東原と田所が組んでいたってことか。中学のチームメイトがバラバラになる…ありふれた話だ。


「ブクロが驚いてたぜ。あの早名に彼氏ができたのかってさ」

 俺の知らない奴がなにを思ってもいいけど、臨時とは言え仲間になるんだよな…。

「気にすんな…幸平。気持ちのいいやつらだからな。なっ黄田?」

「俺に聞くかよ」

 笑いながら黄田は答える。なんでも父親の配送を手伝いながら、部活に参加しているらしい。それでもアマチュアで名門チームにいた父親を尊敬して大まじめにプロ志望だと本人は言う。

「あいつらとする野球はいいぞ、早名」

 仲間をきちんと褒める姿勢は好感度高いぞ。

「おまえの愛人にはならねえけどな」

 ひとしきり笑いが教室に響いた。

 きっと最内のやつらもいいやつばかりなんだろう。


 ふと…反対側に視線を移すと…橋本が死んでいた。なんて言うか、動かない。

 輪を抜けて千種に声をかける。

「橋本どうした?」

 ああ…と千種は前を見て

「今日お姉さんが来るみたい」

 最近ピリピリしてたのはそれだったよな。それじゃ仕方な…

「妹さんもお姉さんに合流して来るんだって」

 あー、そりゃ…。


 人間関係下手な橋本には二重のプレッシャーか。どちらともあまり関係が良くなかったって千種から聞いてるし。

「なんなら先生に同席してもらうか?確か美也子と由麻さん?も仲がいいって言うし」

 助け舟を出してみる。

「あー…」

 橋本が生き返った。

「頼みづらくて」

 赤髪の先生に喧嘩売ったの橋本だもんな。人間関係下手がこうも生きにくいとは…でもこいつも変わろうとしてずいぶん努力してるって千種に聞いたし。

「お母さん見舞ったあと二人と合流なんだよね」

「千種」

「ん?」

「今日の水泳教室に美也子呼べる?」

「んー聞いてみないと」

 そして千種がメッセージを送ると、了承とすぐに返ってきた。

「幸平も来るよって付け加えたら、今みたいに早いんだよねぇ」

 なんか複雑…と千種は呟く。

 まっとりあえず美也子がOKなら後は先生だ。

 直接水泳教室の時に頼んでみようか。

 野球は…って?

 こういう時はOKなんだってさ。

 ほんと我が校の部活は緩いよね。助かるけど。

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